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サンレコ10月号を読みながら、やがてちわきまゆみに [音楽]

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『Sound & Recording Magazine』10月号の表紙は中田ヤスタカ。でも、ポストEDMとか言われてもなぁ。EDM自体よく知らないし、EDMってジャンルとして広過ぎるような気がするし。
中田ヤスタカは、中田ヤスタカ個人としてのアルバムを出すみたいです。「今の日本だと、ボーカリストじゃない人の名義で作品が出ていたら、“?”って思う人が大半だと思うんです」 って言っているけど、そうなのか? その言葉だけで判断しちゃうと、ますます偏狭になっていくJ-popっていう感じがしますね。

そんなわけでパラパラ見ていても、つい、古いほうの話題に興味が行ってしまう。土岐麻子のベスト盤の紹介がありますが、プロデューサーであるトオミヨウとの会話が面白い。スタジオのなかにローズがあるのはいいとして、その上に乗っているRE-201っていうのがすごい。これ、テープエコーですが、やっぱりデジタルとは違うんだろうなぁ。エンドレステープという発想の、いかにもアナログライクなテープエコーっていうシステムを考えたこと自体がすごいと思います。
結局、こうしたアナログによるディレイとかプレートリヴァーブとかって、つまりスチームパンクですよね? (違うか)。

機器ついでにいうと、レヴューのなかではSE-02というローランドとスタジオ・エレクトロニクスのダブルネームになっているモノシンセに食指が動く。機器の上半分のデザインがスタジオ・エレクトロニクス、下半分のシークェンサー・ボタンみたいな部分のデザインがローランドで笑います。大きさもコンパクトだし本来のスタジオ・エレクトロニクスほどじゃないけど、遊べるよね。ローランド・ブランドっていうところに安心感があります。

それはまあいいとして、soundbreakingの世界という記事は、レコーディングに関するドキュメンタリー映像《soundbreaking》というDVDの紹介なんですが、ジョージ・マーティンをはじめとするサウンド・プロディースの歴史の話らしい。そのレヴュアーが岡野ハジメ。
私にとっての岡野ハジメはPinkではなくて (Pinkはよく知らないですけど、今、見ると時代性が色濃く表れているパフォーマンスでやや恥ずかしい)、さりとてラルクでもなくて、なんといってもちわきまゆみのイメージが大きい。

ちわきまゆみというとMean Machineというバンドもあったけれど、あれはお遊びだし、まゆみねえさんとか呼ばれて、もう黄昏れてる感じだし、で、重要なのは東芝EMI時代のアルバムです。1986年から88年にかけての3年間に限る。個人的な好みでは《Gloria》です。
ちわきの言っていることは、たとえば来日したマーク・ボランに会ったとか、年齢と実際の音楽シーンが少しズレてるような気がするんだけど、つまりそれだけ彼女が早熟だったということ。

岡野ハジメはグラムロックなんてもう忘れられてしまった時代にグラムだった。イエモンの菊地英昭とかマルコシアス・バンプとかもグラムの香りがするけど、岡野のグラムっぽいファッションは本当に俗悪なグラムで (ほめ言葉です)、そういうファッションの岡野がバックにいるちわきまゆみの動画を見たことがあるんだけど探せませんでした。

ちわきの衣裳はグラムというよりボンデージというのかコスプレっぽくって、そういうのがカルト的には流行ってたのかもしれないけど、表面的には徒花みたいで、それがカッコイイんです。
〈CiNIMACHiNEBURA〉はアナログの12インチシングルしかないけれど、最もボンデージしてます。〈リトルスージー〉のイントロはボランの〈20th Century Boy〉のパクリですね。
それとFMでヤン冨田とちわきのDJ番組があって、変な曲ばかりかけていて、すっごくさりげなくアヴァンギャルドだった記憶があるのですが、う〜ん、記憶違いなのかもしれない。

尚、《Gloria》のCDにはジャケット違いのデジパックがあります。偶然、ヤフオクで手に入れた。内容は同じだけれど。
ということでサンレコから話題はズレまくりでした。


Sound & Recording Magazine 2017年10月号
(リットーミュージック)
Sound & Recording Magazine (サウンド アンド レコーディング マガジン) 2017年 10月号 [雑誌]




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PINK/Maxell CM: Keep Your View
https://www.youtube.com/watch?v=HzUU-fdj2aE

PINK/Climb, Baby Climb
https://www.youtube.com/watch?v=5lSFCnPZmT8

ちわきまゆみ/リトルスージー
https://www.youtube.com/watch?v=_7odpF5hURM

Roland Boutique SE-02
https://www.youtube.com/watch?v=zYLloIcu7us&feature=youtu.be
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末尾ルコ(アルベール)

サンレコという言葉、少し変えればサレンコというロシア系の名前になるなあと思ったのはさて置いて、今回のお記事で取り上げられている人たちの音楽はあまり耳にしたことがないなあと思いながら拝読しつつ、よく考えれば、日本のロックやポップス自体をあまり聴いてないなと気づきました。坂本龍一をある時期まで続けて聴いたくらいでしょうか、系統立てて聴いた日本人ミュージシャンは。しかしlequiche様のお記事から宇多田ヒカルもちゃんと聴き始めたし、これから探求する楽しみがあると自分に言い聞かせてみます(笑)。
そう言えば、本日のお記事は文章のタッチが普段と違いますね。秋の始まりの感触とどこか共鳴するようなリズムを感じます。

シンセサイザーと言えば、わたしにとっては子どもの頃にロック雑誌で目にしたキース・エマーソンのシンセが何よりも印象に残っています。キース・エマーソンは何よりもブリティッシュ・ロックなルックスがカッコよかったです。当時の日本のロック雑誌ではまたまた、ピンク・フロイド、EL&P、イエスが「プログレ御三家」(笑)とか呼ばれていました。この中ではわたしはフロイド派でしたが、EL&P派の同級生のバカ男(笑)はエマーソンの速弾きばかりに注目し、「フロイドにはテクがない」とかわけのわからないことを言い出して、そうです、こいつが後に吉本隆明にかぶれ、「東京には何かある」と言い残したバカ男です(笑)。
ちわきまゆみというのも名前を知っているくらいで、またチェックしてみますね。

わたしは音楽に関しては、日本が足らなかった感ありですが、プロのミュージシャンでありながらドメスティックな音楽にしか興味がないというのは、音楽家として怠慢である以前に、幼児性すら感じます。ミュージシャンでさえそういう人たちが増えているのであれば、リスナーの状況は壊滅的ですね。スポーツに関しても、日本人さえ活躍していればどんなスポーツでも大きく取り上げるという風潮がとても気持ち悪いんです。

大島弓子も俄然読み返してみたくなっております。そしてディックとジェファーソン・エアプレインのご指摘もとても刺激的です。 RUKO
by 末尾ルコ(アルベール) (2017-09-07 08:56) 

caveruna

懐かしいです!ちわきまゆみ、よく聴いてました!
Gloria以降は、あまり記憶がないけど・・・
by caveruna (2017-09-07 11:49) 

lequiche

>> 末尾ルコ(アルベール)様

サレンコという名前ありますね!
日本の音楽といっても意外に広いですし、
どちらかというとかなりマイナーな人が多いですが、
そのカルト感をわざと追求している部分もあります。

坂本龍一は超メジャーになってしまいましたが、
最初の頃は 「何かヘンな人」 的な印象があったと思います。
それはいわゆるドラッグ文化の影響もあったので、
フィリップ・K・ディックの場合も同様に時代の影響があり、
この前のバリー・マイルズのザップルの話と同様、
読んでいて辛いです。
つまりディック、ザップル、西海岸のサイケデリックなどは
相互に関連性があるように見えます。
ジェファーソン・エアプレインというのは
そういうドラッグ&サイケデリックな話題になると
必ず出てくる名前なので、思ったより重要なんだと思いました。
私はほとんど知らないので今度まとめて聴かないと。

ちわきの場合は、ボラン→グラム→ブリティッシュ系
というふうに定義できますが、
日本的にアレンジした特有の消化方法も感じられます。
加藤和彦も曲を書いていますがそのあたりの影響もありますね。

プログレは私にとってはよくわからないジャンルで、
でもテクニックというよりは全体のコンセプトがどうか、
だと思います。
テクニックということだけでいえば、プログレ系では
エイドリアン・ブリューはすごいと思いますが。

以前、ギルモアのライヴのことをブログに書きましたが、
http://lequiche.blog.so-net.ne.jp/2012-02-09
その前にクレイジーダイヤモンドとか多少は聴いていましたけど、
フロイド系はこのグダニスク・ライヴで
初めておおっ、と感じました。遅過ぎですが。
https://www.youtube.com/watch?v=fJZ-uoXnfWg

確かに世界的な目というのは必要ですが、
たとえば演歌だったら日本だけでも事足りますし、
江戸300年の文化みたいな閉鎖された空間でも
それなりな文化の爛熟はあったので、
そんなものかなぁと最近は達観しています。
スポーツの場合は国粋主義に通じるので嫌な感じがしますが、
昨今の政治情勢からするとそれも当然かもしれません。
イヤな時代です。

文章は最果タヒの書き方のパロディをしようとしたのですが、
失敗しました。(^^;)
by lequiche (2017-09-07 14:43) 

lequiche

>> caveruna 様

そうですか! それは素晴らしいです。
一応、Gloriaがひとつの区切りですね。
というか樋口一葉的にいえば、
1986〜88年はちわきの奇跡の3年間です。(^^)
by lequiche (2017-09-07 14:43) 

トロル

わたしも未だちわきまゆみのCDは現役です!なつかしくて、YouTubeあれこれ見てしまいました♪ 当時のボンデージ、今見てもちょうど良い感じのボディにめちゃめちゃキュートで、オーロラガールの白いのを着ているのなんか、舐めるように見返してしまいました、ヤバイ!余談ですが、短期間バイトしていた某出版社のエレベーターでちわきさんと乗り合わせて、(あ、あぁぁぁ〜と、思ったのですが、)言葉を発せず、わたしが先に降りました。エレベーター内はむせ返るような香水の香りでした。ちょっと意外だった…。
by トロル (2017-09-07 22:03) 

Flatfield

テープエコー・・・スチームバンク・・・いい表現ですね。 有り余ったテープデッキのヘッドでメロトロン作るとか、リバーブもテープ、プレート、スプリングとか使ったりして。
ちわきまゆみ、懐かしいです。 私も時の勢いでAttack Treatment買っちゃいました。 
by Flatfield (2017-09-07 22:07) 

NO14Ruggerman

「ちわきまゆみ」さんは以前マークボランをコメントしたときに
返してくれたアーチストのエピソードで憶えていました。

リンクのユーチューブ拝聴させていただきました。
<リトルスージー>は<20th Century Boy>よりも
イントロ含め全体の曲調が<Get It On>を髣髴とさせました。
むしろ<Climb、Baby Climb>の方が20thを連想させる
ように感じたので十人十色の感じ方なのだな、と感心しました。

<SE2>は聴いて即座にクラフトワークじゃないか!と
思わず叫んでしまいました。
そういえばテクノ御三家と言われた「ヒカシュー」のLiveを
最近立て続けに聴きに行ったので記事にしようか、と思っていた
ところです。
by NO14Ruggerman (2017-09-08 00:04) 

lequiche

おぉ、そうですか。
オーロラガール、カッコイイですね。
ウエストの細さが半端じゃないです。(^^)
エレベーターで遭遇とは、すごく羨ましい話です。

ボンデージ系のフェティシズムは
まだ単なるエロアイテムとしか認識されていた頃のはずで、
ちわきは単なるポスト・グラムとは違うんですね。
ちなみにSKIN TWOの創刊が1983年、
そうしたトレンドが日本でもかなり人口に膾炙されて
AZZLOのできたのが1989年ですから、
ちわきはそういう意味でも最先端で、でもたぶんリスナーは
そこまではわかってなかったと思います。
by lequiche (2017-09-08 03:41) 

lequiche

>> Flatfield 様

デジタルに振れないでアナログのままだったらどうなったか、
という想定もスチームパンクのなかにあると思うんです。
穿った見方かもしれませんが、
最近アナログレコードとか真空管とかが見直されているのは、
デジタルの不確実性や実体の無さ加減がキモチワルイからだと
私は思っています。

ちわきまゆみ、意外にご存知のかたが多いですね。
ちょっと心強いです。
岡野ハジメはヘンタイ楽器がお好きなようで、
そういうのあり? というような奇妙なかたちのベースを
弾いていたりします。
by lequiche (2017-09-08 03:41) 

lequiche

>> NO14Ruggerman 様

はい。確かにGet It On といってもいいです。
何ていうのか、T.Rex的な音の出し方だと思います。
ただ、Get It On も 20th Century Boy も
歌の部分が20小節という半端な数なんですが、
Get It On は 6+6+4+4という形式で、
20th Centuryは 8+8+4 です。
リトルスージーは普通の8+8の16小節ですから、
というふうに考えました。

Studio Electoronicsというのは、
minimoogのクローンなどを作っていた会社で、
その簡略版がSE-02だと思います。
最近、本家のminimoogが再生産されてしまい、
しかもMIDIが付いていたというオマケ付きで、
それと較べてしまうと残念ですが、
なんといっても安いですから。

ヒカシューの記事、楽しみにお待ちしております。(^^)
by lequiche (2017-09-08 03:42) 

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