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《関ジャム》ギター特集 [音楽]

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(右から) Char、Rei、Ichika Nito (テレ朝POSTより)

最近、テレビ朝日の《関ジャム》を全然観ていなかったのだが、久しぶりに観た昨夜の放送は面白かったです。おしまい。
と書いたら小学生の日記みたいなのでもう少し続けてみると、タイトルは 「“凄腕ギタリストが集結”ギター特集 !!」 とのことで出演者は Char、Rei、そして Ichika Nito の3人。

Charがクリームの〈クロスロード〉をコピーするのに3年かかったという話を聞くと、えっ、何で? と思ってしまうのだが、まだ楽譜も、もちろん映像も無い時代だから耳コピだけが頼りでというのに納得。今は楽譜もあるし映像もあるのでどうやって弾いているのか簡単にわかるのだけれど、ということなのだ。いわゆるチョーキング・ヴィブラートがこの曲のリフのキモであるのだが、CharがReiと2人でちょっとさわりを弾いたのを聴きながら、こうしてクラプトンからCharへ、そしてReiへと受け継がれてゆく音楽があるということに小さく感動。もっと言えばそれはデルタのロバート・ジョンソンからの流れでもあるのだ。

Reiは最初に聴いたときからの驚きが私の中ではずっと継続しているが、favoriteな1曲にB.B. キングを選択してたり、相変わらずの無双ギタリスト。放送の中ではストラトを弾いていたが彼女は大きめのフルアコだったりするのがカッコイイはず。

Ichika Nitoは知らなかったギタリストだが、これはすごい。簡単に言ってしまえばタッピングを主体とした奏法なのだが、スタンリー・ジョーダンでもエディ・ヴァン・ヘイレンでもない独自のニュアンスがある。それは子どもの頃、最初はピアノを学んでいて、ビル・エヴァンスの〈ワルツ・フォー・デビィ〉を聴いたとき、なぜこんなに悲しいのだろうと感じたのだというが、このピアノには勝てないと思ってギターを弾くようになったということで (う〜ん、そぉなの?)、ギター的な音というよりも鍵盤の扱いかたを兼ね備えているように思えた。
もっともタッピング主体の楽器といえばトニー・レヴィンなどで識られるチャップマン・スティックがあるし、またIchikaのYouTubeを観たところ多弦ギターのパフォーマンスもあったが、多弦ならエグベルト・ジスモンチという先達もいるわけで、今後彼がどのような表現方法を採って行くのか興味がある。もう少し長い曲をどのように構成するのかが聴きたい。
Charから 「おまえ、友達いないだろ?」 とからかわれていたのにとても笑った。

リンクはCharの〈クロスロード〉。
Reiはオフィシャルのヴィデオよりも、まだ自宅でアコースティク弾いているようなのが私は好きだ。それにオフィシャルには長いのがあまりないのでブルーノート東京のプロモーション用のごく短いのを選んでおく。あと、以前の記事にもリンクしたライヴの〈BLACK BANANA〉。
IchikaのYouTubeも短い曲ばかりなのだが〈スモーク・オン・ザ・ウォーター〉のイントロから始まる短いのを1曲。それと放送の中でも弾いた坂本龍一の〈Merry Christmas, Mr. Lawrence〉は放送当日にupされたもの (この戦メリも冒頭のテーマだけなのだが)。


Char/Crossroads
https://www.youtube.com/watch?v=L_l3Od7U0V4

Rei/Illustrated woman
https://www.youtube.com/watch?v=b3ObnqD5oW8

Rei presents "JAM! JAM! JAM!" at Blue Note Tokyo 12.11.2021
https://www.youtube.com/watch?v=eOvdG4S7e00

Rei/BLACK BANANA
https://www.youtube.com/watch?v=rcWNjx70F5U

Ichika Nito/When Mom wants to see your progress of your guitar lessons
https://www.youtube.com/watch?v=UTaC6zktX64

Ichika Nito/Merry Christmas, Mr. Lawrence
https://www.youtube.com/watch?v=qwPb6zHp9n8
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Boss365

こんにちは。
小生はチラ見程度ですが、大変面白く視聴しました。特にIchika Nitoさんが選んだ「これが凄い演奏?」の一音の二アンスの違い、興味深かったです!?(=^・ェ・^=)
by Boss365 (2022-01-24 13:05) 

coco030705

こんにちは。
3人ともすごいギターテクニックですね。
私は耳慣れた曲、I Play Merry Christmas, Mr. Lawrence
がよかったですが、世の中にはこんなにギターを自在に弾く才能の持ち主がいるのだなと改めて感動しました。
Charさんは昔から知っていますが、少しお歳を召しても、カッコよさは変わらないですね。
by coco030705 (2022-01-24 18:24) 

末尾ルコ(アルベール)

Charはロックギタリストとして『ザ・ベストテン』などテレビ番組に普通に登場していた時代があって、それだけに一般向けの楽曲もありましたが、それでもいつでも「ロック風」ではなく「真正ロック」の存在感は常にありました。わたしかつては「ロック風」に強い嫌悪感を持ってましたので、Charのような人は頼もしく感じたものです。
余談ですけれど、これもずっと前にCharがジェフ・ベックについて語るラジオの企画があって、「ジェフ・ベック」という名前がプロレスの「スタン・ハンセン」のような語呂のよさ、言葉としてのカッコよさがあるといった意味をいきなり力説していたの、記憶に新しいです。こういうこと語る人って、往々にして言葉のセンスがよかったりしますね。

リンクしてくださっている動画、視聴させていただきました。気持ちいいです。この気持ちよさはエレキギターならではというところもありますね。肉体に直接訴えかけてくるような音の攻撃力。以前おっしゃってくださった、「キーボードよりギターが遥かにロック」というお言葉がより切実に伝わってきます。
Reiはもうちょいちょい聴いてますが、めちゃめちゃカっコいい。高度なギターテクの人って特別カッコいいですよね。
Ichika Nitoはわたしも初めてです。おもしろいですね。このような映像を気軽に愉しめるのはネット社会の恩恵だとつくづく感じます。



>いかに流麗にソロが続いているか

なるほどです。「出鱈目」とは完璧なまでに真逆なのですね。

>この動画でしょうか

そうです、そうです。
最高ですよね。「チュニジアの夜」というタイトル、ショボい楽曲につけたら恥ずかしいだけですが、タイトルと楽曲が素晴らしくマッチしています。

>いかにもヌーヴォー・ロマンというのはビュトールだけ
そうなのですか。ますます読まなきゃという気持ちになってきました。

>oùだけどouでもあるということです。

う~ん、まがりなりにもフランス語をやってきた幸福を感じます。ご説明、感謝です。やはりフランス文化、いいですね。


>結構アヴァンギャルドなんです。

なるほどです。今。いろいろ読んでみています。やはり芸術はもちろん、人生にはアヴァンギャルド性、必須ですよね。(大雑把な言い方で申し訳ありませんが、ホント、そう思います) RUKO

by 末尾ルコ(アルベール) (2022-01-24 19:48) 

きよたん

昨晩 番組をちょっと拝見してました
ギターのテクニックに惹かれて。
吉祥寺周辺に住んでいた頃に井の頭線で
Charを見かけたことがあるけどかっこよかった
今でも変わりませんね


by きよたん (2022-01-24 20:33) 

lequiche

>> Boss365 様

ご覧になっていましたか。
3人それぞれに少しずつ傾向が違っているのも
面白かったですね。
Ichikaさんが言っていた音のことは
私もあまり注意して聴いていなかったのですが、
本来のスケールなり調性ではあり得ない音に進行していた
という意味だと思います。
でも理論的には今は何でもあり、なんです。(^^)
by lequiche (2022-01-26 05:52) 

lequiche

>> coco030705 様

Charは古くもならないですし、衰えないというのか、
志向がブレていませんから、あぁロックだな、
と感じます。
〈クロスロード〉はクリームのコピーですが、
単なるコピーではなくて自分たちの音楽になっています。

Reiちゃんのほうが音楽的な志向はCharより古風で
かなり昔のプリミティヴなブルースが根底にあります。
一見、雑に弾いてるように見えますが実は違います。

Ichikaの奏法はトリッキーですが、
弦を弾くのでなく指で弦を叩くようにするのをタッピングといい、
普通の弾き方とタッピングが絶妙に混じっているので
パッと見、魔法のように見えます。
(細かいことをいうとハーモニクスも使っています)
実はこういう奏法はそれなりに歴史があって、
スティックという楽器はタッピングに特化した楽器ですが
それに似た楽器でウォー・ギターというのもあって
トレイ・ガンという演奏者が有名です。
この動画の最初の4分くらいでタッピングの基本が
どんなものなのかお分かりになると思います。
(動画のその後は英語の講義のようなものですので)

Trey Gunn speaks on "Original Voice"
https://www.youtube.com/watch?v=ii5zyu6B01g
by lequiche (2022-01-26 05:57) 

lequiche

>> 末尾ルコ(アルベール)様

ロック風でなくロックであること、
少しの違いのように見えて随分違うんですよね。

スタン・ハンセン、ジェフ・ベックですか!
あぁ何か強そうですね。
名前が醸し出す雰囲気ってあるのかもしれません。
アブドーラ・ザ・ブッチャーとか
ジャバ・ザ・ハットというような名前は不気味ですから。
ではオンド・マルトノってどうですか?
えたいの知れないプロレスラーみたいな感じがして。(笑)
ポンニット・キットヨーテンだと身軽な印象があります。

上のcoco030705 さんへのコメにも書いたのですが、
トレイ・ガンのウォー・ギターの動画がありましたので
お時間があるときにでもご覧になってください。
タッピングの鬼のような曲です。
演奏は最初の4分ほどです。

Trey Gunn speaks on "Original Voice"
https://www.youtube.com/watch?v=ii5zyu6B01g

トレイ・ガンはキング・クリムゾンで
ベースやスティックを弾いていた人ですが、
ウォー・ギターは10弦ベースみたいなかたちで
なかなか面白い楽器です。
このように音が途切れなく続くのを無窮動といいますが
運指練習みたいで辛いですね。(笑)
クリムゾンの《ディシプリン》あたりにその原点がありますが
だんだんと音が移り変わっていくのはミニマルとも言えます。

ロバート・フリップ・クインテットという動画もあって
最初にトレイ・ガンがバッハの《半音階的幻想曲とフーガ》のさわりを
弾くんですが、ディストーションがかかっているのと、
残念ながらフーガの部分にまではいけないんですね。
普通に考えると《半音階的…》は鍵盤楽器でないと無理だと思います。

The Robert Fripp String Quintet
https://www.youtube.com/watch?v=SZiWvjRj1AY

Ichikaの演奏も面白いですしすごいアイデアなぼですが、
YouTubeにあがっている動画がまだ短くて断片的なので、
それをいかにふくらませて長い演奏にできるかが課題です。
by lequiche (2022-01-26 06:03) 

lequiche

>> きよたん様

ご覧になりましたか。
こういう3人というのは意外で面白かったです。
Charは音が良いんですよね。
エレキギターはエフェクターいっぱいで変調かけて
音なんかわかんないじゃん! と言う人もいますが
そんなことはないです。
どのようにピッキングしているか、
つまりどのようにピックが弦に当たっているかというのが
最も基本なのですけれどとても大事です。
すごく指が回るかとか難しい曲が弾けるとかじゃなくて、
やはりいかに音楽してるか、が大切だと思うのです。
by lequiche (2022-01-26 06:06)