Stolen Car — MyLène Farmer feat. Sting [音楽]
スティングの最新アルバムは《Duets》—— 彼がいままでにデュエットをした曲を集めたもので、そのアルバムを買おうとしたのだがジャケット・デザインがイマイチ気に入らなくて、山積みになっていた《Every Move You Make: The Studio Recordings》というポリスのスタジオ・アルバムの廉価盤セットを買ってしまった。ですから、ジャケット・デザインは重要です。
本来買うべきだった《Duets》にはミレーヌ・ファルメールとのデュエット〈Stolen Car〉も収録されていて、ちょっといいかなと思ったのである。ファルメールは2018年のアルバム《Désobéissance》があまりピンと来なくて少し疎遠になっていた。〈Stolen Car〉はその前のアルバム《Interstellaires》に入っていた曲である。
このところ私の中では、J-popを聴き過ぎて少し食傷気味という感じがしていて、テイラー・スウィフトなども聴いていたのだが、彼女はアメリカン・ポップスの王道という感じがしてトリッキーさがなく心が安まる。さらにスティングやファルメールに還って行くととても心地よい。ここが本来のホームタウンという気がしてしまう。まさにスプリングスティーンが歌うようなマイ・ホームタウンのイメージだ。
〈Stolen Car〉はオフィシャルなヴィデオがなかなか洒落ているのだがそれ以外に、The Tonight Showという番組でのライヴ映像があって、そんなのを見ているうちに、さらにそこからの流れで2019年のファルメールのコンサート映像を見つけた。会場はナンテールにあるパリ・ラ・デファンス・アリーナで収容観客数は4万人とのこと。ベルシィが約2万人だからその倍のキャパシティである。
〈Pourvu qu’elles soient douces〉や〈Sans logique〉といった曲は懐かしいが、ステージ構成は例によって大がかりで、今っぽいエレクトロな作りになっている。〈M’effondre〉も同様のパフォーマンスで、かなり横広がりな映像は色々なシーンのオムニバスみたいなのがインサートされるのがやや残念だが、ショーの概観がわかるともいえる。
Sting/Duets (Universal Music)
The Police/Every Move You Make (A&M)
Mylène Farmer/Pourvu qu’elles soient douces (Live 2019)
https://www.youtube.com/watch?v=-wr6W2HBCUA
Mylène Farmer/Sans logique (Live 2019)
https://www.youtube.com/watch?v=qRbSPn4wjto
Mylène Farmer/M'effondre (Live 2019)
https://www.youtube.com/watch?v=9-T-bbiFn_U
Mylène Farmer feat. Sting/Stolen Car (Clip Officiel HD)
https://www.youtube.com/watch?v=HQkkmYIu95I
Mylène Farmer, Sting/Stolen Car
(live at The Tonight Show)
https://www.youtube.com/watch?v=Fvlvu52NEM8
Depend on you — 田村直美 [音楽]
Tenpack riverside Rockn’ roll Bandを聴く。
田村直美のヴォーカルによるバンドで、メンバーは土橋安騎夫、石川俊介、長谷川浩二、野村義男。《Tenpack 4》というアルバムはカヴァー・アルバムで、それに収録されている曲のなかから浜崎あゆみの〈Depend on you〉がオフィシャルのYouTubeにあげられている。2019年9月3日・マイナビBLITZ赤坂と記されているが、実はこれ、知りませんでした。
このメンバーについてわざわざ紹介するのもどうかと思うのだが一応書いておくと、土橋安騎夫=レベッカ、石川俊介=聖飢魔II、長谷川浩二=THE ALFEEのサポートドラマー、野村義男=たのきんトリオ (コラコラ) ですね。
PEARLはもともとは田村直美を含めたバンドであったが、私にとってのPEARLは1997年頃に田村直美をヴォーカルをメインとするために結成された臨時急造バンドである。そのことは以前の記事に書いたのだが (→2018年02月01日ブログ)、そのときにリンクしたライヴ映像とは別に、渋谷公会堂の動画があるはずだと、ふと思いついて探してみたのである。そうしたら渋谷公会堂のライヴ映像も見つけたのだが、それとともにもっと最近のTenpackの映像があるのを発見したのである。
ついでにこのときのPEARLのメンバーを列記しておくと、田村直美、北島健二、トニー・フランクリン、カーマイン・アピスの4人である。私の感覚でいえば、もう、とんでもないメンバーである。
〈Depend on you〉はおそろしく声が出ていて、野村義男のギターもさすがオリジナル・ギタリストで当時を彷彿とさせるし、リズムが前に来ていて、むしろ今のほうが良いかもしれない。
さらにTenpack riverside Rockn’ roll Bandのダイジェスト的な動画とBLITZでのTM Networkのカヴァーもあったのでリンクしておくことにする。
Tenpack riverside Rockn’ roll Band, 2014
Tenpack riverside Rockn’ roll Band 4
(MITギャザリング)
sho-ta with Tenpack riverside Rockn’ roll Band LIVE!
(アトス・インターナショナル)
Tenpack riverside Rockn' roll Band/Depend on you
マイナビBLITZ赤坂 2019.09.03
https://www.youtube.com/watch?v=-eANQ4Fy2Qc
Tenpack riverside Rockn' roll Bandダイジェスト
https://www.youtube.com/watch?v=LAS6ItQ5dj8
Tenpack riverside Rockn' roll Band/Get Wild
https://www.youtube.com/watch?v=qz82dSoAwrs
PEARL/虚ろなリアル
live 1997年頃
https://www.youtube.com/watch?v=GQHKpxpg2kg
PEARL/虚ろなリアル
渋谷公会堂 1997.04.10
https://www.youtube.com/watch?v=xiQ_gLscxUQ
大瀧詠一とYOASOBIと山尾悠子 [雑記]
大瀧詠一の《A LONG VACATION》の40th Anniversary VersionのVOXとLPは、ほとんど売り切れのようです。特にVOXは予約段階で完売してしまったらしい。現在販売されているのは通常盤CDのみですが、それもすでに初回盤ではありません。とんでもないですね。
尚、細かいことをいえばVOXのLPは45rpmの2枚組、単体のLPは33rpmで1枚です。最近は良い音をという志向なのか45rpmのLPがよく出されますが、個人的意見を申しますと33rpmでよいと思います。なぜなら45rpmではすぐに片面が終わってしまうからです。
オフィシャルでこの夏に《A LONG VACATION》のSACDが発売されると予告されていますので、今からCDを買うのならそれまで待ったほうがベターな気がします。たぶんハイブリッドだと思いますが、シングルレイヤーだったらゴメンナサイです。
ちなみにJAPANの《Gentlemen Take Polaroids》と《Tin Drum》は2018年にLPが再発されたとき、45rpmのみだと思っていたのですが、33rpmも同時に発売されていたようです。そして今回の《Quiet Life》の再発では33rpmのみになっていますが賢明です。
これも独断的意見を申しますとJAPANのベスト・ワンは《Tin Drum》ではなくて《Quiet Life》だと思います。
YOASOBIは『Sound & Recording Magazine』3月号のインタビューだけでなく、『ROCKIN’ON JAPAN』5月号、『PMC』Vol.19、『CUT』4月号などで軒並みインタビュー等の記事がありますが、あまりに多過ぎるようで、つぶされなければいいなと危惧してしまいます。まだ全部は読んでいません。
しかも2人の写真には必ず衣裳提供が記載されているようで、新しめなコーデのブランドばかりですが、う〜ん……という印象もちょっとあります。着せられている感があるからですが、でもそういうのも乗り越えていかないといけないので。『CUT』のikuraちゃんの服が一番好みかなぁ。
『山の人魚と虚ろの王』が出版されたのに合わせたのかもしれませんが『夜想#山尾悠子』という特集号が出ています。今、読んでいるところですが内容も濃くてファンなら必読です。沢渡朔の撮った若い頃の山尾悠子、超カッコイイ! 山尾悠子と金原瑞人が小中学校で同級生だったというのをはじめて知りました。幼稚園も1年間は一緒だったのだそうです。
ジェフリー・フォード『白い果実』を金原、山尾、それに谷垣暁美の3人で共訳していますが、そのわけがわかりました。中川多理の人形の取り合いをした話には笑いました。でも私はコレクターじゃないので、『翼と宝冠』も書店にありましたけど、ちょっとここまではねぇ。
念のため書いておきますが、金原瑞人の娘が金原ひとみです。
大瀧詠一/A LONG VACATION 40th Anniversary Edition (SME)
別冊ステレオサウンド/大滝詠一A LONG VACATION読本
(ステレオサウンド)
サウンド・アンド・レコーディング・マガジン
2021年3月号 (リットーミュージック)
ロッキング・オン・ジャパン 2021年5月号
(ロッキング・オン)
PMC Vol.19 (ぴあ)
CUT 2021年4月号 (ロッキング・オン)
山尾悠子/山の人魚と虚ろの王 (国書刊行会)
夜想#山尾悠子 (ステュディオ・パラボリカ)
tk-trap [音楽]
tk-trapは小室哲哉の最盛期に結成されたグループである。プロデュースは小室哲哉と久保こーじで、メンバーは11名。小室と久保に加えて、ギター、ベース、サックスに2ドラムス+パーカッション、そしてコーラスが3名という布陣で、歌詞は全曲英語詞である。
そして1996年1月19日と20日に幕張メッセでのライヴのためだけの、たった2日間のグループであった。
演奏は録音され映像も撮られて発売されたが、当時、映像はVHSテープでしかなく、それらもずっと絶版状態にあったのだが、この2月にやっとCDとBlu-rayで再発された。25年振りの再発なのであるが、待ちわびた再発であり、異論はあるだろうが、個人的な好みでいえばこれは小室哲哉の最高傑作である。内容的にはいつもの小室ワールドでTM NETWORKの曲などを取り上げているが、小室が欲していた音はたぶんこういう音であり、全体のニュアンスはほぼプログレといってよい。
全曲英語詞を採用したことにより、それは一種の抽象性を帯びていてメカニックに聞こえるし、あくまでインストゥルメンタルが主体であることを主張している。シンセサイザーも多数使われているが、基本的には安易なシークェンス・パターンに頼らず、あくまでアナログな、あえていえばアナクロな演奏方法であり、たぶんグループ全体に対してはかなりガッチリとした譜面があって、その上に小室と久保が音を乗せているという感じである。
一方で小室哲哉ひとりでのインプロヴィゼーションではシークェンサーを多用し、キース・エマーソン的なお決まりのアクションもあるという、ごく趣味的でやりたい放題なライヴである。
オフィシャルでBlu-rayの5曲目に収録されている CAROL (Part 2) IN THE FOREST-CAROL (CAROL’S THEME II) がYouTubeに公開されている。全体のリズムがタイトで、男声2女声1のコーラスも美しい。やがてテンポを落として女声の詠唱となるが、そこから一転して5拍子で畳みかけるようなリズムが刻まれ最高潮となり、そしてテーマに戻る、この連なりがスリリングだ。
このtk-trapに関しては以前に書いたことがあるが (→2013年01月19日ブログ)、それからすでに8年、その間に音楽も時代も様変わりしてしまった。時は決して戻らない。
tk-trap (Sony Music Direct(Japan)Inc.)
tk-trap/CAROL (Part 2) IN THE FOREST-CAROL (CAROL'S THEME II)
https://www.youtube.com/watch?v=ajg_9Q1rvg0
globe/Many Classic Moments
https://www.youtube.com/watch?v=APcOZvx82B0