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最近聴いているJ-popなど [音楽]

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あいみょん

金原ひとみの『デクリネゾン』を今、途中まで読んだところなんだけれど、本のカヴァー写真を見ながら、デクリネゾンで何でブタの丸焼きなんだ、と思いながら読んでいた。それに食べ物の話ばかり出て来るし。Déclinaisonは天文用語で赤緯のことで、赤経はAscension droite、英語ならDeclination / Right ascensionであり、地球の経緯度に相当する天空上の位置の表し方のはず。
ところが検索してみたら、デクリネゾンとは料理用語で、一種の 「何とかづくし」 みたいな料理を指す言葉だとのこと。そのサイトの解説にはアンプロンプテュという表現であらわされる料理もあるとのことで、でもimpromptuといったら音楽用語なので、あらためて料理の形容のしかたってヴァイタリティあるなぁと思います。
というよりdéclinaisonの語源的なものと思われる動詞、déclinerは衰退するとか下り坂な、というような意味があるので、それがメインの意味なのかと思っていたわけで。
でも、ともかくこの小説は面白いです。表現の細かいところが緻密に考えられていて、金原ひとみってやぱ、すごいなと思ってしまう。

ところで最近聴いているJ-popは、といわれると百花繚乱であることは確かなんだけれど、今の私の好みでは、あいみょんと緑黄色社会、です。
あいみょんは2019年の武道館ライヴ《AIMYON BUDOKAN -1995-》と2020年のさいたまスーパーアリーナのライヴ《AIMYON TOUR 2020 “ミート・ミート”》など、いずれもクォリティが高いです。ギター弾き語りの武道館はすごい。
で、あいみょんって、こう言ったら表現が的外れなのかもしれないけど令和に出てきた吉田拓郎っていう感じもする。あるいは女性ってことからいえば、フォーク系なんだからテイラー・スウィフトといってもいいんだけれど、テイラー・スウィフトはずっと聴いてきて、ちょっと飽きてしまった。あくまでもワタクシ的になんですけど。そんなわけで後追いなんですけど、あいみょんを聴いているのです。

吉田拓郎といえば、12月に《今はまだ人生を語らず》が再発になる。〈ペニーレインでバーボン〉に差別用語があるとのことで、ずっと廃盤になっていたアルバムだが〈ペニーレインでバーボン〉が入っていなければこのアルバムは意味がない。そうしたことで無事に再発売されるのかどうか注目しているところです。また突然発売中止なんてことがないように。

緑黄色社会は《Actor》のジャケット。これにやられました。通常盤のジャケットがカッコイイです。でも、長屋晴子はギター弾きながら歌っているスタイルがよかったのに、最近はヴォーカルだけなのがちょっと悲しい。

古いJ-popでは、当時悪評ふんぷんだったというラ・ムー。全然知らなかったけれど聴いてみるとそんなに悪くはなくて、ゆらぎのあるヴォーカル (ばかにしてないです) とタイトなリズムの対比が絶妙。むしろ今のシティ・ポップ・ブームにはぴったり。アルバムは《THANKS GIVING》1枚しかないので最近のピンク・ヴィニルの再発盤を購入。しかしシングル曲が完全に収録されていないことに気づく。
何かの雑誌で菊池桃子と林哲司の対談を読んだが、なぜ林哲司が彼女をかっていたかがわかったような気がする。

アナログの再発といえばBONNIE PINKの初期アルバム3枚《Blue Jam》《Heaven’s Kitchen》《evil and flowers》がアナログ盤でリリースされた。いかにもアナログ盤ブームを象徴しているようにも思われる。もっとも私が欲しいのは4枚目のミッチェル・フルーム・プロデュースによる《Let go》なので、続けて出して欲しい。

などといいながらYouTubeを逍遙していたら四角佳子の最近の動画を見つける。このへんが日本のフォークの原点なのかもしれない (〈春の風が吹いていたら〉はよしだたくろうのアルバム《伽草子》(1973) におけるよしだ/四角のデュエット曲)。


金原ひとみ/デクリネゾン (ホーム社/集英社)
デクリネゾン




あいみょん/AIMYON TOUR 2020 “ミート・ミート”
(ワーナーミュージック・ジャパン)
AIMYON TOUR 2020




緑黄色社会/Actor (ERJ)
Actor (通常盤)




あいみょん/裸の心
AIMYON TOUR 2020 “ミート・ミート” in Saitama Super Arena
https://www.youtube.com/watch?v=CGwkO_hRo7Q

あいみょん/マリーゴールド
AIMYON BUDOKAN -1995-
https://www.youtube.com/watch?v=FQHHA4SSXtg

緑黄色社会/merry-go-round
Live Video (Actor tour 2022)
https://www.youtube.com/watch?v=Lf4EAHI534w

ラ・ムー/TOKYO野蛮人
(夜のヒットスタジオ)
https://www.youtube.com/watch?v=6Llt7crIBRc

BONNIE PINK/evil and flowers
https://www.youtube.com/watch?v=v-9n0CRckhg

四角佳子&常富喜雄/春の風が吹いていたら
https://www.youtube.com/watch?v=TYqc8peGEis
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コメント 14

ゆうのすけ

菊池桃子 と ラ・ムーの再評価は凄いですね。
一時『THANKS GIVING』が かなり高値で取引されていて
当時聴いていた世代としては なんだかな?!なんて思っちゃってました。林哲司さんは 80年代シティポップスの第一人者でしたものね。(私はシングルしか持ってなかったのでした。♬~)
でもなんで ラ・ム―にしろ MINAKO WITH WILD CATS(本田美奈子.ちゃんの!)アイドルがロックやアーティスト宣言したことで めちゃくちゃ言われちゃったんだろ?結局は短命になっちゃったんだけれど。私は支持してたんだけれども。特に美奈子.ちゃんは!^^;四角佳子さんの名前 かなり久々で なっつ~!^^♪~
by ゆうのすけ (2022-11-13 00:36) 

末尾ルコ(アルベール)

最近綿矢りさの比較的初期の作品を何冊か読みまして、(ああ、やっぱりなかなかいいな)と。以前読んだ時よりもよく感じてます。
思えばやはり金原ひとみと綿矢りさの芥川賞同時受賞、エポックメイキングだったなと、あらためて感じてます。
ただ『デクリネゾン』はまだ買ってなくて、さらに他にも持っているけど未読の金原作品、いくつか部屋にありまして、今回のお記事が読み始めるきっかけとさせていただけそうです。
金原ひとみはNHK『言葉にできない、そんな夜。』にも出ていました。金原ひとみの存在が圧倒的でした。人間的にも以前より深さ、厚み、ふくよかさを感じました。『デクリネゾン』も含め、今後もどんどん読んでいきます。

あいみょんと吉田拓郎、確かに共通するものがありそうです。ギター一本と歌で大観衆を納得させるスケール感と、小さな言葉までゆるがせにしない繊細さ。そうした要素が内包されているからこそのカッコよさ。などということをいつも感じてます。

>差別用語がある

吉田拓郎の件については分かりませんが、このところの日本、「本当に使用を控えるべき言葉」と「使用を控える必要のない言葉」を、議論もないままに(控える方が無難だから)的考えで使用しない場合がかなり見受けられる気がします。歴史によって磨かれてきた多くの言葉い消滅させられていくような危機感を強く感じてます。

ラ・ムーはわたしも当時馬鹿にしていた口なのですが、なるほど、十分なクオリティがあるのですね。菊池桃子という存在がアイドルとしては飛び抜けた、しかも独特の存在でしたから、(え?ロックバンド??)と、腰砕けになった人は多かったでしょう。とんねるずもネタにしてました。
ただ前にもお話したかもですが、林哲司は菊池桃子について「声に色がある」と褒めてたことが印象的でした。わたしも未熟者でしたので(今もですが、ピヨ)、菊池桃子の歌唱について、(声がないなあ、下手だなあ)くらいに思っていたもので、(そんな褒め方もあるんだなあ)とひと際印象的だったのです。

リンクしてくださっているビョークの動画を視聴していると、彼女の音楽、そしてパフォーマンスから、あらゆる芸術、そしてあらゆる人生や宇宙のできごと、少し大袈裟に言わせていただくと、森羅万象を感じなくもないです。他のミュージシャンからはそうそう感じない感覚です。 RUKO

by 末尾ルコ(アルベール) (2022-11-13 08:50) 

coco030705

こんばんは。
あいみょん、とても上手いですね。声がしっかりしていると思います。
「マリーゴールド」が好きです。吉田拓郎よりは、ちょっとソフトというか、女性の声とは思いますが。これからの成長がすごく楽しみですね。コンサート、行きたいです。
by coco030705 (2022-11-13 17:50) 

lequiche

>> ゆうのすけ様

菊池桃子も本田美奈子も、まずアイドルだから、
という色眼鏡で見られていた部分があります。
アイドルだからどうせたいしたことない、
という偏見が最初からついて回るわけです。
でもそういう偏見はかたちを変えながらも
いまだに存在していますね。

1984年に倉橋ルイ子がリリースした
《バラードをカバンにつめて》という4枚のLPがあって、
これは4人のアレンジャーの編曲競作なのですが
そのうちの1枚が林哲司作・編曲ヴァージョンの
《Never Fall in Love》というアルバムです。
この中で、タイトル曲〈Never Fall in Love〉と
〈Decenber 24〉という曲がとても好きだったのです。
もっとも私は4枚のLPのうち、
服部克久ヴァージョンきり持っていませんが。
by lequiche (2022-11-14 04:34) 

lequiche

>> 末尾ルコ(アルベール)様

NHKのその番組は知りませんでしたが
なかなか面白そうですね。
『デクリネゾン』の主人公は作家なので、
まるで金原本人のことのような錯覚に陥りますが、
もちろん小説ですからあくまでフィクションで、
作家はそのように錯覚されてしまいがちな描き方を
わざとしているようにも思えます。
私も全作品をくまなく読んではいませんが、
初期の頃に較べると最近の作品は
その正確さ、緻密さがとても高くなっていますし、
読んでいて小説としての醍醐味を感じます。

あいみょんも吉田拓郎も単にフォークというジャンルで
近しいということだけではなくて、
ときとして厭世的でもあり、しかし将来への希望もある
というような微妙なバランス感覚を歌うところに
似たセンスを感じます。

吉田拓郎の〈ペニーレインでバーボン〉で問題にされたのは
歌詞の中の 「つんぼ桟敷」 という言葉です。
これは一種の慣用句であって、
では 「片手落ち」 とか 「いざり寄る」 はどうなの?
さらには、では 「めくら縞」 や 「メクラウオ」 は?
という議論が常に起こりますが、そして
「つんぼ桟敷」 は 「蚊帳の外」 に言い換えができるとか……。
全然違いますよね。「蚊帳の外」 では歌詞になりません。
差別用語の議論はそのほとんどが幼稚です。
映画タイトルの《気狂いピエロ》を使わないようにしよう
という風潮ですから。

菊池桃子などのアイドル系歌手について
私はよく知らなかったのですが、前述の林哲司との対談を読んで
あらためて聴いてみた上での感想です。

ビョークの今回のアルバムは、
地衣類とか大地に根ざした感覚を非常に感じます。
別に自然回帰ではないのですが、
ある意味、流行のシティポップとは真逆の方向のベクトルが
存在しているように感じられます。
by lequiche (2022-11-14 04:35) 

lequiche

>> coco030705 様

お聴きいただきありがとうございます。
武道館のライヴでは〈マリーゴールド〉は
まずサビから始まるので緊張感がたかまります。
この曲は男性目線の曲で、
どこにもむずかしい言葉を使っていない歌詞なのに
情感が豊かです。
そして力強いギターストロークの歯切れの良さ、
このライヴは完璧ですね。
by lequiche (2022-11-14 04:35) 

coco030705

lequicheさん、武道館でギター演奏で歌うというのは、すごいことですね。ますますライヴにいきたくなってきました。
by coco030705 (2022-11-18 22:10) 

lequiche

>> coco030705 様

あいみょんのサイトによれば
2023年4月から全国ツアーがあります。
開催が決定したというだけで
チケット販売はまだのようですが。
https://www.aimyong.net/news/detail/2011

尚、あいみょんも緑黄色社会も
紅白歌合戦に出演することになりましたね。
by lequiche (2022-11-19 00:30) 

英ちゃん

ラ・ムーは、懐かしいな(^_^;)
最近の歌手は全く知りませんが(;^ω^)
by 英ちゃん (2022-11-21 00:36) 

lequiche

>> 英ちゃん様

そうなんですか。
ラ・ムーは最近話題にされることが多いので
初めて知りました。
というか菊池桃子、近作まで含めてなかなか良いです。
最近の歌手も聴いてみてください。
私はあいみょんの来年1月発売のLPまで
予約してしまいました。
レコード最高です。
by lequiche (2022-11-21 02:05) 

英ちゃん

レコードは音質もいいけど、聴く物(プレイヤー)が無いです(^_^;)
CDならPCでも聴けるけどね…
by 英ちゃん (2022-11-22 18:38) 

moz

最近のJ-POPはあいみょんなんですね。最近はクラシックがメインであまりPOPSは聴いていないのですが、この前何をとち狂ったのか?
西野カナの中古のCD をポチッてしまいました ^^;
4年前のアルバムですが、何だか新鮮に感じて聴いてます。
あと、アニメの主題歌? を歌っているのを聴いていいなと思い、姉妹ピアノ連弾ボーカル・ユニットのkitriくらいが新しいところでしょうか。そうそう、一番聴いているのはヨルシカです。やっぱりヨルシカが好きかなと b^^
といいつつ、小田さんのコンサートに行って、一番感動していた詩文がいました ^^;
by moz (2022-11-23 12:03) 

lequiche

>> 英ちゃん様

音質にこだわらなければ
レコード・プレーヤーは8千円くらいからあります。
レコードに針を落とすのが苦手と思ってしまったら
むずかしいですけど。(^^)
by lequiche (2022-11-23 23:09) 

lequiche

>> moz 様

いえ、いろいろなミュージシャンのかたが
いらっしゃいますから、好みは人それぞれです。
必ずしも新しい人が良いとは限りませんし。
これがいいと自分で思う人や曲がベストだと思います。
クラシックに関しては、私は今、
アリス・オットとイブラギモヴァです。
以前の記事にも書きましたが、
アリス・オットのペルトはあまりにも暗過ぎて
音楽の極北を聴いたような気がします。
そうしたとき、小田和正とか桑田佳祐みたいなベテランは
心の癒やしになりますね。
by lequiche (2022-11-23 23:09)