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坂崎幸之助の〈The Beatles White Albumの秘密〉を聴く [音楽]

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坂崎幸之助&ダイアモンド☆ユカイ
(allnightnippon.comより)

ビートルズのホワイト・アルバム50周年記念エディション発売前日の11月8日夜、オールナイトニッポンGOLDスペシャルという番組で坂崎幸之助とダイアモンド☆ユカイのトークが放送されたのを、そのトーク部分だけYouTubeで聴きました。発売前の大騒ぎみたいなのは、昔のWindows発売の頃を思い起こさせる。あれは何だったんだろう? と今になって思うのだけれど。Windowsもビートルズもイメージとして、ちょっと懐古趣味っぽいように思います。

世界同時発売ということで、それまでは放送もできないらしいなかで、許されている範囲の曲をかけたらしいのだけれど、それは下記リンクのYouTubeではカットされています。約45分ほどなので、聴くのが一番なのだけれど、内容をかいつまんで書いてみます。知っていることもあるし、知らないこともあるし、だけれど、やはり坂崎さんの話術に引き込まれるのはいつもの通り。
お時間のある人は私の駄文など読まず、下のリンクから直接聴いたほうがよいです。

まず最初に坂崎さんが言う言葉。今回のエディションに収録されている未発表のデモ&セッション音源について 「もうどれだけ残ってんだ。ビートルズと大瀧詠一さんは」 という 「つかみ」 に笑ってしまう。ジ・アルフィーなんかせいぜいマスターっきり残ってないよ、とのこと。それが膨大に残っているのは、その頃から未来を見越していたんだろうという推理です。
でも坂崎さんのその当時の感想は、とっつきにくいアルバムであったという。まず2枚組というのはそれまでになかったし、LPなんて高いからそんなに売れないはず。買うのに決心がいりますよね。それにメンバーはすでに求心性を失ってバラバラの状態だったし、それはジョンとポールに対してジョージが擡頭してきたことにあるのだろうと。
それでその2枚組というのに影響されて加藤和彦が2枚組アルバムを出そうとして、結局却下されて1枚になってしまったことをアルバム解説でグチッているのだそうです。ビートルズも加藤も当時は同じ東芝だし、対抗意識があったのでしょうけれど、でも相手がビートルズじゃ、ちょっと無理。《ぼくのそばにおいでよ》(1969) ですね。2枚組で出していたら面白かったのに。

話はジェフ・エメリックに。エメリックはジョージ・マーティンの下で働いていたエンジニアで、ビートルズの一番身近にいた人です。それまで禁忌だった方法――バスドラムの中にマイクを入れた人でもある。それ以外にもいろんな録音の技法を編み出した人ですが、今年の10月に亡くなってしまいました。
〈Tomorrow Never Knows〉のヴォーカルを、ジョンから 「ダライラマが山の上で歌っている声にしといて」 と言われて、ジョンは帰っちゃった。いつでも帰っちゃうんだよなぁ、という話です。今、Tomorrow Never Knows を検索したらトップにミスチルが出て来ました。ヤレヤレ。

坂崎さんはホワイト・アルバムをニュー・アルバムとして聴いた世代なのだけれど、キツかった、という。とっつきにくくて、ばらばらという意味ですよね。対するダイアモンド☆ユカイさんは、ビートルズ・ファンの第2次ビートルズブーム世代だといっています。
その頃、赤盤・青盤というのが出た頃だけれど、オレは音楽にうとくてあまり知らなかった。その頃、流行っていたのはクイーンとかキッス全盛なんだけれど、スポーツ少年だったからクイーンとかキッスって見た目がバケモノみたいであんまり (ファンに殴られますよ) ……で、ビートルズの《Please Please Me》から聴き始めたんだとのこと。髪の毛も短いし。これで長髪って言われてたんだ。
それでギターがやりたくなって親にギターを買ってもらったんだけど、何かちょっと違う。つまりガットギターだった。近所のオニイサンに教わろうとしたら〈禁じられた遊び〉で、そりゃないよ、で、やっとコードを弾くというところに辿り着いたんだそう。

Gの音を出すとき、日本の教本では1弦だけ3フレットなんだけれど、イギリスの教本は2弦も3フレットを抑えるように書いてあるんだ。だからイギリス人は皆こういうふうに弾いてるんだとのこと。ああ、3度抜きね、と坂崎さん。そこからギターの話題に。
ポールって3フィンガーでは弾かないで2フィンガーじゃないですか。人差し指っきり使っていない。考えようによっては、すごい適当なんだよね、と坂崎さんが言う。でもそれでないと雰囲気が出ないんだそう。
〈Back in the U.S.S.R〉では3人がベースを弾いていて、という話から、それって後のフィル・スペクターとかそういう音につながっていくのかな、と発展してゆく。ウォール・オブ・サウンドを作るために大瀧詠一もたとえばギターを3人重ねて、でも同じ人が重ねたらダメで、違う人が3人で同じフレーズを弾くことによって音に厚みが出るのだそうです。

エリック・クラプトンの話では〈While My Guitar…〉だけでなく〈Yer Blues〉も。でも当時はそういう情報は得られなかったから謎だった、と坂崎さん。
最も有名な〈Strawberry Fields Forever〉の2つのテイクをつなぎ合わせた話。速い回転数のテイクを遅く、遅いテイクをやや速い回転数にして、つないでしまったのだけれど、結局、コードをAで弾くのかB♭で弾くのかという問題があるのだそうだ。あぁ確かに。
そういうことをわざとやってしまったのがサイケデリックですよね。

イーシャー・デモ全27曲というのは、ジョージ・ハリスンの自宅で録音したアコースティク・デモで、坂崎さんはこれがとても気になるという。ホワイト・アルバムに収録されなかった曲も入っていて、ポールのソロ1作目に収録された〈Junk〉も入っている。〈Not Guilty〉はテイク102と記載されていて、でも結局、ボツだったわけです。
そしてポールはビーチ・ボーイズの《Pet Sounds》に影響されて《Sgt. Pepper’s…》を作ったのだということだが、wikiにはそのこととともにビートルズの《Rubber Soul》が《Pet Sounds》に影響を与えたと書いてある。ブライアン・ウィルソンとポール・マッカートニーとの関係性、互いに与えた影響というのは面白い。

〈Michelle〉のイントロのポールの独特なベースライン。これは以前にも聞いたことがあって、その解説の動画もあった。確かにそうだよね。すごく納得します。
最後の話題として、それまでビートルズなんてうるさいだけ、といっていたクラシック畑の先生がたが、〈Yesterday〉を聴いたとき、そのコード進行の斬新さに、これはちょっと普通のバンドとは違うんじゃないかと思ったというのを、ドイツに行く飛行機のなかで服部克久先生がおっしゃっていたとのことです。

ただ、こういうホワイト・アルバムみたいな 「全部出し」 の行く付く先は、マスター・テープをそのまま再現することにあるんだと思います。つまり8chあったらそれを各ch毎に選択しても音を出せること。ハイレゾとか各種のハイスペック仕様CDじゃなくて、マルチトラックの再現こそが究極のはず。それは現在のCDの仕様では無理なので、でも最終的にはそれがマニアの望むものなのかもしれないのだけれど、それが成立するだけの需要はやはり無いでしょうね。

リンクの最後に〈Yer Blues〉を。
ジョンってやっぱり歌うまいよね。(コラコラ ^^;)


The Beatles [white album] (Universal Music)
ザ・ビートルズ(ホワイト・アルバム)(スーパー・デラックス・エディション)(限定盤)(6SHM-CD+Blu-ray)




坂崎幸之助&ダイアモンド☆ユカイ/
オールナイトニッポンGOLDスペシャル
THE BEATLES WHITE ALBUMの秘密 (トーク部分のみ)
https://www.youtube.com/watch?v=OjpYTkMQb2c

坂崎幸之助/MIchelleのベースラインについて etc.
https://www.youtube.com/watch?v=jqhFbg9IeyQ

Yer Blues/
John Lennon, Eric Clapton, Keith Richards,
Mitch Mitchell (Jimi Hendrix Experience)
https://www.youtube.com/watch?v=Iuy-10Ejck4
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