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NAVY BLUE — 愛内里菜 [音楽]

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愛内里菜 (Rina Matsuri 2009)

デビュー時の印象がよくなかった。浜崎あゆみの劣化コピーとか言われたのは主に外見的なものでそれは次第に修正された (そもそも全然違うと思うのだが、識別能力の低い人間は存在するものなのである)。
最初の3枚のシングル〈Close To Your Heart〉〈It’s crazy for you〉〈Ohh! Paradise Taste!!〉はコンセプトが定まっていない、いわば迷走期の産物である。4thの〈恋はスリル、ショック、サスペンス〉(2000.10.25) が初めてフォーカスの定まった愛内里菜であり、これが彼女のヒットチューンの中でのベストだと私は思う。

そもそも愛内の楽曲は大野愛果によって創り上げられたもので、シングルでいえば1stの〈Close To Your Heart〉から6thの〈Run up〉(2001.06.27) まで、すべての作曲は大野愛果である。
ところが6thの〈Run up〉のB面曲 (実際にはCDなのでA面/B面は存在しないのだが便宜的に) として収録されたのが〈Rainbow〉であり、これを書いたのが川島だりあである。
そして次の7thシングル〈NAVY BLUE〉(2001.10.03) は当初B面曲であり、徳永暁人・作曲の〈Broken Heart〉をメインとしてリリースされるはずだったが、急遽差し替えられて〈NAVY BLUE〉がA面曲となった。結果としてこれが愛内里菜最大のヒット曲となったが、作曲したのは〈Rainbow〉を書いた川島だりあである。
愛内に提供された川島だりあのその後の作曲は9thシングルの〈I can’t stop my love for you〉あたりがめぼしい作品だが、愛内の楽曲に対して大野愛果のような数多くのヒット作がないとはいえ、なんといっても〈NAVY BLUE〉があるので、これだけは別格として輝いているといえるだろう。この曲をいったい何回聴いただろうか。

川島だりあは多くの提供作品を書いているが〈NAVY BLUE〉以前だと、ZARD〈あの微笑みを忘れないで〉(1992.09.02) があるし、上原あずみへの提供曲が幾つもあることに気がつく。1stアルバム《無色》(2002.11.03) では12曲中4曲が川島だりあ作曲であり、比率が一番高い。もっとも1stシングル〈青い青いこの地球に〉(2001.10.31) も2ndシングルの〈Special Holynight〉(2001.12.05) も上原あずみ/AZUKI七・作詞、大野愛果・作曲であり、それぞれのシングルに書いた川島だりあのB面曲は《無色》には収録されていない (AZUKI七はGARNET CROWのキーボーディストで作詞家である)。
上原あずみは不幸な事件で歌手活動を辞めさせられてしまったので、特に2ndアルバムの《生きたくはない僕等》は入手しにくいように思われる。だが出色なのはもちろん1stアルバムの《無色》である。
下記の〈無色〉のリンク映像は口パクなのが残念だが、ギタリストがSG-7系を使っているのが目を惹く。

さて、愛内里菜のライヴ映像を選択しようと思ったのだが、「里菜祭り」 などを見ても声がクリアに上まで伸びているのはせいぜい2006年くらいまでで、その後は、持田香織ほど極端ではないにしてもやや苦しいときがある。私が最も好きな 「里菜祭り」 は2005年である (どうでもいい情報ですみません)。
と言いながら下にリンクした〈恋はスリル、ショック、サスペンス〉は2009年なのだが、これは例外的にテンションが高く感じられたためである (この曲、サビが終わってAに戻ってからさらに半音上がるところが限界を超えていて、それは最盛期のglobeの歌唱に要求した小室哲哉の手法と変わらない)。
もっとも一番クォリティが高かったと思われるライヴはその頃、毎年行われていたCDTVのユルい年越しライヴに愛内が出演したときにおける〈恋はスリル、ショック、サスペンス〉なのだが、この動画を見つけることができなかった。

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愛内里菜/NAVY BLUE
(live)
https://www.youtube.com/watch?v=5rLSt79jkDE

恋はスリル、ショック、サスペンス
(Rina Matsuri 2009)
https://www.youtube.com/watch?v=7uJ0TybycQI

愛内里菜/NAVY BLUE
(original MV)
https://www.youtube.com/watch?v=UHIXE_2Nz14

愛内里菜&大野愛果/恋はスリル、ショック、サスペンス
FM FESTIVAL’02
愛内里菜 with Friends Special Live at Zepp Osaka
2002.12.12
https://www.youtube.com/watch?v=sni0cpGcsCE

上原あずみ/無色
(POPJAM 2003.01.27)
https://www.bilibili.com/video/BV1rt411W7WY/
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U3

拙ブログは一時的に復活したばかりでしたが、
当初の目的を果たしましたので、予定通り『戦略的撤退』を致します。
最新記事を見て頂ければ事情はすぐに分かります。
本当に申し訳なく思っております( ̄∇ ̄)
by U3 (2023-02-05 19:11) 

末尾ルコ(アルベール)

愛内里菜の動画、視聴させていただきました。視聴したばかりでどうこう語る音楽的能力はわたしにはありませんが、少しだけどうこう言わせていただくと、声が非常に伸びやかで心地いい。そしてとても丁寧に言葉を歌っているという印象です。
愛内里菜にしても上原あずみにしても、同じ日本にいながらわたしにとってはほとんど未知の人たち。いつも新しい世界を見せていただいており、感謝この上ありません。


最近よくビートルズの動画を視聴してます。まだ観てないんですが、WOWOWでもビートルズ関連の映画二本放送しまして、録画したので順次鑑賞していきます。
『Revolver』もあらためてじっくり聴きました。そりゃあビートルズ来日時の日本人に理解できるわけないですよね。だから彼らは大きく手加減した曲を選んだ。
このような状況、実は日本―欧米の関係性の中では一般人同士の間でも普通に見られまして、わたしかなり長く英会話スクールに行ってましたが、日本人生徒は対等のレベルの会話をしているつもりでも、講師の方は内心(ああ、退屈だ)と思っている。そんなシチュエーションがほとんどでした。もっとも日本人同士でもよくある状況ではありますが。 RUKO

by 末尾ルコ(アルベール) (2023-02-05 20:32) 

lequiche

>> 末尾ルコ(アルベール)様

YouTubeをご覧いただきありがとうございます。
愛内里菜が〈NAVY BLUE〉の歌詞を書いたのは21歳。
ですがこの歌詞は虚無を綴っています。
そして私には
ZARDの〈永遠〉に対する返歌のように感じられるのです。
〈永遠〉の歌詞、

 君と僕との間に
 永遠は見えるのかな

というZARDに対して愛内は

 永遠なんてあるはずもなく
 もしもなんて口にすればキリがない

と歌います。
そしてZARDももちろん永遠を信じていません。
見えないのがわかっているのに
「永遠は見えるのかな」 と歌うのです。
むしろ、もうこの時代のZARDの歌詞に 「死」 を感じます。
〈永遠〉の最後はこうです。

 この門をくぐり抜けると
 安らかなその腕にたどりつける
 また夢を見る日まで

〈永遠〉の最初のほうの歌詞でも

 あなたの決心が固まったら…
 きらきらとガラスのかけらになって
 このまま消えてしまいましょう
 誰も知らないくにへ

この部分に対する愛内の〈NAVY BLUE〉の歌詞はこうです。

 心の器落としたまま癒やせず
 輝く破片が傷に深く突き刺さる
 Just in NAVY BLUE 引き裂く雨が
 触れる肩染めてく

音楽産業というのは結局 「産業」 なので、
才能があれば売れる・成功するというものでもなくて
そのへんは旧態依然でドロドロしている部分が
いまだにあるのではないかと思います。
表面的には近代化されているように見えて
その本質は美空ひばりの時代と大同小異なのです。
愛内里菜などが不遇な状態にあり続けたのは
ひとえにそうした周囲の環境に影響されているわけで、
ただそういう視点で話をするのは女性週刊誌とか
ナントカ砲などと同じで不毛なので
私はなるべく避けるようにしています。
真剣に考え出すと腹がたつばかりですから。
それに才能ある者が必ずしも評価されないのは
今に始まったことでもないですし、音楽に限らないですし、
世の常だと思います。

またメジャーになりきれないものは
オタクのマニアックなターゲットになりやすくて
そうした特殊なマニアックさの中での評価が高まると
一般的な評価が阻害され卑小化する傾向があります。
その典型的な例が愛内里菜だと思うのです。
おそろしく上手いのに正当に評価されない……
残念なのですがそもそもこの国が
いまは大変残念な国になりさがってしまったのです。

ビートルズの映画ですか。
それは面白いかもしれないです。
観ていると新しい発見もありと思いますから。
外国語の会話というのは 「ハ〜イ!」 というノリでは
単なるご挨拶の域を出ないのですよね。
問題はその先なのですが、
ビートルズにあって同時代の日本の音楽になかったものは
哲学だといえます。
つまり哲学があるかどうかが重要なのです。
by lequiche (2023-02-06 03:20) 

シノピー

lequicheさん、こんにちは。
こちらにも、コメント投稿いたします。
愛内里菜さん。
2000年代を代表するアニメボイスが特徴の女性アーティスト歌手。
一番好きな倉木麻衣、上木彩矢、上原あずみと並ぶコナンタイアップティーンガールズシンガー四天王のうち、人気絶頂にあるのは、里菜さんと麻衣ちゃんでした。
by シノピー (2023-02-08 10:27) 

lequiche

>> シノピー様

名探偵コナンのオープニング&エンディングには
幾つもの曲がありましたね。
その中で一番印象に残っているのは
たぶんZARDの〈運命のルーレット廻して〉
ではないかと思います。
コナン君がおっちゃんを眠らせて蝶ネクタイで喋るとき、
あんな近くなのにどうしてバレないのか?
っていつもツッコんでいました。(^^)
by lequiche (2023-02-10 00:58) 

シノピー

>>lequicheさん、こんにちは。
コメント返信のほうをありがとうございました。
そうですね。
自分自体には大好きな倉木麻衣、そしてGARNET CROWと里菜ちゃんの楽曲が。
倉木麻衣の「Secret of my heart」と「allways」は好きな楽曲でありますが、里菜ちゃんの「恋はスリル、ショック、サスペンス」はなんとコナンくん「江戸川コナン」がパラパラしているシーンのOPにも注目です。
コナンくんが毛利小五郎「毛利蘭ちゃんの父親」を睡眠させて蝶ネクタイで小五郎の声で犯人を捕らえ、事件を解決するという手法は自分も目につきます。

また、コナンタイアップ曲は以下通りの公開リンクにて。

https://moma-bd.com/myalbum.oldya.htm

名探偵コナン~を探して、リンクをクリックしてください。

by シノピー (2023-02-10 16:15)