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テレビ埼玉のE.D.P.S. [音楽]

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E.D.P.S.はフリクションのギターだった恒松正敏が、リーダーとして立ち上げた3ピースのバンドである。E.D.P.S.をジャンルとして特定することはむずかしい。パンクと言われるが一般的に呼ばれるパンクバンドとは少し違うと思う。といってラウドとかノイズというのとも違うし、シューゲだともっと違うし、オルタナというジャンル区分は言葉としては便利だが、ニューミュージックなどという言葉と同じで対象がぼやけてしまう。

E.D.P.S.としての活動はそんなに長くなかった。その後、ソロとなっていろいろと試行錯誤していた印象があるが (その頃の表記はカタカナでツネマツマサトシ)、音楽としての最も高いポジションはE.D.P.S.のときだったと私は思う。
E.D.P.S.は electronic data processing system の略だとのことだが、このバンド名をイー・ディー・ピー・エスと読むべきなのかエディプスと読んだほうがいいのかが、よくわからない。パーソネルは恒松正敏、ヴァニラ、ボーイの3人である。恒松のギターは黒のストラト、ヴァニラのベースは当時流行っていたスペクターの黒である。
アルバムには《BLUE SPHINX》(1981) や《DECEMBER 14TH 1983 MAY 27TH 1984》(1984) があるが、残念ながら音が小さくまとまってしまっていて、E.D.P.S.の本質を伝えていないように聞こえる。

だが先日、別の音源を探していたとき、テレビ埼玉の番組《Sound Super City》でのスタジオ・ライヴの動画を偶然発見した。いままで観ていた音源のなかで、E.D.P.S.の音楽が垣間見えるほとんど唯一の動画だと思われる。貴重な動画を上げていただいたことを感謝したい。
YouTubeの 「- tenpelon」 というチャンネルに5本の動画がupされている。最大音量で聴くのが望ましいが、爆音の嫌いなかたはクリックしないほうが賢明である。

私の聴いたなかで最もすぐれていたと思われるE.D.P.S.のライヴはオープニング・アクトがZELDAだった。ZELDAのアルバムでいえば、おそらく《CARNAVAL》か《空色帽子の日》の頃である。ライヴの終盤で恒松のギターの弦が切れたが、ギターを交換しないまま最後まで弾ききった。ギターを交換したらテンションが落ちるからである。


E.D.P.S./にがした・はじまり
https://www.youtube.com/watch?v=w1qbe83OxZo

E.D.P.S./Keep On
https://www.youtube.com/watch?v=3x4mj-ou-nk

E.D.P.S./Death Composition
https://www.youtube.com/watch?v=_lQjbf5QPnw

E.D.P.S./Too Much Dream
https://www.youtube.com/watch?v=ggCxxk9R4wE

E.D.P.S./It’s Your Kingdom
https://www.youtube.com/watch?v=T3VrGPKfFbE
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末尾ルコ(アルベール)

リンクくださっている動画、視聴させていただきました。いろいろ思い出しました。有り難いことです。忘れていたわけではないけれど、普段はまったく念頭から消えていること、このような機会に蘇らせていただいてとても有意義です。
そもそもフリクションの『軋轢』、よく聴いてました。一部の曲はいまでも歌えます(笑)。これは坂本龍一がプロデューサーだったのですね。ジャンル分けは難しく、時に不必要であると思いますが、確かにフリクション、パンクとは異なった文脈で聴いていたと思います。
恒松正敏は町田町蔵のバンドへも参加しているんですね。町田のINUは当時気になっていたバンドの一つでした。石井聰互の『爆裂都市』も映画館で観ましたし。当時一番好きな日本のバンドはルースターズでしたが。
最近若松孝二監督の『エンドレス・ワルツ』を観ましたが、サックス奏者阿部薫を町田町蔵が演じていて、それなりにおもしろかったです。
あの頃はシーンに遠藤ミチロウのスターリンもいて、独特の熱気がありましたね。

AIに関してはメディアが煽るのもいけませんよね。確かに仕事によってはAIに取って代わられるものもあるでしょうが、基本AIにクリエイティブなものは無理。できたとしても将来的にも「人間の代わり」にはならないと思ってます。あくまで「人間が使うもの」という認識でなければ。 RUKO

by 末尾ルコ(アルベール) (2023-11-19 19:25) 

lequiche

>> 末尾ルコ(アルベール)様

コメントありがとうございます。
この動画はかなり前に発見していたのですが、
これはどうかな? と思って温存していました。(笑)
書いてもあまり反応がないかもしれない話題は
ある程度キープしますが捨ててしまう場合もあります。
ただ、一応記事として残しておいたほうが
自分の備忘録になるかもしれないと思って書くこともあり、
今回のはそういう意味合いの記事です。

フリクションは坂本龍一がプロデュースしたことがありましたし、
シーナ&ロケッツをオモテに出したのは高橋幸宏です。
そういう意味でYMOの3人は目利きですね。
戸川純は細野晴臣のYENレーベルがリリースしましたが、
まずゲルニカがあってからの玉姫様ですので、
そのへんの戦略がすごいです。
その頃の戸川純ってランドセル背負って
小学生みたいな一種のコスプレをして歌っていましたが
サイン会だとコム・デ・ギャルソンのシックな黒服だったりして
笑いました。まぁ、そっちが本質なのでしょうが。

ノイズ系の音楽はオルタナ、パンク、シューゲ、グランジなど、
そのジャンルそのものが曖昧ですのでむずかしいです。
それにどこまでだったらオルタナなのか、
それとも違うのか、といったような境界線がありません。
ノイジーなことではマイブラもE.D.P.Sも同じですが
音楽性は全然違います。
つまりそれが好きか嫌いかというごく個人的な感覚で
区分けしていくしかないように思います。
たとえばボアダムスなど、評判がかなり高かった頃、
一度ライヴに行きましたがそのときの演奏は
私の感覚には合いませんでした。
暴力温泉芸者は面白いとは思うのですが、
やはり私の感覚とは異なります。
最近のバンドで私の感覚に合致するのは凛として時雨ですが
これ、無理だろうなぁ、と思ってしまうので (^^;)
あまり書かないようにしています。

町田町蔵やルースターズはあまりよく知りません。
そうした映画があったことも知りませんでした。
ただ、阿部薫の後期は (といっても若いですが)
好不調の浪があり、演奏にバラつきがあるように感じました。

ニルヴァーナの《In Utero》30周年記念盤というのが出て
今、それなりに話題になっています。
ブルーノ・マーズのこともそうですが、
日本は今、洋楽全然ダメかというとそうでもないんですね。
たとえば美容院とか、洋服のリサイクルショップなど
絶対に日本の曲は流れていません。これは基本です。
(なかには、そうではない店もあるかもしれませんが ^^;)

AIもそうですがスマホもそうです。
電車に乗っていて対面の座席を見ると
座っている人全員がスマホを見ていることが多いです。
スマホもAIも道具に過ぎないのに
それに従属してしまってはいけないと思うのですが。
by lequiche (2023-11-20 02:36) 

TBM

E.D.P.S.時代のキレキレな破壊力は最高でした。
その後の活動も悪くはないものの、
確かに物足りない感じがありましたね。
今も変わらず大好きですが、
LIVEを最後に観たのは2015年。
お元気なのでしょうか...
by TBM (2023-11-20 07:55) 

lequiche

>> TBM 様

コメントありがとうございます。
脳梗塞の後のライヴ映像がYouTubeにありますが
残念ながら昔のようなプレイはできないようです。
その後も音沙汰がありませんので
現在は療養中なのではないかと思われます。

E.D.P.S.はCDで聴いても貧弱な音しか聞こえませんし、
YouTubeの音でももちろんダメです。
ナマで聴くことができたのは僥倖だったと思います。
by lequiche (2023-11-21 02:51)