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最近買った雑誌など [本]

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新垣結衣/FENDI (SPURサイトより)

なぜ 「最近読んだ雑誌」 ではないのかというと、必ずしも読むとは限らないからで、買ってもそのままの雑誌や本は当然あります。というか雑誌なんて舐めるようにして読むことなんて滅多になくて、あそことここだけ、というのがほとんどのはず。

●文藝春秋 2021年9月号
https://www.amazon.co.jp/dp/B099TQ5DBQ/
芥川賞発表掲載号。今回の受賞者は石沢麻依と李琴峰。李琴峰がこんなに早くとれるとは思っていませんでした。李琴峰の『ポラリスが降り注ぐ夜』のことはすでに書きました (→2020年07月19日ブログ)。李琴峰は台湾人であり、母国語でない言語で小説を書くというのはかなりむずかしい作業だと思う。
受賞者インタビューに自分の作品に対する評価に対しての明快な反論がある。

 「『外国人が描いたLGBT小説』という枠を超えられていない」 と、前回
 芥川賞候補になった時、西日本新聞の文化面で評されました。これは
 「外国人が書いたLGBT小説」 というそもそも存在しない枠を作って、作
 品を中に放り込んで閉じ込めるような乱暴な評語ですね。このような評
 語は、文学の自由という本質からかけ離れていると思います。
  私自身は、この人はこういう作家だ、と決めつけられたくはないです
 ね。この世界はすごく複雑で人間の認識は限られているから、何かしら
 カテゴライズしないと全貌を認識できない。だから境界線を引いて、い
 ろいろな国や人種を作るのだと思います。(p.302)

そして、

  最近、私の政治的立場を知って 「裏切られた」 と感じる在日台湾人の
 方々もいらっしゃるようですが、そう感じるのは、そもそも私という人
 間をよく知らないで、私を 「台湾人」 という大雑把なカテゴリーだけで
 捉えているからだと思います。台湾生まれというのは変えられない事実
 ですが、だからといって、自分自身以上のもの——例えば国家とか、日
 台友好とか、祖国の偉大なる復興とか——そういったものを背負うつも
 りはないし、背負いきれないんです。(p.303)

という。さらに、

  いまはすべての複雑なものごとが対立的な二元構造へと簡略化されて
 いるのだと思います。「あなたは台湾人なの? 中国人なの?」 みたい
 に。でも本当は、便宜上のカテゴリー同士の間にはグラデーションだっ
 ていっぱいあるのですよね。(p.303)

グラデーションという表現には当然、LGBT的な認識の上での性のグラデーションということも念頭においていると思える。
受賞作は仮想的な複数の言語がある世界を描いていて、幻想文学ともSFともとれる構造を持っているが、『ポラリスが降り注ぐ夜』でもこのインタビューでもそうだったように、たとえば政治的な部分に対しての意見もはっきりしていて、一種の骨太さを感じる。

●SPUR 10月号
https://www.amazon.co.jp/dp/B09BYN3TBJ/
表紙が新垣結衣で、中にFENDIを着た何枚かのショットもある。クロップド丈の上衣に対するハイウエストなロング・ボトムスという対比が特徴的だ。光沢のあるロングのドレスもロングコートも上下の流れが強調されて強いイメージがあるが、新垣結衣はよく着こなしている。表紙のニットもFENDI。カメラは黄瀬麻以である。キム・ジョーンズのFENDIを紹介している内容にもなっているのだが、それらの他の作品はゴージャスだがまだ個性がはっきりと見えてきていないような気もする。

●VOGUE 10月号
https://www.amazon.co.jp//dp/B09981432N/
あまりメインとなるテーマのない内容。FASION REPORT F/W21という各デザイナーの新作を1ページ大でとりあげている特集があるが、これってページ稼ぎ? って感じもするが迫力満点。現在、アンソニー・ヴァカレロがディレクターのイヴ・サン=ローランの色彩の取り合わせが私の中ではベストである。

●SWITCH 8月号
SOUNDTRACK 2021というタイトルになっているが、細田守の《竜とそばかすの姫》の特集。これは結構読ませる。

SWITCH Vol.39 No.8 特集 サウンドトラック 2021 (表紙巻頭:細田守『竜とそばかすの姫』)




●SWITCH 1月号
ついでに買ったバックナンバー。新垣結衣+星野源の特集。この号が出たときはまだ結婚してなかったのですが。

SWITCH Vol.39 No.1 特集 ドラマのかたち 2020-2021(表紙巻頭:新垣結衣&星野源 『逃げるは恥だが役に立つ』)




●Honda RA615H Vol.1
F1速報の別冊。第4期活動のすべてとあって、Vol.2:RA616H−RA617H、Vol.3:RA618H−RA619H、Vol.4:RA620H−RA621Hと全4冊になるのだそうで、こんなの売れるのかなと思うのでとりあえず買っておく。

Honda RA615H HONDA Racing Addict Vol.1 2013-2015 (F1速報 別冊)




●ロキシー・ミュージック大全
雑誌じゃなくてムックだけれど、それに背文字がデカ過ぎてダサいんだけれど、まぁいいか。

ロキシー・ミュージック大全

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末尾ルコ(アルベール)

確かに雑誌、ごく一部しか読まないですよね。
買って部屋へ持って帰った瞬間はわたしの場合、(これ、興味のない記事も全部読むぞお!)と気合が入ってるんですが、家の中には他にもごまんと本がありまして、結局雑誌は最初の数日で目を通す記事以外は読まずじまいが普通です。
『文藝春秋』で言えば、『推し、萌ゆ』が芥川を獲った号を買って、(よっしゃあ!他の記事も全部読むぞお!)と決意して読み始めたのですが、結局『推し、燃ゆ』とあと数記事で終わっちゃいました。

李琴峰の作品、実はまだ読んでないですが、芥川を獲った後、ネットで誹謗中傷を受けたとも訴えてましたよね。とにかくネットって、誹謗中傷のみが目的で記事を読んでいるというか、ろくろく読みもしないで書き込む手合いも多くいる感じです。「多く」といってももちろんごくごくのノイジーマイノリティではあるのでしょうが。
例えば外国で賞を獲得した映画監督に対して、「白人の犬が!」とか書き込む人がいるから呆れる以前の問題です。

>自分の作品に対する評価に対しての明快な反論。

これはおもしろいですね。日本では作品に対する議論が活発でないので、どんどん仕掛けてほしいところです。


>「『外国人が描いたLGBT小説』という枠を超えられていない」

西日本新聞のどのようなライターが書いたかもちろん分かりませんが、これは書き手としては腹立つでしょうね。あまりに大雑把な物言いで、到底文芸批評のレベルに達しているとは言えません。

>対立的な二元構造へと簡略化

これはありとあらゆる分野において見られる悪しき傾向で、つまりは人間存在の複雑性、そして世界の複雑性について考えることも感じることもできない人間が多くなっているということでしょうね。そうした人間に限ってやたら攻撃的であるという点も問題です。
米国ではアフガン問題などでバイデンが支持率を落とし、またぞろトランプが次期大統領を狙う…という動きも見えてきています。先行きは不安定さがより増してきている印象です。

『VOGUE』も買ってきた時は(さあ、全頁味わい尽くすぞお!)となるのですが、まあ『文藝春秋』よりはよく頁を繰りますけれど、今ひとつ味わい尽くすには至りません(笑)。
ところで女性誌って、占いにけっこうなスペースを取ることが多いですが、そういうのはお好きでしょうか?



>なるべく多くの音楽を聴くことが必要だと思います。

本当にそうですね。
誰に、何に影響を受けてきたか…とても重要です。そして現在はリスナーの側が「J」だけで満足し、海外は全く視野に入ってない人が多く、ここに大きな問題があると思ってます(映画や文学も同様に)。

by 末尾ルコ(アルベール) (2021-09-08 05:57) 

coco030705

最初の新垣結衣さんのフェンディを着た姿、とても素敵ですね。これが服を着こなすということなんですね。
モデルさんは細いから、どんな服でも似合うのだと思っていたのですが、服と格闘するというのか、自分が服に着られてはいけない、服を征服してその良さをみせるのがモデルという仕事なのでしょうか。
SPURの表紙の新垣さんもいいですね。星野源と結婚して一層きれいになったような気がします。充実感が彼女を美しくしているのかしら。
VOGUEもステキ!昔はVOGUEやマリー・クレールなんかをよく買っていたのですが、今は買わなくなってしまって……。久しぶりにVOGUE を買うかもしれません。
by coco030705 (2021-09-08 23:11) 

英ちゃん

雑誌や本は全く買わなくなりました(^∇^;)
特にインターネットを始めてからはね。
ブログで活字は読んでるから本を読んでるのと同じような感じもします(^_^;)
by 英ちゃん (2021-09-09 17:24) 

U3

 一応拙ブログのブログテーマは「本」なので本は読むのですが、受賞作はしばらく間を置いて、話題が醒めた頃に書評など見て買い求めています。
 ですからタイムリーな話題にはついて行けない私です( ̄∇ ̄)
by U3 (2021-09-09 19:24) 

lequiche

>> 末尾ルコ(アルベール)様

宇佐見りんという作家はまだ読んだことがありません。
これだというインスピレーションが湧いたら
読んでみたいと思います。
李琴峰は日本語で書いていますが、
そのベースにある台湾をどうしても意識してしまいます。
思考方法に日本人にないものがあると思いますし、
母国語でない言語で小説を書く作家という意味で、
ナボコフを連想させるアプローチがあるように思います。

ネットの誹謗中傷とか低レベルの主張などは
私はほとんど気にしません。
インターネットというシステムの最もグロテスクな部分ですし、
読んでも時間の無駄のように思います。
李琴峰の指摘している西日本新聞の記事というのは
直接読んでいるわけではないのでなんともいえませんが、
批評のレベルとしてはネットに蔓延している
グロテスクな意見と大同小異なのではないでしょうか。
まともなメディアがそんなことでは困るのですが、
最近のメディアの平均的クォリティの低さがよくわかります。

たとえばLGBTということに関しても、
理解を示しているふうに装いながら、
実はかなり興味本位という傾向がどのメディアにもあります。
それは相変わらずこの国においては
男性主導の保守的価値観が優勢であることに他なりません。
メディアは本来検証した文章を使うべきなのに
インターネットが蔓延するようになってから
そうして方法論が失われました。
つまり無法地帯です。
無法地帯の文章を私は読みたいとは思わないのです。

占いですか。
たぶん自分にとって都合のいい部分だけ信じるようにします。
もし、占いが多分に論理的構造で成立しているのだとしても
その結論は最大公約数ですよね?
ですからその程度の認識なのではないかと思います。

昨日、レディオヘッドのKid A Mnesiaのリリースが発表されました。
この成立過程がなかなか面白くて、
ビートルズやツェッペリンのアウトテイク満載の再発とは
ちょっと違うところがミソです。
でもレディオヘッドなんてそもそも知らない人ばかりじゃないか、
という危惧があります。
最近の学校では世界史がなくて日本史だけしか教えてない?
とも思ってしまいます。(笑)
by lequiche (2021-09-10 02:18) 

lequiche

>> coco030705 様

新垣結衣+星野源ってカッコ良すぎますね。
新垣結衣は身長が比較的あるので (たぶん172cm以上)
こういう服でもサマになります。

フェンディはディレクターに就任したキム・ジョーンズの
ファースト・コレクションです。
彼はルイ・ヴィトン→ディオールと来てフェンディですから
もう、とんでもないです。(^^)
ただSPURで新垣結衣が着ている服は
統一したポリシーを感じるのですが、
コレクション全体を見ると、シックで技もありますが、
まだ様子見かな、という印象があります。
https://www.vogue.co.jp/collection/brand/fendi/21aw-rtw
1つ目の画像をクリックするとオートスライドになります。
VOGUEは雑誌も見ますが、
上記のサイトはとても便利で利用させていただいております。

『marie claire』はなくなってしまいましたね。
厳密にはまだあるみたいなんですが、よくわかりません。
私は『HF』が好きだったのですが同様になくなってしまいました。
『装苑』もときどき読むんですが、
これがなくなってしまったら日本のファッションも終わりです。
ですが、ファッション雑誌は維持するのがむずかしいみたいです。
by lequiche (2021-09-10 02:18) 

lequiche

>> 英ちゃん様

ネットだけで充足しているのでしたら、
お金もかかりませんし経済性としては抜群ですね。(^^)
by lequiche (2021-09-10 02:19) 

lequiche

>> U3 様

それもひとつの考え方ですね。
私はシュンですぐに読んでみたい本もありますし、
ずっと経ってから読む本もあります。
しばらく経ってから、あれはダメだった、
と後悔してしまうのもそれはそれでいいと思うのです。
それにブログで話題にできるのは
買った本のうちの10分の1以下ですので。
by lequiche (2021-09-10 02:19) 

coco030705

ファッションショーをオートスライドでみせていただきました。ありがとうございます。
とてもエレガントでしかも新鮮な感じもしました。そんなにファッションに詳しくないので自分の感覚だけですが。いいですね。
by coco030705 (2021-09-12 22:49) 

lequiche

>> coco030705 様

わざわざご覧いただきありがとうございます。
この機能は便利ですね。
服は静止画で見るより、本来は動画で動いているのを見るのが
重要なのだと思いますが、コレクション全体で観ることにより
そのデザイナーの傾向がわかりますから面白いです。
キム・ジョーンズが老舗メゾンと
どのように折り合いを付けていくのか興味のある今後です。
by lequiche (2021-09-17 03:03)