ジェフ・ベックを聴く [音楽]
Jeff Beck
ジェフ・ベックってギターは上手いと思うのだけれど、インストゥルメンタル主体だし何となく狷介って感じがするし、で結局いつまでも〈哀しみの恋人たち〉がそのイメージの主体でしかなかったんですけれど (でも哀しみの恋人たちってすごい訳だと思う。昭和の味がする。原タイトルはCause We’ve Ended As Lovers. もともとはシリータ・ライトの曲らしいんですが私は知らない)、タル・ウィルケンフェルドをバンドに入れた頃から、カドがとれたみたいになってきて、一皮むけたのかそれとも劣化しちゃったのか (なんて失礼な!)、でもギターの腕は劣化してないです。
ウィルケンフェルド (Tal Wilkenfeld, 1986-) は自身のアルバムも出しているし、YouTubeを探すと歌も歌っているのだが、ちょっとイメージと違う声で (どういうイメージなんだというツッコミは無しで)、やはりジェフ・ベック・グループ内での演奏のほうが光っているような気がする。
マジソン・スクエア・ガーデンの2013年のライヴでは、リジー・ボールのヴァイオリンにウィルケンフェルドのベースで〈Mná na hÉireann〉(Women of Ireland) を演奏しているが、オトナの曲です。この曲はアイリッシュの、一種のスタンダードで、ケイト・ブッシュが歌っているのもありますが、メロディそのものの美しさがギターとヴァイオリンというインストゥルメンタルのみで、より引き立って聞こえます。オン・リズムになってほんの少しだけベックが弾いてからヴァイオリンに引き継がれるのがシブいですね。
それとこうやって映像で見ると、ベックのストラトのアームがなぜああいうふうに曲がっているのかという疑問があったのですけれど、あぁこういうふうに使うためなんだということがわかります。
それとジェフ・ベックの映像でやはり見入ってしまうのが、2007年のロニー・スコットにおけるライヴ。これも有名なライヴなのですが、私はイモージェン・ヒープの歌〈Blanket〉に引き込まれます。日本ではそんなにアルバムが発売されていないけれど、このダークだけれど退廃とは違うのがいいです。マリアンヌ・フェイスフルっぽい感じもする。オルタナっていう解説もされているけどオルタナじゃないと思う。ともかく、きっかけとしてはベックがこのロニー・スコットに引っ張ってきて歌わせたという経緯があります。
最近作だと2017年のハリウッド・ボウルのライヴ映像がありますが、これ観ても全然劣化してないというか、ジェフ・ベックってバケモノかもしれないと思う (ますます失礼な)。Ended As Loversも相変わらず弾くけど過去へのノスタルジアではないのでインプロヴァイズはいつも違う。つまりクラプトンみたいにレイド・バックした感じがしてない。ストラトがリバースヘッドになっているのが目立ちます。やぱ、ジミヘンの影響力はすごいよね。
ということで今、実はジミヘンのことが書きたいんだけれどでも知識がなくて (つまりほとんど聴いていたことはなくて、最近マジメに聴きだしたばかりなので) まだ書けないでいるけれど、やはり音楽って 「どうしてああいう音が出てくるのかなぁ」 という意外性が究極なんだと思う。
Tal Wilkenfeld
Jeff Beck/live at Ronnie Scott’s (ワードレコーズ)
Jeff Beck/Mná na hÉireann
Madison Square Garden, 2013.04.12&13
https://www.youtube.com/watch?v=nHQSPBC4fS4
Jeff Beck featuring Imogen Heap/Blanket
https://www.youtube.com/watch?v=z79pgPn357g
jeff beck/Free Jam
hollywood bowl 2017
https://www.youtube.com/watch?v=xDcf3BMhct4
Tal Wilkenfeld/Under the Sun, 2016
https://www.youtube.com/watch?v=m3VqpX3GVdo