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Spain [音楽]

chickcorea_210213.jpg
udiscovermusic.jpより

〈Spain〉はReturn to Foreverの2ndアルバム《Light as a Feather》(1973) に収録されている曲である。導入部はロドリーゴのアランフェスであるが、ジャズでアランフェスを効果的に用いた嚆矢は、もちろんマイルス・デイヴィスの《Sketches of Spain》(1960) である。
マイルスのアルバムはアランフェスで始まり、ずっとそのテイストを保ちながらギル・エヴァンスのオリジナルである〈Saeta〉〈Solea〉に終結するのだが、〈Spain〉はアランフェスから一転して明るくて急速なリズムに変わるところが新鮮である。

今夜、いろいろな人のカヴァーを含めて、ずっと〈Spain〉を聴いていた。
スティーヴィー・ワンダーの2008年のロンドン・ライヴは、おそろしくタイトでパーカッシヴなリズム。何と言ってもスティーヴィーのハーモニカが光る。
2004年のモントリューのライヴは、客席とのリフの呼応がほほえましい。
そして上原ひろみとのデュオは《Now He Sings, Now He Sobs》の〈The Law of Falling and Catching Up〉を彷彿とさせる内部奏法から始まるが、上原がどんなに仕掛けても余裕で応える対話が美しい。

私は《Tones for Joan’s Bones》のLPを偶然持っているが、これが1stだとは知らずにたまたま買った1枚であった。だからあまりよく聴いていなくて、繰り返し聴いたのは《Now He Sings, Now He Sobs》からである。昔風の表現でいえば擦りきれるほど聴いたが、そのSolid State盤を人にあげてしまったのが今思えば残念である。


Chick Corea Return to Forever/light as a feather
(Universal Music)
スペイン~ライト・アズ・ア・フェザー(SHM-CD)




Stevie Wonder/Spain (live, London 2008)
https://www.youtube.com/watch?v=Q3VJOl_XeGs

Chick Corea/Spain (live at Montreux 2004)
https://www.youtube.com/watch?v=IWBkVucVMCY

Hiromi Uehara & Chick Corea/Spain
https://www.youtube.com/watch?v=s11ER546zBM

Chick Corea/Steps−What Was
https://www.youtube.com/watch?v=foPHn7xGjZE

The Chick Corea Akoustic Band Jazz San Javier 2018
https://www.youtube.com/watch?v=w-XZu8DBLSs
(Concierto de Aranjuez 1:17:20〜)
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NO14Ruggerman

私が最も敬愛するアーチストのひとりであり
とても寂しく思います。
リンクの動画をじっくりと
聴かせて頂き哀悼の意を鎮めたいと思います。

合掌
by NO14Ruggerman (2021-02-13 10:52) 

lequiche

>> NO14Ruggerman 様

力が抜けてしまいました。
でも、人間、誰でもいつかは死ぬんだと思いました。

チック・コリアはこれだけ有名なのにもかかわらず、
ナウ・ヒー・シングスの次のアルバム《IS》が
入手できません。
この前、販売していたとき、買い損なってしまいました。
ややアヴァンギャルドな傾向なので
廃盤状態なんでしょうか。
しかもオリジナル・ジャケットではないんですよね〜。
あと、マイルスの《キリマンジャロの娘》も
意外に良い音源のものが入手しにくいです。
《アット・フィルモア》もマイルスのライヴの中では
あまり評判がよくないですが私は好きです。
キリマンもフィルモアもチック・コリアの在籍時です。
by lequiche (2021-02-13 13:55) 

末尾ルコ(アルベール)

リンクしてくださっている動画、視聴させていただきました。
アランフェスは特に村治佳織の演奏などでよく聴いてきましたし、『Sketches of Spain』も持っていて、愛聴してきました。
しかしこれだけ様々なミュージシャンによってアレンジされ、演奏され続けているのですね。とても新鮮でした。それだけ強くインスピレーションをもたらす作品なのですね。

アランフェスの原曲は陰翳がとても濃厚な音楽として、その上でのエモーションを喚起する音楽として認識してますし、アフリカと欧州の狭間に位置するスペインという土地の感触も体感できる曲なのではないかと思っています。
マイルスの作品はさらに強い熱感と、それによってもたらされるさらに深い陰翳と、時に魔術的なまでのうねりを感じるものでした。
スティヴィー・ワンダーのはどんどん演奏がノッてくる臨場感が素晴らしいですね。格楽器の威力も存分に発揮されているように見えます。
そしてチック・コリアのプレイとなると、思索的なアランフェス・・・そんな印象です。
まあこれらは音楽理論に疎いわたしの素朴な感想に過ぎませんが、それにしてもこれだけ音楽家たちに愛されるアランフェスにあらためて深く興味が湧いてきました。


・・・

ジョン・デンバーがカントリー・ポップというのはいいです。
パンク・ポップとかソウル・ポップなんてカテゴリーもできそうです(笑)。

ぜんぜん当てずっぽうですが、音楽のクオリティは、創作者の生まれ育った土地の影響を強く受けることが多いのかなあと、カントリーや先ほどのアランフェスなどを聴いていて思います。
もちろん「その土地」で育ったということは、「その土地の文化教育」の洗礼を受けていて、その影響もあるのはもちろんですけれど、それ以前に「土地」や「自然環境」からじりじりと魂の芯まで沁み込んでくる影響力が大きいのではないかと。
実に適当な感想、失礼いたしました(笑)。

「学生街の喫茶店」は確かに歌謡曲ですよね。
ガロは見た目がちょっと、当時としてはカッコいいので、一瞬(凄い人たちなのでは)と思うのですが、曲の展開など、いかにも歌謡曲的な盛り上げ方だと、まあこれもご指摘くださって理解できたのですけれど(笑)。 RUKO

by 末尾ルコ(アルベール) (2021-02-13 19:00) 

lequiche

>> 末尾ルコ(アルベール)様

スペインは音楽的に見ても特徴的ですね。
それは多分に地理的な影響もあるのかもしれません。
フラメンコもそうですし、クラシックでも
アルベニスやグラナドスなど特有の音を持っています。
グラナドスのピアノは左手がフラメンコ的リズムを
感じさせます。
スペインのピアノについては以前書きましたので
お時間のあるときにでも。
https://lequiche.blog.ss-blog.jp/2013-10-24

スティーヴィーのスペインは、
これ、リンクしちゃっていいの? と思ってしまったんですが、
つまりチック・コリアを超えてしまってるような気がして、
圧倒的にすごいです。すべてのミュージシャンの演奏力が
とても高いですね。

ジョニ・ミッチェルはカナダのプレーリー3州の生まれで、
だから私はプレーリーの娘だったと言っていますが、
生まれた土地の影響というのは強くあると思います。

ガロの〈学生街の喫茶店〉という曲は、
その当時の歌謡曲的な環境の中ではかなり綿密に作られた
という感じはするんですけれど、
間奏でイングリッシュホルンのソロがあるんですが、
なんかとても中途半端なソロで、
しかも吹いてるのは村岡健らしいんですが、
この時代だとこんなもんなんでしょうね。

ガロのCSNのカヴァーがYouTubeにあります。
《Crosby, Stills & Nash》というデビューアルバムに
収録されている曲です。
CSN&Yになってからの超有名盤《Déjà Vu》の
1年前のアルバムです。

GARO/青い目のジュディ
(Crosby, Stills, Nash/Suite: Judy Blue Eyesのカヴァー)
https://www.youtube.com/watch?v=-Od4cuU9VmU
by lequiche (2021-02-13 21:11) 

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