B’z/6本のライヴ [音楽]
B’z (味の素スタジアム・2018)
2024年大晦日の紅白歌合戦での注目に応えたのか、B’zのYouTubeチャンネルで過去のライヴ動画が6本公開された。
1995年、2000年、2002年、2008年、2018年、2023年のライヴで、曲目は〈LOVE PHANTOM〉と〈ultra soul〉の2曲のどちらかである。
年を追ってB’zのコンサートにおける2人のパフォーマンスの変遷を観ることができる。最近になればなるほど、演奏も会場のビジュアルも洗練されてくるが、1995年、2000年の頃の、レーザーを使用した今から見ればやや古いステージングに、むしろ原初的なロックの輝きが感じられる。
特に2000年の雷の鳴る豪雨の中でのライヴは、バックの弦楽器群もびしょ濡れで、果たしてこんな天候で演奏を強行してしまってよいのかと心配になるような状況で、ハイテンションというよりむしろ狂気に近い。1971年にグランド・ファンク・レイルロードの伝説的なライヴがあるそうだが、私はそれを知らないけれど、この動画はたぶんそれに匹敵するのではないかと思う。
それでいて、この日を含めた全てのライヴ映像は、ハイテンションでありながら、ラフになることもなく、おそろしく緻密であり、構成は全て異なる。これがプロフェッショナルのライヴなのだと思う。
B’z/LOVE PHANTOM
1995 at 千葉マリンスタジアム
https://www.youtube.com/watch?v=EajACroc1CQ
B’z/LOVE PHANTOM
2000 at 千葉マリンスタジアム
https://www.youtube.com/watch?v=4qXvAVa8PXk
B’z/ultra soul
2002 横浜国際総合競技場など
https://www.youtube.com/watch?v=plDfbcm8rDQ
B’z/ultra soul
2008 at 日産スタジアム
https://www.youtube.com/watch?v=ozZNOF-WJqU
B’z/ultra soul
2018 at 味の素スタジアム
https://www.youtube.com/watch?v=OxnzZqisYTg
B’z/LOVE PHANTOM
2023 at ヤンマースタジアム長居
https://www.youtube.com/watch?v=ZgRPDC4xE4A
紅白歌合戦のB’z [音楽]
新年早々、極悪なインフルエンザに罹ってしまいました。まだ謹慎中です。
さて、大晦日のNHK紅白歌合戦に出演したB’zが話題になっています。NHKサイトの曲順の紹介では朝ドラの主題歌〈イルミネーション〉としか記載されていませんでしたし、始まったら広いスタジオセットでの歌唱、まぁそんなもんだろうなと思っていたところ、NHKホールに登場したのでびっくり。しかも〈LOVE PHANTOM〉〈ultra soul〉と2曲続けて。
ステージの演奏では松本孝弘はゴールドトップでしたし、背後のアンプの壁に笑いました。〈LOVE PHANTOM〉の冒頭、あれはEQが間違ってかかっちゃったのか、とんでもないミスですが逆にいえばまさにライヴです。
特別扱いは許さねーとか言っている某歌手もいるそうですが、仕方がないんじゃないかな。むしろ、スタジオでの録画撮りで済まさなかったB’zの誠意を感じます。つまり3曲だけなんだけど本気で来たわけです。
実は私はB’zはあまり好きではなくて、誰がこんなの聴くんだろう? と思っていた頃がありました。ですが、稲葉浩志の、自分の声を守るためにコンサート前に禁欲的な調整をしていることを知ってから、この人、本物だなと思うようになりました。でなければあんな声は出ません。もちろん、最も重要なのはその真摯な音楽性です。
サポートメンバーは次の通りです。
大賀好修 (g)
清 (b)
シェーン・ガラース (ds)
川村ケン (k)
紅白の様子はNHKのサイトで観ることもできますが、ほんの一部のダイジェストだけです。
https://www.youtube.com/watch?v=ZkPNHUl9xxA
これはリンクしてしまって良いのかどうかわかりませんが、インスタで全3曲を観ることができます。
https://www.instagram.com/reel/DEVzgqtz6-2/
a day in the life [音楽]
And though the news was rather sad
I saw the photograph
Wes Montgomery/A Day in the Life
https://www.youtube.com/watch?v=psvs4axQ10A
Rei〈Heaven〉 [音楽]
Reiの〈Heaven〉のMVが公開された。アルバム《XINGS》のtr02に収録されている曲である。
メカニックでトリッキーな衣装で、途中で衣装変わりもあるが、ヴォーカルにずっとギターがからみ続け、ギターのソロ部分も十分にあり、ソロ後にはお決まりのように半音上がり、曲調としてはスタンダードなロックである。
Wi-Fi繋がんないけどしょうがない
使用ギターはフェンダーのR246というReiモデル。Reiが使用していた改造ストラトのテイストをトレースしてフェンダーがReiのために開発したギターで、24フレットまであり、ボディサイズも一回り小さいのだという (でもスケールは25.5インチ)。ピックアップはヴィンテージ・ノイズレス。ネックのジョイント部は1弦側がさらに削れているため、ネックプレートが四角で無く台形になっている。ブリッジは2点支持で、黒色のGraph Techのサドルが印象的だ。ストラトについているスタンダードなサドルは重量的に軽い印象があるので、このサドル採用は納得できる。
ボディはバスウッド、ネックはメープル、フィンガーボードはローズウッドで、ネックシェイプはRei用に作られたOriginal “C”とのこと。ボディカラーはRei Bluというペールブルーである。弦はデフォルトでは.009〜が張ってあるとのことだが、Reiは1音 (長2度) 下げてチューニングしているらしい。
市販されるReiモデルとReiの実際の使用ギターとではたぶん違う部分があるのだろうが、美麗なモデルであることは確かだ。音楽というよりエクィップメント記事になってしまったがお許しください。
*
冬野ユミの大河ドラマ《光る君へ》サントラ完全盤を購入しました。個人的には今年の音楽CDのベスト1です (あくまで個人的な感想ですので)。
Rei/Heaven (Official Music Video)
https://www.youtube.com/watch?v=rtIHxaiKHFE
Rei/GUITARHOLIC (PLAYER’S CUT)
https://www.youtube.com/watch?v=za8UXJ4jDHU
マリア・ジョアン・ピリスのジュノム [音楽]
9月の高松宮殿下記念世界文化賞受賞、そして1回だけのマティアス・ゲルネとの《冬の旅》など、ここのところ、ピリスの話題が多い。
何となく検索していたらベルリン・フィルの digitalconcerthall にモーツァルトのジュノムがあるのを見つけた。2008年と少し古いライヴ映像だが、その日のコンサートを聴いてみた (wikiではピリスの表記を 「ピレシュ」 とすることにこだわっているようだが、今のところ私は 「ピリス」 を使用することにする)。
指揮はトレヴァー・ピノック、演奏日は2008年10月10日である。演奏曲目はモーツァルトの《交響曲第25番ト短調》K.183 (173dB)、《ピアノ協奏曲第9番変ホ長調 ジュノム》K.271、そして《交響曲第40番ト短調》K.550 というオール・モーツァルト・プログラムである。
単純にモーツァルトを並べただけではなく、K.183とK.550という、2つの短調シンフォニーを選択していて、しかもこの2曲はどちらもg-mollであること、間にはさまれたPコンはEs-Durだが、その特徴的な第2楽章がc-mollというプレーンな調性であることからもわかるように、全体がひとつの悲しみを醸し出すモーツァルト・プロであるといえる。
モーツァルトの時代にはまだメカニックな平均律的考え方は無く、調性はそれぞれの顔を持っていたはずである。モーツァルトの作品はほとんどが長調曲であり、そのなかでの短調曲はそれ自体が特殊な立ち位置にあることを暗示するが、調性はc-mollやa-mollが多く、それらはプレーンで素朴だけれどダイレクトな響きを持っている。a-mollでの有名曲といえばたとえばK.310 (300d) のピアノ・ソナタがある。
そんななかでg-mollという調性はより特異な意味を持っているのに違いなくて、41曲ある交響曲のなかで、この25番と40番しか短調曲はない。それが両方ともg-mollなのだが、g-mollという調性で思い出すのは小林秀雄がロマンティックに評したことで有名なK.516の弦楽五重奏曲第4番であり、g-mollは 「宿命の調性」 などと呼ばれているらしい (私が初めてK.516を聴いたのは巖本真理SQの文化会館での定演であり、まだオコチャマだった私は、恐ろしい曲を聴いたと衝撃を受けた。その後、ブダペストSQのクインテット・ボックスでK.516ばかり聴いていた覚えがある)。
ということで、それならPコンをd-mollのK.466にすればさらに悲しみ度は深まるのだろうが、それではあまりにベタなのでこの選曲になったのだと思う (いや、25番と40番を並列させたのだけで十分にベタなのだけれど)。
K.466はブーレーズ/ベルリン・フィルによる2003年のリスボンのジェロニモス修道院でのライヴ映像がある (そのことはずっと以前の記事に書いた→2014年10月28日ブログ)。
ピノックについて私はあまり良い印象を持っていなかった。なぜなら最初に聴いた彼のアルヒーフ盤のチェンバロ曲のCDが妙な残響を伴っていて、それは録音の際のEQの設定ミスなのか、それともルーム・アコースティク自体がそういうロケーションだったのか判別できないのだが、よく考えればピノックの演奏については問題がなかったはずなのだ。
冒頭曲の25番は1773年、モーツァルトが17歳のときの作品である。ピノックはチェンバロを前にして、弾き振りで指揮をする。これは相当カッコイイ。といってもチェンバロの音はほとんど聞こえないのだが、最終楽章でチェンバロの音が明瞭に聞こえてくる部分があって、古楽的なアプローチとしてのピノックのこだわりを感じる。
さて、ピリスを迎えた《ジュノム》である。ピアノ協奏曲第9番であり1777年に作曲された。de.wikiには „Jenamy“ (früher „Jeunehomme“) と注意書きがあるが、従来通りジュノムと表記することにする。ジュノムは数あるモーツァルトのピアノ協奏曲のなかで私が最も好きな作品であり、若き日のピリスが仏エラート盤に録音していたグシュルバウアーとの何枚かのレコードを繰り返し聴いていた記憶がある (そのことはずっと以前の記事に書いた→2012年02月04日ブログ)。エラートの白が基調のジャケットは品が良くて、クラシックのレコードのなかで一番好きなデザインだった。
だが、今回のピノック/ベルリン・フィルとの演奏は、聴き較べたわけではないが、ピリスは当時のエラート盤の音とは異なるニュアンスで弾いているように感じる。2012年の記事で私は、モーツァルトのソナタ全集は最初のDENON盤のほうが後のDG盤よりも好きだというふうに書いたが、実は後期になってからの翳りこそがピリスの神髄なのだと今では思う。単純に年期が入っているだけなのかもしれないし、年齢を重ねたことによる経験則の重なりによって音楽へのアプローチが変化してきたからなのかもしれない。動画を観ると軽々と弾くのではなく、鍵盤を摑むようにして、しっかりとひとつひとつの音を出しているように感じる。
第2楽章のアンダンティーノは第1楽章のEs-Durに対して平行調のc-mollとなる。モーツァルトのPコンでは第2楽章が短調になることさえ滅多に無いが、K.271はその滅多にない曲のひとつである。このアンダンティーノにおけるピリスの表現は儚くそして深い。
第3楽章は本来の調性であるEs-Durに戻るが、各楽章とも私にとっては馴染みのあるメロディであり、それはモーツァルトの曲の印象というよりも、それを何度も聴いていた時代を、過去の記憶を想起させる触媒として作用する。
コンサートの最後は交響曲第40番。39、40,41番と続くいわゆる3大交響曲のひとつであり、プログラムの最後に持ってくるべき作品でもある。1788年の作曲であるが、もうこの頃はチェンバロでなくフォルテピアノの時代であるから、ピノックはチェンバロは使わず普通に指揮する。
ピノックの設定した速度は速いのかもしれないが、その疾走感は決して軽いわけではない。むしろ後期のベームののったりとした今にも止まりそうな演奏はモーツァルトには似合わないような気がする。晩年の作品とはいえ、モーツァルトはこの曲を書いたとき、まだ32歳なのだ (モーツァルトは35歳で亡くなる)。
交響曲40番はおそらくあのサリエリの指揮によって初演されたとのことである。もっとも映画《アマデウス》のストーリーは史実ではなく、それをもととして創作された作品であることを考慮しなければならない。
digitalconcerthall
2008.10.10
https://www.digitalconcerthall.com/ja/concert/15
コンサート全曲と簡略なトレイラーが選択可能
挾間美帆 hr Bigband 2024.11.22ライヴ [音楽]
Miho Hazama (R), Immanuel Wilkins (L)
挾間美帆のhrビッグバンド (フランクフルト・ラディオ・ビッグ・バンド) とのライヴが hr-Bigband のYouTubeチャンネルにupされた。挾間美帆 [はざま・みほ/1986−] はジャズ作編曲家でありコンダクターである。2019年からデンマークのDR Big Band (Danish Radio Big Band) のコンダクターでもあるが、今回の動画はhrビッグバンドを指揮したライヴである。
最初に言ってしまえば素晴らしいライヴである。ゲスト・プレイヤーとして招かれたアルトサックスのイマニュエル・ウィルキンス (Immanuel Wilkins/1997−) を私はまだ知らなかったが、そのブロウは非常に知的でありながら、プログレッシヴであり美しい。
このライヴはおそらくリアルタイムで配信されたためだろうか、時間表示は2時間20分だが、途中で約25分の休憩がある。
今回、聴きながらアバウトだがセットリストを作成した。
表示は曲始まりの大体の時間、曲名、作曲者であり、*印の付いているのがウィルキンスが演奏に加わっている曲である。編曲はarr.と表記のある〈Fugitive Aituall, Selah〉がクリストファー・ズアー、〈Ferguson - An American Tradition〉が韓国の作曲家、イ・ジヘで、それ以外はすべて挾間美帆の編曲である。
次行にあるのは、その曲のソロのおおまかな順序である。ソロの間にトゥッティが挟まったりするが、そのへんは拾っていない。白眉なのはウィルキンスの作品〈Omega〉で、アルトとバリトンが交互にソロをとり、最後は4バースとなるのだが (この部分、挾間美帆の振り方を観ていると単純に4バースと数えていいのかどうかがわからない)、緩急のある構造、そして挾間のスコアの流れに乗って行くウィルキンスのインプロヴィゼーションはまさに今のジャズを感じさせる。
挾間はクラシックから現代音楽を学んでいたのが本来のフィールドだったので、このhrビッグバンドのような正統的ジャズのビッグバンドだけでなく、弦を加えた曲や、オーケストラにプラスしてジャズ・プレイヤーを配置する曲も得意としているようだ。
このhrビッグバンドの演奏時間は長いし比較的ハイブロウなライヴなので、MIHO HAZAMA m_unit という2023年のジャパン・ツアーの演奏〈Abeam〉もリンクしておく。ミュージシャンは日本人であり、とっかかりとしてはこのほうが聴きやすく、挾間の音楽を理解しやすいかもしれない。
挾間美帆/ビヨンド・オービット (Universal Music)
挾間美帆/イマジナリー・ヴィジョンズ
(Edition Records/King International)
Miho Hazama, Immanuel Wilkins, Frankfurt Radio Big Band Live
https://www.youtube.com/watch?v=5XnT2p_hKWU
1st set
00:38 introduction
02:50 I Said Cool, You Said...What? (Miho Hazama)
cl→p→g
11:56 Bourbon Street Jingling Jollies (Duke Ellington)
tb→g→tb→b
22:10 Grace and Mercy (Immanuel Wilkins)*
as→p→flh→as
30:18 Fugitive Aituall, Selah (Immanuel Wilkins/arr. Christopher Zuar)*
as→b→as
41:10 Omega (Immanuel Wilkins)*
as→bs→as→bs→as→bs→as&bs 4bars→as
50:50〜休憩〜1:16:30
2nd set
1:17:21 More? (Joel Ross)*
ts→as
1:24:33 Somnambulant (Miho Hazama)
ts→tp→ss→g
1:35:45 Dizzy Dizzy Wildflower (Miho Hazama)
tb→tp
1:45:22 Ferguson - An American Tradition
(Immanuel Wilkins/arr. Jihye Lee)*
as→tp→as
1:53:45 メンバー紹介
1:57:10 Saudade (Immanuel Wilkins)*
ss→b→p→as
encore
2:09:15 From Life Comes Beauty (Miho Hazama)*
tb→as
Live aus dem hr-Sendesaal, Friday November 22nd 2024
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Miho Hazama/Abeam
MIHO HAZAMA m_unit JAPAN TOUR 2023
on Sept 29, 2023 at Bunkyo Civic Hall, Tokyo
https://www.youtube.com/watch?v=PF1rR0Ggpk0
TOMOO YouTube LIVE 2024.11.18 [音楽]
TOMOOのYouTube LIVEが公開された。2024.11.18という日付になっている。
弾き語りのライヴ、というか自宅における固定カメラのYouTube動画である。55’45”あるが、このちょっとユルくてくだけた雰囲気が良い。途中で猫にチュールを、といって画面から消えてしまったりする。だが歌になると、この人はホントにシンガーソングライターなのだとあらためて確認することになる。
TOMOO/2024.11.18 YouTube LIVE
https://www.youtube.com/watch?v=EFkhU2_2CgY
〈Swamp〉— iriとマローダー [音楽]
Marauderを弾くiri
最近、iriが頭のなかでぐるぐるしているときがあって、たぶんこういうのって中毒性があると言うんだと思う。それで2024年3月の《Live at 武道館》のBlu-rayも買ったんだけどまだ開封していない。
それよりもやられてしまったのは〈Swamp〉のMVでiriが何気なくギターを弾いているショットが何度かあって、え、なにこれ? と思っているうちにだんだん全体が見えてきて、弾いているのがマローダーなことがわかってくる。マローダーというのはギブソンのちょっとマニアックなギターで、きっと当時売れなかったデザインなんだろうと思うけど、このビザールさがカッコイイ。
Rock in Japan Festival 2024でマローダーを弾いている短い動画もある。
iriには〈渦〉という曲があって、全然関係ないけど私はSugar Soulの2ndアルバム《うず》を思い出す。〈Garden〉が収録されているアルバムだ。もっともアルバムは1stの《on》のほうが名盤で愛聴していたのだが、今は廃盤のようだ。《on》はCDだけでなく、アナログ盤も2セット持っている。でも〈Garden〉の12インチシングルは残念ながら持っていない。
そんなことはよいとして、iriは韓国や台湾でもライヴをしているようで、そうした動画も散見される。日本人でも歌うのがむずかしいような歌詞を韓国や台湾のリスナーが一緒に歌ってくれるってすごいなと思ってしまう。
iriの《Live at 武道館》はYouTubeには音声しかないので、ちょっと前のライヴ映像をリンクしておく。
*
それとTOMOOの〈エンドレス〉のメイキング動画が公開されました。これもなかなか面白い。
iri/Swamp (Music Video)
https://www.youtube.com/watch?v=k-5drkaQVoU
iri/Swamp
(Rock in Japan Festival 2024)
https://www.youtube.com/shorts/FAjAvXLLDjs
iri/friends
(from iri Presents ONEMANSHOW “STARLIGHTS” 2022.10.13)
https://www.youtube.com/watch?v=RiLpKwmZmSA
iri/渦
(from iri S/S Tour 2022 “neon” at Zepp Haneda (TOKYO) 2022.06.05
https://www.youtube.com/watch?v=IU5zsws6IpY
iri/Wonderland
(iri Asia Tour 2024 Live in Taipei Legacy)
https://www.youtube.com/watch?v=jSuxrN-g8NU
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TOMOO/エンドレス Behind The Scenes
https://www.youtube.com/watch?v=xnJSdeFBumY
TOMOO/エンドレス (OFFICIAL MUSIC VIDEO)
https://www.youtube.com/watch?v=NW9IGlAsK7A
《マイルス・イン・フランス 1963&1964》 [音楽]
マイルス・デイヴィスの《マイルス・イン・フランス 1963&1964》が発売された。ブートレグ・シリーズのvol.8である。今回の内容は1963年7月26日〜28日のアンティーブ・ジャズ・フェスティヴァル (Festival mondial du jazz, Antibes/Juan-les pins) と1964年10月1日のサル・プレイエルにおけるパリ・ジャズ・フェスティヴァル (Paris jazz festival, salle pleyel) で収録されたライヴ演奏である。
ブートレグのvol.7《That’s What Happened 1982−1985》は私見では 「まぁね……」 とつい呟いてしまう内容だったが (私はギターの入ったマイルス・バンドが嫌いなので)、今回のvol.8はアコースティク・マイルスであり、この時期こそマイルスの最盛期と捉えるのが当然だと考える。
録音はモノラルであるが、音質はオフィシャルで出されたものであるから問題ない。
アンティーブのパーソネルはハービー・ハンコック、ロン・カーター、トニー・ウィリアムスのリズム・セクションでサックスがジョージ・コールマンであるが、翌年のサル・プレイエルではウェイン・ショーターに代わっている。
アンティーブの7月27日はアルバム《Miles Davis in Europe》の音源なのであるが、26日と28日はオフィシャルとしては初発売とのことである (JAZZDISCOのセッショングラフィによればJazz Music Yesterdayというレーベルでブートが出ていたらしい)。
サル・プレイエルのライヴは完全に初発売であるが、前出のJAZZDISCOで確認するとHeart Noteというレーベルでブートが出されていたことがわかる。
テナーがジョージ・コールマンからサム・リヴァースを経て、ショーターに代わってからの最初のライヴが1964年9月25日のベルリン・フィルハーモニーにおけるライヴ・アルバム《Miles in Berlin》であり、サル・プレイエルはその6日後の録音なのである。
マイルスのYouTubeチャンネルでは7月26日のアンティーブにおける〈So What〉と、サル・プレイエルの〈Autumn Leaves〉が公開されている。
〈Autumn Leaves〉はマイルス、ショーター共に尖っていて音数も多く緻密、おそろしいほどの緊張感で、数多い〈Autumn Leaves〉のなかでも出色の出来である。ベースソロの終わる頃にマイルスがテーマの片鱗を一瞬被せて来る数音が美しい (マイルスがライヴで 「枯葉」 のテーマをストレートに吹くことはほとんどない)。
〈So What〉はこの曲のライヴでの常としてオリジナルより圧倒的に速いが、ハンコックのソロが特に光る。ジョージ・コールマンもクォリティが高い。
本当はこれ、レコードで聴きたいんですが、う〜ん、値段が。
Miles Davis/Miles in France 1963&1964
(ソニーミュージックエンタテインメント)
Miles Davis/Autumn Leaves
(Live at Salle pleyel, Paris Oct 1, 1964)
https://www.youtube.com/watch?v=VceamQwj8bo
Miles Davis/So What
(Live at Festival mondial du jazz Antibes, July 26, 1963)
https://www.youtube.com/watch?v=lzJ4ZTi7yoY
柴田淳〈それでも来た道〉 [音楽]
最初に気にとまったタイトルは《ブライニクル》だった。それは柴田淳の12枚目のアルバムタイトルなのだが、タイトルとしては特異なのかもしれない。wikipediaを引用すると 「ブライニクル (brinicle) は拡大中の海氷の下部で形成される、塩水の降下流を内包した空洞の氷である。下向きに成長する。brine (塩水) とicicle (氷柱) のかばん語で、英語圏ではice stalactite (氷の鍾乳石) としても知られる。別名死の氷柱と呼ばれる」 とのこと。自然科学系の言葉であるが、その現象を借りて何を象徴しようとしているのかはあきらかである。
柴田淳には《ブライニクル》以外にも《オールトの雲》《バビルサの牙》といったアルバムタイトルがある。《オールトの雲》は2002年にリリースされた1stアルバムであるが、ダブルトーン風の上半身写真を配したジャケット表面にはタイトル文字が無く、タイトルの象徴性に同期している。オールトの雲とはヤン・オールトが提唱した 「太陽系の外側を球殻状に取り巻いていると考えられている理論上の天体群」 のことである。
このアルバムの最終トラックに入っているのが〈それでも来た道〉であり、この時点で柴田淳の音楽の方向性は確立されているといってよい。
アルバムは2ndが《ため息》(2003)、3rdが《ひとり》(2004) と続くが、荒井由実のような派手さは無いけれどこのクォリティはすごい。リアルタイムでは知らないので飛び飛びに聴きながらこの初期アルバムに辿り着いたのである。
〈それでも来た道〉はオリジナルのMVも初々しいが、最初のライヴ映像である《Live at Gloria Chapel》(2004) は秀逸であり、そのなかの歌唱をリンクしておく。
柴田淳/オールトの雲 (Dreamusic)
柴田淳/それでも来た道 (Live at Gloria Chapel)
https://www.youtube.com/watch?v=EJCsPXFGW7E
柴田淳/それでも来た道 (MV)
https://www.youtube.com/watch?v=jT8u5hm92EI