SSブログ

CHVRCHES《Screen Violence》 [音楽]

chvrches_210719_01.jpg
CHVRCHES

この前、発見した古書店で今日、雑然と積み重なった音楽雑誌などを掘り起こしていたのだが、そこはいかにも昔の古書店風で、未整理なのか整理するほどのものではないものが放置されているのか、そのたたずまいがタイムトリップしたような気分になるのだけれど、その間ずっとビョークが流れていて、でもこれは聴いたことがない、なんか違うんだけどでもとってもビョークという曲ばかりで、店員さんに聴いてみたらリミックスなのだという。あまたのリミックス。そして、これってつまりビョーク沼なのだと突然気付いた。古い音楽雑誌と昔のフンデルトワッサーの展覧会カタログを買って帰ってきた。

でもビョークのことはとりあえず置いといて、CHVRCHESのニューアルバム《Screen Violence》がもうすぐ発売とのこと。先行シングルとしての〈He Said She Said〉に続き、ロバート・スミスをフィーチャーした〈How Not to Drown〉、そして〈Good Girls〉をYouTubeで観ることができる。

〈He Said She Said〉というタイトルはビートルズの〈She Said She Said〉を意識しているのだと思うが、〈How Not to Drown〉はグリーンを基調としたウェットなイメージの画像で、それはこの今のパンデミックの世界を経て来た影響が多分にあるように感じる。あるいはそれはJ・G・バラードの《Drowned World》を抽象的に連想させる濡れた世界でもある。もっともマドンナにも〈Drowned World / Substitute for Love〉という楽曲があるが、マドンナがバラードの小説を念頭においていたのかどうかはわからないし、それよりももっとダイレクトな、つまりパンデミックの不潔さと不自由さをチャーチズの動画から連想してしまうのは、延々と続き果てることがないのではないかと危惧してしまうようなこの世界の宿痾のせいである。

一転して〈Good Girls〉はブルーを基調としていて、いつものチャーチズっぽく、でもどこまでも崩れて変形して行く今の時代を暗示している動画だ。これはメタモルフォーゼへの願望であり、というよりむしろ強制的に変容を迫られ制約だらけの縛りに苛まれている現代のメタファーなのかもしれず、あるいは疫禍のもとが次々に変異していくさまの抽象でもあるのではないかと私はとらえている。

chvrches_210719_02.jpg


CHVRCHES/Screen Violence (Goodbye Records)
Screen Violence [解説・歌詞対訳付 / ボーナストラック収録 / 国内盤] (BRC673)




CHVRCHES/He Said She Said
https://www.youtube.com/watch?v=fyyiJc0Wk2M

CHVRCHES, Robert Smith/How Not to Drown
https://www.youtube.com/watch?v=7U_LhzgwJ4U

CHVRCHES/Good Girls
https://www.youtube.com/watch?v=du4kNAyjVCg

Björk/Crystalline (Omar Souleyman Remix)
https://www.youtube.com/watch?v=3vEjKrP6tOs
nice!(63)  コメント(2) 

nice! 63

コメント 2

末尾ルコ(アルベール)

CHVRCHESって今までに(聴いたことあったかな、なかったかな)くらいの印象でしたが、今回じっくり視聴させていただきました。オーソドックスなエレクトロポップという印象を持ちました。
プロフィールを少しチェックしてみましたが、もの凄く売れているバンドというわけではないのですね。PVも80年代くらいの懐かしい感覚があります。わたしの好みで言えば、CGなどを駆使するよりもこうした映像の方が好きです。
この度初めて正面から聴いたばかりなので彼らの意図するところとか、もちろんまるで分かりませんが、「He Said She Said」「How Not To Drown」「Good Girls」を始め、今後も視聴していきます。
エレクトロポップってわたしにとっては久々で、すぐ思い出すのがヒューマン・リーグですから、一体いつの話になるんだって感じですが、あ、でもここでエレクトロポップの歴史をチェックすると、ゲイリー・ニューマンとかも聴いてたなあ。タンジェリン・ドリームも聴いてました。
エレクトロポップの分類の中にNiziUとか少女時代とかが入ってるのも見かけるんですが、あの辺もそういうコンセプトなんでしょうか。



そう言えば、読書についてですが、平野啓一郎がかねてから「スローリーディング」を推奨していますね。これは速読法などをありがたがる人間が増えてきたことへの反撃の意味合いが大きいと思いますが、まったく精魂込めて捜索した作家にとって速読されちゃあかないません。まさしくこれは「映画を早送りして観る」のと同様の愚行であり、文化芸術を愛する人間としては「否」を表明し続けるべきなのだと思います。
あと、平野啓一郎はかなり前から、そして今も例の大きな運動会に対して反対を表明し続けており、その点に関しても信頼感が強いです。

ほんやら洞の写真、拝見しました。カレーが美味しそうですね~。これは食べてみたいなあ。でも高知でもかつてはこうした外観の喫茶店、ありました。外観的にもこんな感じのお店ありましたし、店内の雰囲気が似ているお店もありました。ただ、人口の少ない高知ですから、お客さんの層は厚さを感じなかったです。

>壊すため専用のギターが別にあるんだ

そりゃそうですよね。大事なギター、わざわざ壊しませんよね。そう考えると愛用のギターを馬鹿正直に破壊した貧乏高校生だったかつてのわたしの友人が後で後悔したのは間違いなさそうです(笑)。
RUKO

by 末尾ルコ(アルベール) (2021-07-19 04:57) 

lequiche

>> 末尾ルコ(アルベール)様

チャーチズは本来、Speakeasyさんのご担当なんですが (^^)、
最近、ブログの更新がないので私が書いてみたというわけです。

これまでにリリースされたアルバム枚数は少ないですが、
必ず国内盤が出ますのでそれなりのセールスはあると思います。
今回のアルバムは、あくまで私の感覚ですが
いつもよりも全体にウェットな雰囲気で
それはやはりコロナ禍が影響しているような気がします。
チャーチズの魅力はローレン・メイベリーの声の強さですね。
もちろんそれを支えるシンセのリズムのクリアさもあります。

NiziU、少女時代といったK-pop系のグループはよく知りませんので
少し聴いてみましたが、簡単にいえば全然別のものだと思います。
K-popグループは歌の比重が大きいですし、
あくまでアイドル系の音なのではないでしょうか。

読書の速読術などといわれるものは
あくまでノウハウ本とかビジネス書などの
限られた範囲にのみ適応できる方法論なのだと思います。
それに速く読めるのがエラいということはありません。
問題はその本に何が書かれているのかを理解することです。
読むという行為がどういうことをあらわしているのか、
それが重要ですので、速度云々は些末なことだと考えます。
私は速読術にかなうような本を読みませんので、
具体的にどういうことなのかもわからないです。(笑)

ほんやら洞はまさに昭和の残滓が感じられる外観ですし、
でもそうした店はまだそれなりにありますね。
一定のファンがいれば存続できるのだと思いますが、
それにはある程度の人口が必要です。
人口が少ないというのはその点、つらいですが、
逆に人の密度が薄いというのはうらやましい点でもあります。

自分の楽器を壊すというのは
パフォーマンスとしては目立つのかもしれませんが、
自分の表現する行為を閉ざしてしまうという暗喩でもあり、
私はあまり良いやりかただとは思いません。
それこそがパンクの精神と言われれば
引き下がるしかないのですが。
by lequiche (2021-07-21 01:15) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。