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cardigan — テイラー・スウィフト [音楽]

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昨日、テイラー・スウィフトの《Fearless (Taylor’s Version)》が配送されてきた。
《Fearless》の再録盤とのことだが、ネットで購入しようとすると選択肢が多くて一瞬迷ってしまう。
テイラー・スウィフトはあまりにメジャーなのでスルーしようと思っていたのだが、ここでハマりこんでしまったのは、ギターを持った立ち姿が美しいと思ったからなのである。

最近作の〈cardigan〉のPVはとても凝ったつくりで、ルイス・キャロルが過るし、どれくらい時間がかかったのだろうと思わせられるのだが、それとともに歌詞の中にあるオールド・カーディガンという言葉にインスパイアされる。それはまるでブルー・レインコートのようにメタファーであり、衣服でありながら衣服ではない。そして最後の、音がひしゃげて発音しにくく切れ切れになってゆくようなエンディングはなんなのだ。すべてが考えつくされていて、心地よい音のなかに浸れる。

 When you are young, they assume you know nothing.

だが実は、こうしたつくりのPVは彼女にとってはむしろ当然のことで、それよりももっとシンプルな、ネットにいくつもupされているライヴ映像に惹かれる。テイラー・スウィフトのもともとのジャンルはカントリーであり、それがポップスに変節していってもその原点が失われてはいない。ギター1本の弾き語りで歌が成立していく姿を見るのは、妙に骨太で裸で、むしろそのたくましさとでもいえるような響きに、その声に心を奪われる。
リンクしたLive from Parisにおける〈The Man〉を歌っているときのスツールに腰掛け黒のアコースティクギターを弾く姿がカッコイイ。あるいはLive from New York Cityの〈Red〉は真っ赤な衣裳に赤のリップ、そしてやや暗めなメタリック・レッドのレスポールが映える。

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Fearless (Taylor’s Version) (Universal Music)
【Amazon.co.jp限定】フィアレス (テイラーズ・ヴァージョン)-デラックス・エディション (2CD)(グッズ付)(特典:メガジャケ付)




Taylor Swift/The Man (Live from Paris)
https://www.youtube.com/watch?v=F3aXpa1rQEY

Taylor Swift/Red (Live from New York City)
https://www.youtube.com/watch?v=gQ0pP2z9niw

Taylor Swift/Love Story (Live on Letterman)
https://www.youtube.com/watch?v=mNLVMDF9mUo

Taylor Swift/cardigan (Official Music Video)
https://www.youtube.com/watch?v=K-a8s8OLBSE
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末尾ルコ(アルベール)

テイラー・スウィフトは、例の超ポップ路線になる以前のアルバムは『Fearless』も含めてすべて聴いてまして、超ポップになってからは積極的には聴いてないんです。当時も渋谷陽一は歌詞も含めてしきりに絶賛しておりましたが、日本でも至る所で流れてましたよね。ただ自分が敢えて聴くような気分にはならなかった。
テイラー・スウィフトがまだ「若手カントリー歌手」と言われていた時期、グラミー賞でギターを持ってのパフォーマンスを観たのですが、さらりと出てきてさらりと歌う感覚がとてもカッコよかった。だから超ポップに転じた時には少し残念に感じたものです。もちろんその路線で彼女はとてつもないグローバルなスタートなったわけですが。
そしてこのところまた超ポップから離れ、しかし初期のカントリーともまた違う楽曲で絶賛されているのを見ると、その才能の大きさにあらためて感嘆してしまいます。
そしてまあこの容姿、ファッションセンスですから、ステージの上でのカリスマも群を抜いてますよね。
そう言えばルピタ・ニョンゴ主演のゾンビギャグ映画の中で、テイラーの超ポップ曲がおもしろく使われてました。同時に、世界的な大ヒット曲の凄みも感じました。
また初期の作品から聴き直してみます。

・・・

lequiche様のお好きなLPジャケット、あらためてチェックしてみましたよ。
どれも素敵ですね~。
The Byrdsの『Sweetheart of the Rodeo』だけ初見でした。このバンド、思えばあまり聴いてません。またいろいろチェックしてみます。
スザンヌ・ヴェガの『Solitude Standing』はリリース当時、毎日のように聴いてました。
ブロンディは当時はややポップ過ぎるかなあと感じてましたが、やはりいいですか?
わたしそもそも子どもの頃から女性ヴォーカルが大好きで、スージー&バンシーズとかも好きでした~、ジャケットも含めて。

LPジャケットって、あの大きさでこそのインパクトで、つまりあの大きさのジャケットを購入し、それが「家にある」ということ自体、それがクオリティの高いものであればあるほど、一つの大きな芸術体験となりますよね。つまり音楽を愉しむ以前に、「ヴィジュアルの芸術作品を購入して自宅へ持って帰る」という特別な体験をするわけで、これは本当に贅沢だし、芸術的感覚が磨かれますよね。
そしてクオリティの高いジャケットの多くは英米のロック、ポップでした。
などと考えていくと、CDや、さらにストリーミングなど、ずいぶんと体験としては貧しくなってきたものだと思います。
そして映画、そして絵画や写真などでも同様ですが、創作者が(このくらいの大きさで鑑賞してほしい)と作った作品は、極力その大きさで鑑賞すべきですよね。こうした当然のことも今では忘れられつつある。

>日本の音楽環境は鎖国状態なので。

まったくです。

>スポーツ界は旧態依然のような印象を受けます。

いやあ、もう、今回の五輪の件で、特に「日本のスポーツ界、それを取り巻くメディア」というものに心底嫌悪感を持つようになりました。
思考停止のまんま、そして思考停止を利用して金儲けしようという連中たち…。 RUKO

by 末尾ルコ(アルベール) (2021-05-02 05:02) 

coco030705

こんばんは。
Taylor Swift聴かせていただきました。
「Red」「Love Story」「Cardigan」がよかったです。
とてもきれいな人ですね。衣装も、センスのいいワンピースみたいな
感じのいいのを着てますね。ギターを持って歌うところがカッコいいです。
「Cardigan」のPVの凝り様といったら、映画みたい!日本ってまだまだですね。こんなファンタスティックな(しかも幼稚じゃない)PVを日本でも創ってほしいなぁ、なんて思いました。
音楽に関してはぜんぜん知識がないので、このブログで
lequiche さんに色々教えていただくのを楽しみにしております。
by coco030705 (2021-05-02 22:48) 

lequiche

>> 末尾ルコ(アルベール)様

テイラー・スウィフトは随分聴き込まれているんですね。
それからすると私は初心者のようなものです。
いろいろ教えてください。

私の初歩的感想としては、
彼女はポップス歌手という認識から出発しているものですから、
ライヴ映像を見ると完成されたスタジオ録音とは違って、
ギター1本でもこれだけ引っぱっていけるという才能に
すごいなぁと思ったわけです。
それでいてそのライヴの完成度が半端じゃないです。
それとやはり歌詞ですね。
たとえば上記の〈cardigan〉にしても、繰り返し
 I knew you
が出てきますが、過去形なんですよね。
この過去形は重く感じます。
 You drew stars around my scars
という箇所ももちろん過去形ですがstarsとscarsという韻とか
あるいは唐突に
 Peter losing Wendy
と出てくるところとか、えっ? と不意をつかれるんですが
つまり全てがすごく計算されているように思います。

5月1日の渋谷陽一の番組では、
《Fearless (Taylor’s Version)》から1曲かかっていましたが、
なぜ再録音したのかということがよくわかって、
なるほどと思いました。
彼女のアルバム forklore、evermore、farelessと3枚が
皆、売上げ1位になって、その間隔の短さは最盛期ビートルズの
Help!、Rubber Soul、Revolverを上回ったと言っていましたが、
テイラー・スウィフトとしてはコロナでやることないから
アルバムを作ってしまったという面もあるように思います。
ポール・マッカートニーのMcCartney IIIも同様の動機ですね。

バーズのジャケットはその当時の雰囲気をよく伝えていて、
レコード棚に並んでいるとすごく目立ちます。
時代が一回りしてダサかったのがカッコよく見えてきている、
というふうにも思えます。
スザンヌ・ヴェガの1stと2ndのSolitude Standingの2枚は
ジャケットも内容も素晴らしいです。

LPはその正方形の中をどのようにデザインするか、
という面白みがあると思います。
確かに一種の芸術作品という見方もできます。
正方形というかたちはレコード盤を収めるための制約ですが、
正方形におさめなければならないという制約が
逆に良いのかもしれません。
最近のインスタグラムが正方形なのも、ふーんと思ったのですが、
かつてのブローニーフィルムを使うカメラも
正方形の画面だったんですね。

先日、レコードショップに山下達郎の《POCKET MUSIC》の
レコードが飾ってあったので、思わず買ってしまいました。
CDで買ったときはそんなに良いデザインだと思わなかったのですが、
LPサイズで見るとイラストの印象が全然違うんです。
いわゆるジャケ買いです。
あぁ、だまされた〜、とも思いましたが。(笑)

オリンピックのことは
「やりたければ勝手にやればよろしい……
 何やら禍々しい国家的行事……
 国を背負って優劣を競いあうと選手が意識した瞬間に
 それはスポーツであることをやめてしまう」
というようなことを蓮實重彦が書いています。
by lequiche (2021-05-03 03:24) 

lequiche

>> coco030705 様

ご感想ありがとうございます。
テイラー・スウィフトは今、最も売れている歌手ですが、
どうしてそんなに売れているのかというのが
わかってきたような気がします。
どの層にもコミットし共感できる内容であること、
そして音楽が決して後ろ向きではないことです。
Lettermanのライヴで着ているワンピースは
これはどこのなのかなぁ、と思ってしまいました。
こういうふうに着こなせる人はそんなにいないです。

J-popに同じようなクォリティを求めることは
いくらなんでも無理ですが、
でもそうしたコンセプトが彼女の中にあること、
それは彼女が10代でデビューした頃から確立していたこと、
そう考えるとすごい才能だと思います。
音楽の系統としては全く異なりますが、
私はジョニ・ミッチェルに期待していたと同じような期待を
テイラー・スウィフトに期待してもいいと思っています。
by lequiche (2021-05-03 03:24) 

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