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Uru〈それを愛と呼ぶなら〉 [音楽]

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Uru (Uru twitterより)

TBSTVのドラマ・日曜劇場《マイファミリー》の初回を偶然観てから、面白いので毎回視聴している。主演は二宮和也、多部未華子で例によってネットの番組批評サイトでは役者がダイコンだとか現実感が無いとか言われてすこぶる評判が悪いが、そういう口さがない人たちの間で評判の悪いドラマはたいてい面白い。

このドラマはミステリー仕立てなので、オリジナルの脚本だから犯人が誰かわからずそれを推理する過程が楽しいのだ。ストーリーはいよいよ佳境、ミステリーもののセオリーに当てはめればたぶん犯人はこの人だろうと推理してしまうのだが、そうした常道を脚本家は当然考えているはずだからさらにそれを外してくるのでは、と思うときりがなくて、あるいは推理ものとしては禁忌の卑怯な手を使ってくるかもしれず、でもそれをも含めてシュミレーションしてみるというのがミステリーの楽しみかたなのであって、だまされて、あぁそれがあったか、と思わせられることをむしろ期待している。さぁどうなるのでしょうか。
ゲームソフトの開発会社という設定を象徴するひとつとして、犯人からのあのキモチ悪い着信音があるのだが、もしかするとあれを着信音に設定している人がいるかもしれない。ちょっとしたギャグとして。

ドラマの毎回のラストに、すっと入って来るUruの〈それを愛と呼ぶなら〉が絶妙で、結局ドラマの主題歌なんてそのラストに寄与するカタルシスのツールなのだ。「掛け違えていたボタン」 という歌い出しの歌詞が秀逸。
Uruは映像作品の主題歌や挿入歌に次々採用され、あっという間に (でもないのかもしれないが) 有名になってしまった。YouTubeでカヴァーを歌っていた頃の緻密な音世界が懐かしい。

THE FIRST TAKEで聴くことのできるYOASOBIのAyaseの書いた〈再会〉はLiSAとのデュエットだが、2人の個性が出ていて、LiSAの強く張った声とややかすれたUruの声が呼応して、明暗の対照のように心に沁みこむ。
曲もいつものようなAyaseカラーが出ていながらあらかじめこの2人のために書いたためか、ややいつもと違っていてその微妙さがキャッチーな印象を与えてくれる。あきらかにAyaseは対象とするリスナーを想定して書き分けている。

昔のアマチュアの頃のUruのシンプルな歌唱もいまだにYouTubeで聴くことができるが、これは以前にもリンクしたのだけれどサザンの〈真夏の果実〉が個人的には好みだ。このしっとり感が桑田とは違った風景を感じさせてくれる。


Uru/それを愛と呼ぶなら (通常盤・SMAR)
それを愛と呼ぶなら (通常盤) (特典なし)




Uru/それを愛と呼ぶなら TBS系 日曜劇場 「マイファミリー」 主題歌
https://www.youtube.com/watch?v=zPR-LcqWZJU

LiSA×Uru/再会 (THE FIRST TAKE, produced by Ayase)
https://www.youtube.com/watch?v=impSuIygMiQ

Uru/真夏の果実
https://www.youtube.com/watch?v=sNbsjw6K5z0
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末尾ルコ(アルベール)

わたししょっちゅうテレビドラマ批判をしてますが、それだけにけっこうテレビドラマ目を通してます(笑)。特に気になる俳優が出演している場合は必ず一度は観ることにしてますが、『マイファミリー』はとりたてて気になる俳優は出てませんが(笑)、母が賀来賢人好きなので録画して流してます。展開にかなり意外性がありますよね。
今放送しているものの中では『正直不動産』と『17歳の帝国』が気に入ってます。これらも母が山下智久、神尾楓珠が好きだから録り始めたのですが(ははは)。
『17歳の帝国』はなかなかの豪華キャストで、特に山田杏奈の存在が効いてます。とても優秀な若手女優の一人です。
Uruはいいですよね~。WOWOWでライブも放送しましたが、佇まいから歌唱から素晴らしいです。日常のマンネリ化した雰囲気をがらりと変えてくれますね。milletも好きですけど(笑)。

・・・

CLAMPについてのご説明、有難うございました。おもしろそうですね。このところ漫画を読む時間がないですが、機会があれば手に取ってみます。

蜷川実花の監督作はすべて観てますが、どれもなかなかおもしろい。ただ、ややジェットコースター的演出に感じはしますが、どのようにご評価されてますでしょうか。

広瀬すず、いいですよね~。最近「姉(アリス)が追いついた!」とか、メディア的バカな記事をよく見かけますが、そもそも女優としての格が違うと思ってます。もちろんすずの方が、キャリアもポテンシャルもずっと上。
綾瀬はるかはテレビドラマ出過ぎですね。事務所の方針なのでしょうが、こうまでひっきりなしにでるべきではない。長澤まさみが既に(こういう映画へ出たい)と明確な自己主張をしているのに比べ、綾瀬はるかにはやりことあるのだろうかと疑問に感じるところもあります。

>回春剤という言葉も連想します。

絶対「回春剤」から来てると思いますよ(笑)。エマニュエル・ベアールのちゃんとした映画なのですが、夫を失った女性が大学受講することで若い学生らとも恋愛状態になっていくという内容なので、「これって回春だよね、でもそのまじゃなんだから、回る春ってどうよ!」とかいう会議内容だったのではと想像してます(笑)。いずれにしてもまともなフランス映画を扱うスタッフがこのような日本題に決定したのが驚きです。             RUKO

by 末尾ルコ(アルベール) (2022-05-23 05:43) 

lequiche

>> 末尾ルコ(アルベール)様

お母様がお好きな俳優が出ている番組を録画する!
それはなかなか良い方法ですね。
お母様思いのルコさんの心情があらわれています。

《マイファミリー》第7回 (ラス前) では
ストーリーがほぼ標準的なミステリーの結論に達しました。
問題はここからです。テレビ朝日のドラマ《相棒》では
ここから大体、もう 「ひとひねり」 があります。
「ひとひねり」 で終わらずに 「ふたひねり」 することもあって、
ただあまりやり過ぎると結末が曖昧になってしまい
「ディクスン・カー終わり」 になってしまう場合もあります。
(「ディクスン・カー終わり」 というのは私が考えた造語で、
懲りすぎて肝心の犯人がよくわからないことなどを指します)
ミステリーものに対してのこうした私の楽しみ方は
やや特殊かもしれません。
たとえば『名探偵コナン』でも
「ここに無理があるよなぁ」 などとダメ出ししながらも
その過程が楽しいのです。

CLAMPはある意味、むずかしいです。
と言っても難解ということではなく
表層的な意味とその底流にある意味とがあるので、
それがわからないと単なるオコチャマ・コミックです。
描線が異常にかわいいですし、
『カードキャプターさくら』は小学生向きのアニメとして
NHKで放映されていました。

蜷川実花はもともとがフォトグラファーですから
スチルに固定する力があると感じます。
動画の場合はやはりお父様の影響があるように思います。

広瀬すずは本人が自覚しているかどうかわかりませんが
ごく若い頃が最も輝いていた点では
ナタリー・ポートマンと同じです。
ただ、最近はまた異なった魅力が出ているとは思います。
広瀬すずと広瀬アリスの対比は
原田知世と原田貴和子の対比と同じです。
綾瀬はるかはパナソニックの人というイメージしか
ありません。(笑)

西脇順三郎はエリオットの翻訳の際、
「spring rain」 を 「春雨」 とせず、「春の雨」 としました。
なぜなら 「春雨」 では日本的過ぎてエリオットに合わない
と述懐しています。
そうした感覚から敷衍すると
どうしても 「回春」 という意味合いを持たせたいのなら、
「回る春」 ではなくて、せいぜい 「廻る春」 (めぐるはる) でしょうね。
by lequiche (2022-05-24 03:14) 

coco030705

こんにちは。
Uruさんのことは知らなかったのですが、「真夏の果実」すごくいいですね。桑田さんのハスキーヴォイスもいいんだけれど、Uruさんのが素敵。今までカラオケで「真夏の果実」を歌ったことはないのですが、ぜひ歌いたいです。
by coco030705 (2022-05-25 17:10) 

lequiche

>> coco030705 様

是非、歌ってみてください。(^^)
Uruの歌い方はむしろ官能的といってもよいほどで、
何か違った曲のようにも聞こえてしまいます。
by lequiche (2022-05-27 08:05)