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虹の彼方に [音楽]

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Livingston Taylor

小西康陽の『わたくしのビートルズ』という本を読み始めたのだが、ハードカヴァーの堅牢な本で、読んでも読んでも終わらない。なぜなら幾つものレイアウトで組まれていて、一番小さなフォントのページは4段組だったりするからだ。この、読んでも読んでも終わらないというのは私にとっては悦楽で、なかなか読み切れない本というのに魅力を感じる。書籍でも雑誌でもスカスカの中身だと買いたくなかったりする。文字がびっちり入っているほうがお得感もあると思う。これって貧乏性? でも『大菩薩峠』は読んでいないし、『グイン・サーガ』も30巻か40巻くらいまでは読んだのだが、ちょっとここどうなの? というラフな感じを受けた個所があってそこでやめてしまった。読書なんてそんなものなんだと思う。

でも『わたくしのビートルズ』はいわばエッセイ集だから、どこから読んでもいいし、好きなところだけ読めばよいので気が楽。といいながら最初からページ順に読んでいて、合間合間に読んでいるのでなかなか消化できないのだが、なんとか半分は過ぎた。1日かければ読めるかと思っていたのだが全然無理だった。
小西康陽のことは以前、市川紗椰のCDの記事で書いたことがあるが (→2015年07月13日ブログ)、その後、ピチカートを熱心に聴いたとか、そんなことはない。そんなことはないなんて書いたらとても失礼だが、渋谷系って私にはとてもオシャレ過ぎて近寄りがたいイメージがある。

この本については、読み終わったらまたあらためて書こうと思っているのだが、リヴィングストン・テイラーのことが紹介されていて、でも今読み返そうとしたらどこに書いてあったのかわからなくなってしまったのだが、そしてそのあたりの音楽は私にとってはよくわからないジャンルなのだけれど、でもリヴィングストン・テイラーもケイト・テイラーもCDを買った覚えはある。リヴィングストンのアルバムはたまたま《Unsolicited Material》だったりする。

で、そのリヴィングストン・テイラーの若き頃でなく、もうかなり最近になってからの〈Over The Rainbow〉を歌う映像があって、これがシブいというか、とても美しい。晩年のレナード・コーエンなどと同じで、いや、コーエンはまだギラギラした何かの残滓を湛えていたがそういうのとは違う美学がリヴィングストン・テイラーにはあって、音楽の楽しさをしみじみと感じる。
〈Over The Rainbow〉は映画《オズの魔法使》(The Wizard of Oz, 1939) の挿入歌で、ハーバーグ/アーレンの作品。ほとんど誰でも知っているスタンダードである。1939年はタイプ41を設計したジャン・ブガッティが亡くなった年だということを脈絡もなく思い出したりする。

原作のライマン・フランク・ボーム (Lyman Frank Baum, 1856-1919) はハヤカワ文庫の佐藤高子訳で読んだが、それまでは 「オズの魔法使い」 の内容を全く知らなくて、怖い内容なのかもしれないと思っていた。訳文もすぐれているが、新井苑子のシンプルな線の挿絵も美しくて愛読していた。

〈Over The Rainbow〉は映画の《オズの魔法使》の中でジュディ・ガーランドの歌った曲だが、小西康陽の本の中にモニカ・ゼタールンドのことが書かれている個所があって、ジュディ・ガーランドもモニカ・ゼタールンドもその悲劇的な最期に関しては共通するものがあって、それを思うと心がしんとする。


わたくしのビートルズ 小西康陽のコラム1992-2019 (朝日新聞出版)
わたくしのビートルズ 小西康陽のコラム1992-2019




Livingston Taylor/Good Friends (Chesky Records)
Good Friends




Livingston Taylor/Over The Rainbow
https://www.youtube.com/watch?v=i5ZjWkUFnTg

Judy Garland/Over The Rainbow
https://www.youtube.com/watch?v=1HRa4X07jdE
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