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ジューシィ・フルーツから連想すること [音楽]

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ジューシィ・ハーフ (イリア公式ブログより)

楽器店にピンクのブギーがかけてあった。何でまたジューシィが、と思ったのだが、近田春夫が38年ぶりにアルバムを出したと『レコード・コレクターズ』に書いてあって、そういうリヴァイヴァルもありなんだなぁと思ったのです。
それにさきがけてジューシィ・フルーツも今年、《BITTERSWEET》というアルバムをリリースしているとのこと。もちろんwikipediaには載っていません。ジューシィは登場した時点ですでにノスタルジックな音で、GSサウンドの一種のパロディだったから、それからさらに時間が経ってしまったらどうなんだろうと少し心配でしたが、でもそれなりに活動を再開させていたらしい。

初めてオリジナルの音を聴いたときは、「これ、ふざけてるだろ?」 という感想だったけれど、それで実際にふざけてるんだけど、でも近田春夫プロデュースだし、そしてふざけてるけど真剣でもあります。ガレージってわけでもなくて、つまり懐旧ポップスなんでしょうね。
奥野敦子は日本最古 (?) のガールズバンド GIRLS のギタリストだけれど、そのバンドの音を聴いたらさすがに……でした。ランナウェイズのパクリっぽいイメージでやってたらしい。まぁ最初はキワモノなんでしょうか。しかしガールズってグループ名は検索しにくくて困ります。

YouTubeに1983年リリースの〈そんなヒロシに騙されて〉が幾つかあって、当時のライヴ動画は画像最悪、音も合ってないけどなかなか聞かせます。シングルレコードの音源よりこのライヴのほうがGS風テイストがサマになっていて、特に間奏のギターが泣かせる。これはたぶん柴矢俊彦ですね。(違ってたら指摘してね)

そして今年発売の34年ぶりというアルバム《BITTERSWEET》の音は、トレーラーとダンス用ヴィデオっきり見つかりませんでした。ちなみにビタースウィートというタイトルから連想するのはロキシーの《Country Life》に収録されている私の偏愛曲〈Bitter-Sweet〉なので、やや微妙。でも浜崎あゆみにも〈Boys and Girls〉という曲があるしね。

ところで最初のピンクのブギーですが、知ってる人は知ってるというか、もう有名過ぎる話なので逸話ではなくなっているのだけれど、グレコでイリアモデルを作るにあたって、このマニキュアの色がいいといったら、実際にそのマニキュア (レブロンだっけ?) を何本も使って塗ってしまったという、塗装料の高いギターだったわけです。現在の生産モデルはもちろん違いますけれど、きらきらしたピンクがかわいい。

さて、ブギーといえばリヴァースネックが特徴的ですが、この、微妙にビザールな全体のシェイプとなによりもリヴァースの視覚的なアンバランスさがステキです。それから連想してしまうのがジミ・ヘンドリックスで、でも彼は右手用のギターを左手で弾いてしまったので結果としてリヴァースなので、意図したリヴァースではないのかもしれないですけれどでもイメージのビザールさは同じ。
《Electric Ladyland》のリマスター盤が発売されていますが、ジャケットにはリンダ・イーストマンの写真が使われています。バンド・メンバーと子どもたちがセントラル・パークでなごんでいる写真で、いままでの、特にセクシャルなイギリス盤とは大きく違う印象。ジミ本人はこの写真のジャケットにしたかったとのことで、それが50年経ってから実現したのだそうです。尚、リンダは翌年、ポール・マッカートニーと結婚しました。
ジミ・ヘンドリックス、やぱ、すごいよね。って、ほとんど知らないけど〈Purple Haze〉くらいは知ってます。それになによりも《Electric Ladyland》もビートルズのホワイト・アルバムも1968年っていうのがすごい。にもかかわらず今、大ヒット中のクイーンの映画と違って、ジミの伝記映画は売れなかったらしいし、そういうゴタゴタも含めて、まだまだ評価として低過ぎるような気がします。


Juicy Fruits/BITTERSWEET (ビクターエンタテインメント)
BITTERSWEET




The Jimi Hendrix Experience/Electric Ladyland (LEGACY)
ELECTRIC LADYLAND (DELUXE EDITION) [3CD+BLURAY BOX] (50TH ANNIVERSARY)




ジューシィ・フルーツ/そんなヒロシに騙されて
https://www.youtube.com/watch?v=RiXU5Mj2zDM

ジューシィ・フルーツ/ラニーニャ 情熱のエルニーニョ
https://www.youtube.com/watch?v=LeolCuv1f2I

ジューシィ・フルーツ/ラグジュアリーなおじさん
https://www.youtube.com/watch?v=po-DKiRUYhE

Roxy Music/Bitter Sweet
https://www.youtube.com/watch?v=y63ydqGAA3Y

The Jimi Hendrix Experience/Purple Haze
Live at the Atlanta Pop Festival
https://www.youtube.com/watch?v=cJunCsrhJjg
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あとりえSAKANA

ジューシィフルーツの12インチCD
自宅にあるような気がします。
ジェニーはご機嫌ななめ…が。
懐かしいー☆
by あとりえSAKANA (2018-12-25 13:47) 

末尾ルコ(アルベール)

ジューシィ・フルーツが34年ぶりのニューアルバムなのですね。これは吃驚です。
その部分を拝読する前に「ラニーニャ 情熱のエルニーニョ」の動画を視聴して、てっきり昔のジューシィ・フルーツが出てくると思い込んでいたので、画面をキョロキョロ探してしまいました(笑)。
そして近田春夫は38年ぶりのアルバムなのですか。
近田春夫とか、ずっと活動しているイメージなのですが、それは意外です。

近田春夫という人について、かつてわたしはどこがいいのかまったく理解できなかったんです。
単なるおちゃらけた人で、その割には音楽についていろいろ口出してくるおじさん・・・そのくらいの印象でした。
まあそれはわたしの中に、(ロックもポップも英米に限る)という思い込みがあったからで、近田春夫らに対しても個人的には新たな気持ちで見直してみるべきだと感じております。

Roxy Music/Bitter Sweetの動画なのですが、初めて観たのですけれど、素晴らしいですね。
ハマープロとアラン・ポウとオスカー・ワイルドを混ぜ合わせながら、それらのパロディとなっている。
当然ながら昨今のPVと比べるとシンプルな作りなのですが、「本物」ならではの素敵な映像です。
Roxy Musicと言えば、『AVALON』をめぐっての、渋谷陽一と今野雄二の大人げない争いも今は昔です(笑)。

「ジョン・ケージを弾いているリープナー」、視聴させていただきました。
カッコいいですね~。
ちょっと振付家のピナ・バウシュの風貌を彷彿させてくれます。
そう言えば、ピナ・バウシュもドイツ人で、ドイツはコンテンポラリーダンスが盛ん。
現代音楽に支持があることとの共通点も感じます。

>漠然とした聴き方のほうがなんとなく見えてくる

ああ、それはあるかもしれませんね。
集中して聴こうとすると、逆に集中できなくなることも時にあります(笑)。

『ボヘミアン・ラプソディー』も、日本でこれだけ大ヒットすると、逆に胡散臭く感じます。
わたしが一番最初にファンになったロックバンドがクイーンなんですが、『世界に捧ぐ』が発表された頃は、それまでのクイーンファンはかなり冷めていた印象です。
「We are the champion」や「We will rock you」など聴きやすい曲の影響で、ロックを知らなかった人たちに知られるようにはなっておりましたが、ロックファン、特に『ロッキングオン』系のファン(わたしもそうでしたが 笑)たちは、(もうクイーンは終わった)と、そんな解釈をする人が多かったです。
フレディ・マーキュリーが死去した後、『ボヘミアン・ラプソディー』という曲自体は、『ウェインズ・ワールド』という映画が米国で大ヒットし、その中でギャグ的に使われていたので、再び大きな注目を浴びたという経緯がありました。
そして特にフレディ・マーキュリーは2000年代に入って評価がうなぎのぼり、米英のロック誌などで軒並み歴代ヴォーカリストの上位に入っているのを知った時にはとても驚きました。
以前は、ストーンズやピンク・フロイド、レッド・ツェッペリンなどより、かなり格下のバンドと見られておりましたから。

ちなみにザ・ランナウエイズの「チェリー・ボム(Cherry Bomb)」は今聴いてもなかなかカッコいいと思います。
近年『ランナウェイズ』という映画ができてますが、ダコタ・ファニングがシェリー・カーリーというのは無理がありましたが、ジョーン・ジェットを演じたクリステン・スチュワートはカッコよかったです。 RUKO

by 末尾ルコ(アルベール) (2018-12-25 14:48) 

lequiche

>> あとりえSAKANA様

それはすごいです。随分前の作品ですから。
〈ジェニーは……〉はジューシィのなかで
たぶん一番有名な曲ですね。(^^)
by lequiche (2018-12-26 02:48) 

lequiche

>> 末尾ルコ(アルベール)様

近田春夫の38年ぶりのアルバムというのは
正確にいえば本人名義としてのアルバムが38年ぶりなので、
それ以外なら間歇的にリリースされているようです。

おっしゃるように近田春夫はおちゃらけているというか、
つまり韜晦の人なのでその真意がわかりにくいです。
変なオジサンのように装っていますが本質は全然違います。
ちょっとマニアックな、正統から外れるようなものに対して
すごく適応力とかプロデュース能力があるように思います。
プロディースした人たちのなかに戸川京子の名前を見つけて、
あぁそうなのか、と少し納得しました。

渋谷陽一と今野雄二の論争というのはよく知りませんが、
渋谷はどこまでも論理で押し詰めていくのに対して
今野は基本的にミーハーだったのかもしれません。
ブライアン・フェリーについても渋谷は知性が無い
と言っていましたが、でも音楽というものは
知性だけで作るものではないので、
そういうふうにしか捉えられないのが彼の惜しい部分です。
ブライアン・フェリーとかデヴィッド・バーンとか
知性が無い (ように見える) んですが、
でもそこに作用するのが音楽的センスのデーモンです。
デヴィッド・ボウイなどは知性もありますから
渋谷的にはOKなのかもしれませんが、
でもここ一番の時、ボウイから出てくるのは知性ではありません。
結果として出てくる表象のコントロール力が優れているだけです。
レプレザンタシォンという意味での表象です、
そういう意味ではフェリーなんかには複雑性が無いので
わかりやすいと思うのですが。
今野はボウイがこんな服を着ていたので僕も着よう!
みたいなミーハーなことを言うので
渋谷の非難の対象となりますが、実はどういう服を着ていたか
ということも含めての音楽 (ライヴ) だと思うのです。
それがわからないとプリンスもわかりません。
私はお2人のことをよく知らないで書いているので、
全く見当違いかもしれませんけれど。

クイーンについても私は同様によく知らないので、
こんなに映画がウケてしまったのにびっくりですが、
でも基本的に重要なのは 「ミーハーの心」 なのです。
ミーハーになれということではないのですが、
理論とか知性ということを離れて、この音楽は何かキュンと来る
という感覚に対して素直であることは必要だと思うのです。
もちろんミーハーなだけではダメで、
でも理論だけでもダメだと思うのです。
理論だけで押し通そうとして一般性を放棄してしまったのが
現代音楽の12音技法とかセリーなのですから。

それでフレディ・マーキュリーを少し聴いてみましたが、
あたりまえの言い方ですけれど歌がうまいです。
それはテクニックとか見てくれではなくて、
もっと根源的な何かです。
そうしたものを持っているか持っていないかが
その人が歌手として成立するかどうかの分岐点となります。
歌というものは歴史を遡って行けば呪術的なもののはずで、
つまり雑な言い方をすればその存在が巫女であるか否かです。

ランナウェイズはセクシーな衣裳が特徴的ですが、
それだけで見ていると本質から外れてしまうように思います。
プリンスもキッスもそれは同じです。
それが単なるフックなのか、それとも方法論のひとつなのか
見極める必要があります。
ミーハーなほうがそうした差異に敏感で正しい選択をしたりします。
クイーンもチープトリックもジャパンも、
日本のミーハーが育てたのかもしれないのです。
それはロックやポップスだけではなくて
現代音楽にもあてはまるのかもしれません。
ぼんやりと漠然と聴いていたほうがいい場合があります。(笑)
by lequiche (2018-12-26 02:48) 

Flatfield

どうもこんにちは。
ジューシーフルーツ、高校の文化祭でやりました。懐かしいです。
テレビで見たときはもう結構稼いだのかギブソンのレスポールで弾いてましたが。 その前はそういうギター(ブギー)で弾いてたのですか、初めて知りました。 ジミヘンのリヴァースネック、だいぶ前ですがジミヘンが1音半~2音チョーキングできる?のは通常のストラトと違って弦の長さが短いからだなんていう都市伝説がありましたが、後になってナットまでの長さは同じだし、それよりもチューニングを半音とか1音ぐらい低くして使っているのが一般的なのであって、あとはジミヘンは指が長いからかなとか。。結局どうなのかよくわからないんですが。 (ジミヘンが半音下げで弾いていたのは本当らしいです)
by Flatfield (2018-12-26 22:22) 

lequiche

>> Flatfield 様

す、すごい!
ということはかなりメジャーなバンドだったんでしょうか。
ブギーといってもグレコです。
このピンクは人気があるのか何度も再発売されているようです。

チューニングを下げていたというのは本当でしょうが、
当時はライトゲージなんて無くてレギュラーのみですから
1本ずつずらしていたという可能性もあります。
当時のレギュラーだと014からだったりしますので。
つまり1弦だけテンションが高くなってしまいますが、
その点でもリヴァースヘッドのほうが有利ですね。
by lequiche (2018-12-28 04:01) 

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