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大瀧詠一とYOASOBIと山尾悠子 [雑記]

大瀧詠一の《A LONG VACATION》の40th Anniversary VersionのVOXとLPは、ほとんど売り切れのようです。特にVOXは予約段階で完売してしまったらしい。現在販売されているのは通常盤CDのみですが、それもすでに初回盤ではありません。とんでもないですね。
尚、細かいことをいえばVOXのLPは45rpmの2枚組、単体のLPは33rpmで1枚です。最近は良い音をという志向なのか45rpmのLPがよく出されますが、個人的意見を申しますと33rpmでよいと思います。なぜなら45rpmではすぐに片面が終わってしまうからです。
オフィシャルでこの夏に《A LONG VACATION》のSACDが発売されると予告されていますので、今からCDを買うのならそれまで待ったほうがベターな気がします。たぶんハイブリッドだと思いますが、シングルレイヤーだったらゴメンナサイです。
ちなみにJAPANの《Gentlemen Take Polaroids》と《Tin Drum》は2018年にLPが再発されたとき、45rpmのみだと思っていたのですが、33rpmも同時に発売されていたようです。そして今回の《Quiet Life》の再発では33rpmのみになっていますが賢明です。
これも独断的意見を申しますとJAPANのベスト・ワンは《Tin Drum》ではなくて《Quiet Life》だと思います。
YOASOBIは『Sound & Recording Magazine』3月号のインタビューだけでなく、『ROCKIN’ON JAPAN』5月号、『PMC』Vol.19、『CUT』4月号などで軒並みインタビュー等の記事がありますが、あまりに多過ぎるようで、つぶされなければいいなと危惧してしまいます。まだ全部は読んでいません。
しかも2人の写真には必ず衣裳提供が記載されているようで、新しめなコーデのブランドばかりですが、う〜ん……という印象もちょっとあります。着せられている感があるからですが、でもそういうのも乗り越えていかないといけないので。『CUT』のikuraちゃんの服が一番好みかなぁ。
『山の人魚と虚ろの王』が出版されたのに合わせたのかもしれませんが『夜想#山尾悠子』という特集号が出ています。今、読んでいるところですが内容も濃くてファンなら必読です。沢渡朔の撮った若い頃の山尾悠子、超カッコイイ! 山尾悠子と金原瑞人が小中学校で同級生だったというのをはじめて知りました。幼稚園も1年間は一緒だったのだそうです。
ジェフリー・フォード『白い果実』を金原、山尾、それに谷垣暁美の3人で共訳していますが、そのわけがわかりました。中川多理の人形の取り合いをした話には笑いました。でも私はコレクターじゃないので、『翼と宝冠』も書店にありましたけど、ちょっとここまではねぇ。
念のため書いておきますが、金原瑞人の娘が金原ひとみです。
大瀧詠一/A LONG VACATION 40th Anniversary Edition (SME)

別冊ステレオサウンド/大滝詠一A LONG VACATION読本
(ステレオサウンド)

サウンド・アンド・レコーディング・マガジン
2021年3月号 (リットーミュージック)

ロッキング・オン・ジャパン 2021年5月号
(ロッキング・オン)
![ロッキング・オン・ジャパン 2021年 05 月号 [雑誌] ロッキング・オン・ジャパン 2021年 05 月号 [雑誌]](https://m.media-amazon.com/images/I/51Gy-XSlHrL._SL75_.jpg)
PMC Vol.19 (ぴあ)

CUT 2021年4月号 (ロッキング・オン)
![Cut 2021年 04 月号 [雑誌] Cut 2021年 04 月号 [雑誌]](https://m.media-amazon.com/images/I/51uWDM6FqnL._SL75_.jpg)
山尾悠子/山の人魚と虚ろの王 (国書刊行会)

夜想#山尾悠子 (ステュディオ・パラボリカ)

tk-trap [音楽]

tk-trapは小室哲哉の最盛期に結成されたグループである。プロデュースは小室哲哉と久保こーじで、メンバーは11名。小室と久保に加えて、ギター、ベース、サックスに2ドラムス+パーカッション、そしてコーラスが3名という布陣で、歌詞は全曲英語詞である。
そして1996年1月19日と20日に幕張メッセでのライヴのためだけの、たった2日間のグループであった。
演奏は録音され映像も撮られて発売されたが、当時、映像はVHSテープでしかなく、それらもずっと絶版状態にあったのだが、この2月にやっとCDとBlu-rayで再発された。25年振りの再発なのであるが、待ちわびた再発であり、異論はあるだろうが、個人的な好みでいえばこれは小室哲哉の最高傑作である。内容的にはいつもの小室ワールドでTM NETWORKの曲などを取り上げているが、小室が欲していた音はたぶんこういう音であり、全体のニュアンスはほぼプログレといってよい。
全曲英語詞を採用したことにより、それは一種の抽象性を帯びていてメカニックに聞こえるし、あくまでインストゥルメンタルが主体であることを主張している。シンセサイザーも多数使われているが、基本的には安易なシークェンス・パターンに頼らず、あくまでアナログな、あえていえばアナクロな演奏方法であり、たぶんグループ全体に対してはかなりガッチリとした譜面があって、その上に小室と久保が音を乗せているという感じである。
一方で小室哲哉ひとりでのインプロヴィゼーションではシークェンサーを多用し、キース・エマーソン的なお決まりのアクションもあるという、ごく趣味的でやりたい放題なライヴである。
オフィシャルでBlu-rayの5曲目に収録されている CAROL (Part 2) IN THE FOREST-CAROL (CAROL’S THEME II) がYouTubeに公開されている。全体のリズムがタイトで、男声2女声1のコーラスも美しい。やがてテンポを落として女声の詠唱となるが、そこから一転して5拍子で畳みかけるようなリズムが刻まれ最高潮となり、そしてテーマに戻る、この連なりがスリリングだ。
このtk-trapに関しては以前に書いたことがあるが (→2013年01月19日ブログ)、それからすでに8年、その間に音楽も時代も様変わりしてしまった。時は決して戻らない。
tk-trap (Sony Music Direct(Japan)Inc.)

tk-trap/CAROL (Part 2) IN THE FOREST-CAROL (CAROL'S THEME II)
https://www.youtube.com/watch?v=ajg_9Q1rvg0
globe/Many Classic Moments
https://www.youtube.com/watch?v=APcOZvx82B0
西加奈子『おまじない』 [本]

西加奈子の『おまじない』が文庫になったので買う。
巻末に長濱ねるとの対談が掲載されているのだが、その中で西は、自分に正直であろうとするのが指針であると言っている。
小説は基本作り話、嘘なわけやけど、でも、嘘をついている感覚で書く
ことはしない。例えば「この表現もっと賢そうに見せたい」とか「作家
として正しい態度であると思われたい」っていう自分の思いを小説にこ
めるのは、私の中で嘘やん、と思う。
8つの短編が収録されているのだが、まず女の子のことを書きたい。そして誠実なおじさんのことを書きたい、とのことである。そのように幾つかの縛りを設けて書き始めたら結構大変だったと下記リンクでも語っているのだが、どれもが読み応えがあって心がしんとなる。
西加奈子の文章は常に明晰だ。「これ、どういうシチュエーション?」 とか、「これ誰の言ってる言葉?」 みたいな曖昧なことがない。昨年出たユリイカの特集を読んでいたら、あまりに大阪のおばちゃんみたいなイメージが強調されていたようにも思えるのだけれど、実はおそろしい作家です、と私は思ってしまう。
文庫で買っても税込682円。単行本は3年ほど前に刊行されているので、図書館にはたぶんあるはずです。オススメ。どれもすごいけど、私が好きなのは 「燃やす」 と、あと、「あねご」。
西加奈子/おまじない (筑摩書房)

ユリイカ 2020年11月号 (青土社)

『おまじない』西加奈子メッセージムービー
https://www.youtube.com/watch?v=4yzAQcxQQMg
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