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〈Epitaph〉を聴く [音楽]

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Jakko Jakszyk

前ブログの記事でザ・ピーナッツの〈Epitaph〉のカヴァーを聴いているうちに、その本家キング・クリムゾンのエピタフってどんなだったけ? という思いからYouTubeを探してみたら、21st Century Schizoid Bandの演奏に行き当たった。
21st Century Schizoid Band はフリップのいないクリムゾンで、wikiによれば活動は2002年から2004年となっている。バンド名はもちろんクリムゾンの1st《In the Court of the Crimson King》のメイン・チューン〈21st Century Schizoid Man〉からとられている。

21st Century Schizoid Bandは《LIve in Japan》という新宿厚生年金ホールで収録されたアルバムが出ているが、そのとき私は会場にいたので、映像を見ると当時のことが甦ってきて懐かしい。でもプログレというのは私にはよくわからなくて、チケットが余っているからというお誘いで、半分イヤイヤみたいな感じで行ったのを覚えている。
YouTubeの解説部分には Il video del concerto è stato registrato il 6 novembre del 2002 al “Shinjuku Kouseinenkin Hall”, Tokyo, Giappone, ed è eseguito dalla “21st Century Schizoid Band”, formatasi nel 2002 dagli alunni dei King Crimson.と書かれている。(ん? なぜかイタリア語)

ステージングなどは全然凝っていなくて、こんなんでいいのか? 状態だったのだが、この映像を見てもステージングだけでなく肝心の音もスカスカな感じは否めない。オールド・クリムゾニストたちの中で、このひと誰? 的なジャッコ・ジャクスジクがひとりでがんばっているという印象があった。でもその後、彼はエイドリアン・ブリューの後釜のポジションになってしまったのだから、がんばっていたのは当然だとも言える。

逆に私はプログレをほとんど知らないので、マニアックなこだわりがない。エイドリアン・ブリューは昔からのクリムゾン・ファンには評判が悪かったらしいが、なぜフリップがブリューをチョイスしたのかはよくわかるし、それはその時代に何がトレンドだったかというのと密接な関係がある (たとえばトーキング・ヘッズとか。デヴィッド・シルヴィアンとコラボしたのもそう)。フリップはすごく流行に敏感なのだ。でもそれをダイレクトに取り入れることはしない。
ブリューはクリムゾンにいたときと、ピーター・ゲイブリエルのときと、私は2回ライヴに行っただけだが、いずれもそのギターは圧倒的であった。特に、ああいうふうに弾きながら同時に歌えるというのは信じられないというプレイ場面があった。
下にリンクした〈Elephant Talk〉は随分過去のものだが、その一種の下品さが素晴らしい。フリップのギターも秀逸である。そして近年の同曲はもっとアヴァンギャルドであったはずだ。

だから最近YouTubeにupされているDGM Liveは、今のフリップの動向を伝えているが、やはり昔より今の演奏のほうが音楽はより濃密であって私は好きだ。
たとえば私は《Red》の〈Starless〉を探していたのだが、オリジナルの〈Starless〉も歴史的には優れているし、その憂愁の色合いは今は存在しないのだけれど、音色的なパワーが弱くて、古い感じがしてしまう。でもDGMの音は今の音で、クリアだし、聴かせるなにかを持っている。
2015年、パリのライヴ〈The LIght of Day〉はまさにプログレッシヴなものを持っていながら、同時に内省的で、その叙情性こそ21世紀のSchizoid Manのたたずまいなのだと思うのである。


King Crimson/Discipline (WHDエンタテインメント)
ディシプリン




21st Century Schizoid Man/Epitaph
live in Tokyo, 2002.11.06.
https://www.youtube.com/watch?v=tVLHU8Yio24

King Crimson/Elephant Talk
on air, 1981.12.04.
https://www.youtube.com/watch?v=GTQrlDzqUCA

King Crimson/Starless
DMG live
https://www.youtube.com/watch?v=FhKJgqxNDD8

KIng Crimson/The Light of Day
https://www.youtube.com/watch?v=24wD_Tcapxg
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コメント 12

promethe

おはようございます。
ご訪問&nice!、ありがとうございます。

キングクリムゾンですか・・・。
私はプログレ系は割と聞くのですが、キングクリムゾンは縁遠かったですね。
でも、初期のキンクリにいたグレッグ・レイクは好きでした。昨年お亡くなりになりましたが。最近も同じくキンクリに在籍したジョン・ウェットンもなくなりました。彼の在籍したエイジアは青春時代にリアルタイムで聞いていたので、ショックでした。
よかったらエイジアも聞いてみてください。
by promethe (2017-02-03 06:38) 

末尾ルコ(アルベール)

わたしもなぜかこの前、フリップ、ブリュー時代のクリムゾンを視聴してました。今聴いても悪くないですね。ティーン次期(笑)、1年間ほど(笑)、「おれはプログレファンだぜ」というプライドを持っていたことがありまして、しかし今考えれば、ピンク・フロイド、クリムゾン、EL&Pくらいしか聴いてなかったですね。とは言え、これらグループ以外はまったく引っ掛かって来なかったというのもあります。ジェネシスとか米国で大人気でしたが、まるでピンと来ませんでした。最も好きだったのはロジャー・ウォーターズで、今観てもカッコいいなと感じます。ロバート・フリップは常に別格、別枠のイメージがありました。あるいは「黄門様の印籠的」とでも言いますか(笑)。フリップのような音楽スタンスは、ある意味どんどん進化・洗練が可能なものだという気もします。そう言えば、ブライアン・イーノもまたいろいろ聴いてみたいと最近思っておりました。   RUKO
by 末尾ルコ(アルベール) (2017-02-03 08:15) 

NO14Ruggerman

前記事で意外な方のカヴァーにビックリさせられ、そして続編記事、嬉しいです(^○^)
かつてワタシは先にELPの「タルカス」を聴き込んでおりましたのでその後で「エピタフ」を聴いたとき、あれっ!パクリ!?って思ってしまいましたよ(苦笑)
by NO14Ruggerman (2017-02-03 17:23) 

lequiche

>> promethe 様

御母様についての詳細な記事は、
直接にではないですが大変参考になる部分がありました。
ご冥福をお祈り申し上げます。

有名な人たちが次々に亡くなりますね。
しかたがないといえばしかたがないのですが、
でも年齢的に、まだちょっと若いなぁと思ってしまいます。
ましてエマーソンなどの場合は……。

私はプログレはごく断片的にしか聴いていないので、
よくわかりません。エイジアが彼のメインなんですか。
ウェットンはいろいろなバンドに在籍していましたね。
私はブライアン・フェリーはほとんど持っているのですが、
たとえば《The Bride Stripped Bare》は
ウェットンですね。
もう少し注意深く聴いてみたいと思います。
by lequiche (2017-02-04 01:33) 

lequiche

>> 末尾ルコ(アルベール)様

プログレファンとしてのプライド! いいですね〜。(^^)
万遍なく聴くのもいいですが、
ごく偏向的に聴くのもありです。趣味なんですから。

私はプログレというのをほとんど知らなくて、
というか、クラシック音楽へのコンプレックスみたいなのを
感じたりする場合もあるので、それはちょっと、と思います。
それだったらパンクのほうがリアリティがあり、
ですからシンパシィもあります。

ジェネシスは、初期のほうを遡って聴きましたが、
今の耳で聴くとちょっと古いです。
ソロになってからのゲイブリエルなら、まぁ聴けます。

黄門様の印籠、言えてますね。
よくも悪くも黄門様的権威になってしまっている、
という面はあると思います。
イーノの場合はジャンル的な汎用性がより広いですし、
その視点とか発想がすごいと思います。
by lequiche (2017-02-04 01:33) 

lequiche

>> NO14Ruggerma 様

そうですか。ありがとうございます。

あはは。エピタフ、パクリですか。(^^)
宮殿のほうがタルカスより前ですからね。
私も難波弘之のライヴに行っていた時期があって、
その後でELPを聴いたとき、
これ、難波弘之のパクリじゃん! と思いました。
(ギャグとしてはちょっと強引でした。^^;;)
by lequiche (2017-02-04 01:33) 

NO14Ruggerman

その手の勘違いは枚挙にいとまが無いですよね。
人の性で施行回路を自分本位に判断してしまう。
昨年ですか、キリンファイヤのCMソングでスティービー
ワンダーのオリジナルがオンエアされたらその盲目の
偉大なアーチストを知らない若者たちが「ワンオクロックを
パクるとは許せん」とネット上で大騒ぎになった件を
思い出しました(笑)
by NO14Ruggerman (2017-02-04 12:50) 

lequiche

>> NO14Ruggerma 様

検索してみました。そんな事件があったんですね。
スティーヴィー・ワンダー知らないって……。
もっとも最近はマイケル・ジャクソンだって
知名度は落ちていますし。

逆に私はワンオクロックというバンド、知りません。
そのカウント・ベイシーのパクリみたいなバンド名、
どうなの? って思ってしまいますが。(^^)

文学でも、池澤夏樹編集の日本文学全集が出ていますが、
古典を翻訳で読むというコンセプトは良いとして、
樋口一葉まで翻訳なんです!
いや、すごいなぁ。小学生かっ? って思いますけど、
今はそんなもんなんでしょうね〜。
そのうち夏目漱石も翻訳されるようになるかも。(-_-;)
by lequiche (2017-02-04 14:16) 

NO14Ruggerman

ワンオクは森=森の息子がボーカルやっている、と
マイナー時代から追っかけやってるうちの息子に教わりましたw
昨年末、NHK紅白~ゆく年くる年の後にライブが放映され
じいちゃん、ばあちゃん世代にも少し浸透したかも知れません。

漱石の翻訳は早晩出版されそうですね。
池上彰が「週刊こどもニュース」を皮切りに今引っ張りだこと
なっている如く、です。
「古事記」や「日本書紀」の漫画版が大ヒットしていますしね。

by NO14Ruggerman (2017-02-04 16:47) 

うっかりくま

キングクリムゾン、たまに聞きたくなります。
最近見つけたlequicheさんのブログの内容の
濃さに驚いています。音楽・書籍・漫画・・
少しずつ遡って読ませて頂こうと思います。
by うっかりくま (2017-02-04 20:38) 

lequiche

>> NO14Ruggerman 様

おおお、そうなんですか。
「森」 と言われて私は
森英恵ファミリーしか思い浮かびませんでした。(^^)
紅白の後だと注目度は高いかもしれませんね。
でも年寄りはもう寝ているかも。

池上彰! なるほど。
そういえばジュニア向けのやさしくリライトした本って、
昔からあったような気がします。
歴史なんかもマンガにしたほうがわかりやすい、とか。
そういうふうに考えればそんなに不自然じゃないですね。
by lequiche (2017-02-05 02:29) 

lequiche

>> うっかりくま様

どうもありがとうございます。
でも 「濃い」 ように見えるのは、
なるべく他人と違うことを書こうと思ってるだけなので、
内容的には浅くて偏っていると思います。

クリムゾンを含めたプログレは実はあまりよく知りません。
そのうち、そっち方面に詳しい友人から
ツッコミが入るような気がしてます。

それより、うっかりくまさんのブログ記事、
私のとは傾向が違うので知らないことも多くて
大変勉強になります。
特に目をひいたのが人形ですね。
それと『ちいさいおうち』は私が小学校に入って
た最初に読んだ図書室の本なので懐かしいです。
by lequiche (2017-02-05 02:29) 

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