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スザンヌ・ヴェガ〈Small Blue Thing〉 [音楽]

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Suzanne Vega

Ebisu The Garden Hallでのiriの2019年のライヴ動画がYouTubeにあって、これはアルバム《Sparkle》に附属したDVDに収録されている映像だが〈会いたいわ〉の連綿と続く歌詞の畳みかけてくるムードが鬱陶しくもあるのだけれどその濃厚さにハマッてしまう。
いわばsongとrapのあわいのような、たとえば〈Swanp〉のような、こころが疲れていると意味を摑みかねるような呪文のような言葉の連なりが好きだ。

ソニーミュージックにはiriがいて、そしてUruもいるのだけれど、実際に使える音は 「イ」 と 「ウ」 だけで、他の音だとaraでもereでもoroでも、皆、使えないネーミングだよなぁと、くだらないことを考えてしまう (でもCharaだと成立するのだ)。

まぁそれはいいとして、ずっと以前にスザンヌ・ヴェガのことを書いたとき、私の偏愛する曲〈Small Blue Thing〉のことを書きながら、その当時の適切な動画を探し出せなかった (→2012年01月31日ブログ参照)。それを見つけたのでリンクしておくことにする。1985年のBBCでオンエアされたものらしい。縦横比がややおかしい気がするが1stアルバムの《Suzanne Vega》(邦題:街角の詩) をリリースした時点での映像である。

彼女のライヴにおけるベストは、以前にも書いた1986年のロイヤル・アルバート・ホールにおけるアカペラの〈Tom’s Diner〉であり、この緊張感にまさるものは存在しない (→2022年06月11日ブログ参照)。だが、年代によってその表情を変えながらも一定のクォリティを持続させている真摯な姿勢に惹かれる。それは精神性の維持といってもよい。


Suzanne Vega/Small Blue Thing
BBC, 1985
https://www.youtube.com/watch?v=oclv-EqJbvY

Suzanne Vega/Tom’s Diner
Live at Royal Albert Hall, 1986
https://www.youtube.com/watch?v=DCCWVk1fgpY

Suzanne Vega/Luka
live NRK Wiese, 1996
https://www.youtube.com/watch?v=Bjz04mCMyzo

Suzanne Vega/Luka
live at Montreux, 2004
https://www.youtube.com/watch?v=vHC4BAAWs2o

Suzanne Vega
Live at Jazzopen, Stuttgart 2022
https://www.youtube.com/watch?v=MzGhSS348hA

iri/会いたいわ
from iri Presents “Wonderland” at Ebisu The Garden Hall
https://www.youtube.com/watch?v=WQJS6-LszOM

iri/Swamp (Music Video)
https://www.youtube.com/watch?v=k-5drkaQVoU
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コメント 14

末尾ルコ(アルベール)

普段はスザンヌ・ヴェガのこと意識してないのですが、時に何の脈絡もなく、「Tom’s Diner」や「Luka」が心の中でリフレインされることがあります。これはおそらく、意識せずとも、リアルタイムで繰り返し聴いたスザンヌ・ヴェガの歌が心の深い場所に生涯消えない宝物のひとつとして刻印されているのだろうなと想像します。それだけ強烈だった当時のスザンヌ・ヴェガ、出会えたのは幸福でした。そしてロイヤル・アルバート・ホールの「Tom’s Diner」。もともと極めて美しい曲が恐るべ緊張感により更なる高みへと飛翔している。凄い時間が映像として残されているものです。

・・・・・・

〉岡田有希子と早見優の楽曲が海外でウケている

早見優って、「夏色のナンシー」くらいしか知りませんが、どのような曲がウケているのでしょうか。

〉大阪桐蔭高校吹奏楽部とのライヴが出色

ご紹介ありがとうございました。圧倒されました。紙吹雪さえも美しく、円形に移動するカメラの効果も絶大。吹奏楽部やコーラスは演奏の素晴らしさはもちろん、大人数でヴィジュアルも壮観。そして何よりも、楽曲の強さ、美しさですね。なにせわたし、「群青」のコーラスパートが心底好きなんです。

松岡正剛が亡くなりましたね。残念です。彼の著書もいくつか読んでますが、とにかく『千夜千冊』の書評。凄いのひとこと。あれを読めるのは愚文が蔓延るネット時代の大きな恩恵のひとつです。RUKO

by 末尾ルコ(アルベール) (2024-09-08 11:32) 

sknys

スザンヌ・ヴェガの1stと2ndアルバムはLPを買いました。
RIYL:〈Small Blue Thing〉が好きならば、Rosie Brownの〈Big Blue Building〉も気にいると思います。
「もしRoni Sizeがドラム・マシンの代わりにJoni Mitchellを発見していたら創っていたかもしれない音楽」(Q Magazine)と、アルバムに貼付されたステッカーに引用されていました。
(https://music.youtube.com/watch?v=3vZ7gVYo-OA)

『百年の孤独』の中で 「昇天」 するレメディオス(小町娘)はレメディオス・バロへのオマージュだったことが分かって嬉しくなりました。
ピンチョンもマルケスもメキシコに亡命したシュルレアリスム画家が好きだったのね^^
https://www.engramma.it/eOS/index.php?id_articolo=3299
by sknys (2024-09-10 20:57) 

lequiche

>> 末尾ルコ(アルベール)様

いつもは忘れているけれど連綿と流れているなにかが
突然蘇るというのは、体内に記憶が深く刻まれているからで
いわばBasso continuoのように聞こえないけれど聞こえている、
そういう状態なのだと思うのです。
それは音楽に限らず、現象としてあるように感じます。

岡田有希子と早見優のどんな曲がウケているのかは不明です。
単なるネットの情報で知っただけですから。
ただ、これと明確に言えないのですが、
ウケる要素としての共通点のようなものを私は感じます。
私の独断でいうのならばたとえば早見優や石川秀美はウケるけど
三田寛子や高田みづえだとどうかな、という感じです。
といっても別に海外でウケるからエラいとか、
そういうことではありませんので。

YOASOBIは〈アイドル〉が出たとき、
これどうなの? やり過ぎじゃない? と思ったのです。
ところが結果として大ヒットになってしまいました。
ウケ狙いの読み方が的確なのだと思いますが、
楽曲の完成度と歌唱の完璧さもあるのでしょう。
これからもさらに別の角度を見せてくれるのだと期待しています。

松岡正剛が亡くなったのは残念でした。
思ったのは、人は必ず死ぬということです。あたりまえですが。
でもレヴィ=ストロースや松岡正剛は
永遠に生きていけるはずだと信じ込むような錯覚がありました。
9月11日に今福龍太の痛切な追悼文を読みました。
ご参照いただければ幸いです。

【追悼・松岡正剛】啐啄同機のリズムとともに(今福龍太)
https://edist.ne.jp/nest/tsuito_imafuku/

by lequiche (2024-09-14 19:53) 

lequiche

>> sknys 様

ロージー・ブラウン、聴いてみましたが
確かに似た雰囲気はありますね。紹介記事などによれば
ジョニ・ミッチェルやニック・ドレイクの影響があるとも
書かれていますが、そうした意味でいうと
スザンヌ・ヴェガも含めてジョニ・ミッチェルの存在は大きいです。

『百年の孤独』は新潮文庫に入って、
今日、書店で山のように積んであるのを目撃しましたが
ホントに売れるのかなぁ、と心配してしまいました。(笑)
ピンチョンには引用のしかたに独特のものがありますね。
以前にも書いたことですが『重力の虹』のなかに
Raoul de la Perlimpinpinという名称が出てくることを
翻訳者の佐藤良明が指摘しているのですが、
Perlimpinpinというのはバルバラの有名な楽曲名です。
by lequiche (2024-09-14 19:54) 

coco030705

スザンヌ・ヴェガ、いいですねぇ~!
以前から好きです。まだCDはもっていないのですが。
iri、日本語でいいですね。他のも全部いいな。
CD買うとしたら、何がよろしいでしょうか。

by coco030705 (2024-09-16 00:39) 

lequiche

>> coco030705 様

コメントありがとうございます。
CDをお買いになるのならどちらもベスト盤ですが、

スザンヌ・ヴェガ:ベスト・オブ・スザンヌ・ヴェガ
https://www.amazon.co.jp/dp/B007FGQTLQ

iri: 2016-2020
https://www.amazon.co.jp/dp/B09DQ2Q2GP

です。どちらも有名曲が入っていますので。
ただ、両方ともジャケットデザインがイマイチです。
私の好きなジャケット・デザインは

スザンヌ・ヴェガ:孤独 (ひとり)
https://www.amazon.co.jp/dp/B008E006GG

iri: PRIVATE
https://www.amazon.co.jp/dp/B0BXS7T7CK

です。
ちなみに一番好きなiriのMVは〈Wonderland〉です。
https://www.youtube.com/watch?v=3WlOZTy072k
by lequiche (2024-09-19 02:07) 

coco030705

lequiche さん
いつも丁寧にレスポンスいただき、ありがとうございます♪
また少しずつスザンヌ・ヴェガのCDをコレクションしていきたいと思います。

ところで、3日ぐらい前に観た「ぼくのお日さま」という映画がかなり良かったので、まだ記事にしていませんが、先にお知らせします。
朝日新聞の映画評でも高評価でびっくりしました。

タクヤとさくらという少年少女が、フィギアスケートで出会い、二人のコーチに池松壮亮(いけまつそうすけ)が扮しています。彼はだいぶ人気がでて来ましたね。いい俳優だと思います。
この3人の物語ですが、大したことは起こらないのですが、二人の、子供ならではの純粋さと清潔感が、映画をよいものにしています。

カンヌ映画祭で「ある視点賞」を受賞し、相当賞賛されたみたいですよ。主演の少年と少女が会う人ごとに、すごく褒められたので、感激して泣いてしまったそうです。こういう経験をすると、この二人は、俳優という道をこれから歩んでいかざるを得ないのかな、と思いました。魅力的な職業ですものね。
by coco030705 (2024-09-20 23:19) 

coco030705

ところで、「Wonderland」よかったです。スザンヌ・ヴェガって、日本語が話せるのですか。上手いですね。
by coco030705 (2024-09-20 23:31) 

lequiche

>> coco030705 様

《ぼくのお日さま》は奥山大史監督による映画ですね?
ハンバートハンバートの曲が作品のインスピレーションと
なっているとのことで興味があります。
記事をお待ちしております。

ベスト盤は、その人のアウトラインを理解するのには便利ですが、
継続的にお聴きになりたいのでしたら
オリジナル・アルバムのほうがコンセプトが確立していますので
オススメなのかもしれません。
ただ、古いアルバムの場合は品切れ等もありますので
何とも言えませんが。

スザンヌ・ヴェガの場合、
1stアルバム:《街角の詩》Suzanne Vega (1985)
2ndアルバム:《孤独 (ひとり)》Solitude Standing (1987)

この最初の2枚がすぐれていると思います。
by lequiche (2024-09-22 21:11) 

lequiche

>> coco030705 様

ええと……〈Wonderland〉はスザンヌ・ヴェガではなく
iriの2019年に発表した楽曲です。
ヒップホップ系のシンガーソングライターで日本人です。
by lequiche (2024-09-22 21:13) 

coco030705

lequicheさんへ
こんばんは。スザンヌ・ヴェガとiriを間違えていて、大変失礼しました。
「The Best OF SUZANNE VEGA 」と「孤独」を買いました。
とてもいいです。やっぱり好みです。
ありがとうございました。


by coco030705 (2024-10-05 02:42) 

lequiche

>> coco030705 様

お買い上げありがとうございます。(^^)
いまだに現役で歌っているのが素晴らしいです。
曲だけでなくその歌詞に対するポリシーが重要です。
私は10月6日の記事に1984年のアルバムについて書きましたが、
スザンヌ・ヴェガも1985年デビューですので
来年で40周年です。
この時期はホントにすごいミュージシャンが輩出しています。
by lequiche (2024-10-07 01:09) 

coco030705

lequicheさんへ
こんばんは。
1984~5年は、すごいミュージシャンが輩出されましたね。
日本のデザイナーも同じように、文化服装学院「花の9期生」が出ました。高田賢三、コシノジュンコ、松田光弘、金子功etc.
やはり、ミュージシャンにしろ、デザイナーにしろ、お互い才能ある者同士がぶつかり合いながら、よいものを創り出していくのでしょうね。面白いですね。
by coco030705 (2024-10-14 00:25) 

lequiche

>> coco030705 様

確かにそうですね。
同じ世代に、すごい人がまとまって輩出するという現象は存在します。
万遍なく、ということはなくて、なぜか濃淡があるのです。
豊作の年と不作の年があるという農業にも似ています。

音楽の場合にも、音は万遍なく存在するのでなくて偏差がある
というような理論で作曲した人にクセナキスという人がいます。
ただ、それが結果としてどのような音になっているのか
というのがよくわからないのですけれど。(^^;)
クセナキスについては以前の記事を参照いただければ幸いです。
たぶん、よくわからない内容の最たるものかもしれませんが。
     ↓
微分音とテトラコルド ― ヤニス・クセナキス『音楽と建築』
https://lequiche.blog.ss-blog.jp/2017-11-28
by lequiche (2024-10-22 01:57)