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柴田淳・草月ホール 2002 [音楽]

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柴田淳 (Live at Gloria Chapel)

近くのリユースショップでCD棚を見るのは何か秘密のにおいがする。それはずっと昔、まだ子どもの頃、ほとんど客のいない書店の奥まった棚にひっそりと並んでいる本を見ていた頃の記憶と重なる。誰も知らない空間、誰も欲しがらないものをひとりで占有しているという蠱惑。
CDはすでに人気商品ではない。ゲームソフトやカードに追いやられて、見にくい場所にうち捨てられたように置いてあったりする店もある。

目的もなく、何かを探すでもなく、そうしたぞんざいな棚の展示をぼんやりと見ているほうが心が安まる。この前、某有名レコードショップでビートルズの《フォー・セール》日本盤 (おそらく初回盤) が飾ってあって16万円余りの値札が付いていた。そうしたコレクターズ・アイテムには全く興味がない。村上春樹が言うように、中古レコードの限界上限値はせいぜい5, 000円である (いや、実際には2,000円くらいかな)。

そうしたぼんやりとした心で買ってみたのは、家入レオ《LEO》、柴咲コウ《蜜》、柴田淳《あなたとの日々》、いきものがかりのボックス入り初回盤《NEWTRAL》、それにaikoのDVD《DECADE》限定盤など。めちゃくちゃな選択のように思えるかもしれないが、私のなかでの基準があるし、ごく偏向しているのも事実だ。嫌いなものは買わないし。
柴田淳はシングルCDなのだが短い時間のDVDが付いている。このDVDに収録されているのが2002年の草月ホールのライヴ映像からの2曲なのだ。

柴田淳は一時、カヴァー曲ばかりがもてはやされてしまったが、彼女の自作曲が歌唱としても要だし、なによりも初期からその歌唱が完成されているのに驚く。2002年08月10日の草月ホールでのライヴ映像がYouTubeにある。
このなかで歌われている〈あなたとの日々〉は《Live at Gloria Chapel》(2003) での動画もあるので、これもリンクしておく。
尚、柴田淳に関して書いた古い記事もあるので併せて参照いただければ幸いである。今回の手抜き記事よりは少しまともである。

柴田淳 ― 蝶
https://lequiche.blog.ss-blog.jp/2019-05-26

柴田淳/20th Anniversary Favorites:
As Selected by Her Fans
(ビクターエンタテインメント)
20th Anniversary Favorites: As Selected By Her Fans (通常盤) [2CD]




柴田淳/20th Anniversary Film “Cinema”
(ビクターエンタテインメント)
JUN SHIBATA 20th Anniversary Film




柴田淳/COVER 70’s(ビクターエンタテインメント)
COVER 70’s




柴田淳/あなたとの日々
Live at Gloria Chapel, 2003
https://www.youtube.com/watch?v=P7GAISWY_6I

柴田 淳/草月ホール 2002.08.10
0https://www.youtube.com/watch?v=JkdPf3D4zVI

柴田淳/カヴァー曲
異邦人〜迷い道〜木綿のハンカチーフ〜青春の影
https://www.youtube.com/watch?v=dVHbLWjgGtU
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末尾ルコ(アルベール)

ありましたねえ、本屋の奥まった場所で時間を過ごす悦楽。かつてはたいがいの本屋にそのような空間がありました。バタイユとかデリダとか柄谷行人とか、特に地方じゃ絶対売れない本が置いてありました。「売れないものが追いやられ、消えていく」経験についてわたしにとって悪夢だったのがレンタルビデオショップ。当初は古今東西の映画がずらりだったのに、どんどんテレビドラマ、アニメ、お笑いのスペースになっていく苦々しい記憶。

柴田淳、視聴させていただきました。「あなたとの日々」、清々しい流れのような心地よい時間をいただけた感覚になりました。対してカヴァーは、オリジナルと比べると声はもちろん歌唱そのものも一捻り加えた感じで耳に残ります。

「andata」、じっくり何度も視聴しました。涙が込み上げてきました。自らの死を見据え、それを超えて普遍的な人類の生と死の謎まで到達しようかのごとき音楽、音。これからわたしがどれだけ生きるかわかりませんが、繰り返し繰り返し聴いていきます。RUKO

by 末尾ルコ(アルベール) (2024-05-25 16:16) 

lequiche

>> 末尾ルコ(アルベール)様

ピーター・S・ビーグルの小説に
《A Fine and Private Place》というタイトルがありますが
(尚、エラリー・クイーンにも同名の小説があります)
まさにそのような 「心地よく秘密めいた場所」 ですね。
昔の書店は本が整理しきれてなくて、
積み上げられた本の影に死角が存在していました。
その死角が心地よいんです。
神田の東京堂書店も銀座のイエナ洋書店も
床が板敷だった頃にはわけもないわくわく感がありました。

あぁ、ヴィデオショップ……
私はヴィデオを借りたことがほとんどないので
よくわからないのですが渋谷のTSUTAYAは
業態を変えてしまったようです。

柴田淳の〈異邦人〉の一番有名な動画は下記のライヴ映像なのですが、
この動画は途中が切れていたり、末尾にノイズが入っているので
わざとリンクしませんでした。
冒頭の〈異邦人〉は問題なく聴くことができます。
https://www.youtube.com/watch?v=QmDtJKMg8dE

坂本龍一に関してはいまだに全容を摑みかねています。
まだ知らない部分がいろいろありますし、
その膨大な作品と仕事量に圧倒されるばかりです。
やがて幾つかの曲はスタンダードとなっていくのだと思います。
by lequiche (2024-05-26 02:33)