THEE MICHELLE GUN ELEPHANT〈ミッドナイト・クラクション・ベイビー〉 [音楽]

ロックは佇まいだと思う。
それ以外にはない。
ギターが上手いとか、ルックスが良いとか、そういうのも評価の対象にはなる。なるけれどでも、ギターは上手いことよりも、いかにしてカッコよくギターを持っているか、そして弾いているかが問題なのだ。
それが結局、ルックスの良さだというのならそうかもしれない。
THEE MICHELLE GUN ELEPHANTは日本のバンドのなかで、確実にロックの佇まいをしているバンドだった。
そしてミッシェルといえばあのt.A.T.u.事件のことがいつまでも話のたねとなっている。t.A.T.u.というロシアの女性デュオが日本の音楽番組 「ミュージックステーション」 に出演しながら、歌うことを拒否したという事件だ。後になって、あれはヤラセだったとか演出の一環で話題作りだったとかいう種明かしがされたが、結果として完全に失敗だった。
そして番組の中で空いてしまった時間を埋めるために急遽、もう1曲歌うことになったのがミッシェルだった。
そのとき、番組に出演していた他の出演者はおそらく、いきなりもう1曲と頼まれても歌えないという状況だったように思う。つまり、その当時の音楽番組の歌曲はすべてのパフォーマンスまで含めてパッケージングされていて、いきなりアドリブで歌うことなどできなかったのだ。
だが、そんなことなど何でもない、とオーダーに乗ったのがミッシェルだった。時間があるというのなら何曲でも歌ってやるぜ。それがミッシェルだったし、それがロックなのだ。
私はその放送をリアルタイムで観ていたのだが、ドタキャンはその時点ではリアルで、嫌な空気だったように覚えている。その騒動でt.A.T.u.人気は下落したが、それからある程度の時間が経ってから、偶然にt.A.T.u.のCDを1枚買って聴いてみたらかなり良い印象だった。それなのに、あのような話題づくりをしたことは失敗だったと思うし、日本の音楽シーンをなめていたのだと思う。
ミッシェルはチバユウスケのヴォーカルも、アベフトシのギターも、佇まいが良い。ギターがすごく上手くても、そのギターを持った佇まいがカッコ悪いギタリストって結構多かったりする。もちろん、ウエノコウジもクハラカズユキもカッコイイ。なぜならそれがロックだからだ。
12月7日のTokyofmの 「THE TRAD」 はハマ・オカモトがお休みで、THE BAWDIESのROYが代理DJをつとめていた。リスナーからのロックについての質問で、ロックとかハードロックとかメタルとか、それらはどう違うのかという疑問に対してROYが力説していたのは、ロックンロールとロックはちょっと違うということだった。
そう、確かにそう言われればちょっと違う。もちろんロックンロールという言葉を略したのがロックではあるのだけれど、そのニュアンスの違いがわかる。
でも、それはどっちでも良いのだ。さらにいえばロックであってもロックでなくても、パンクでもオルタナでも別にかまわない。ジャズでもかまわないし、ポップスでもワールドミュージックでも、何でも良い。ただ、強い音、ぶれない音。それがロックなのだと私は思う。
THEE MICHELLE GUN ELEPHANT/
ミュージックステーション 2023年06月27日
t.A.T.u.事件の回
https://www.youtube.com/watch?v=KG3KcNPq0YE
THEE MICHELLE GUN ELEPHANT
https://www.youtube.com/watch?v=CUKex3Qjquk
Tokyofm・THE TRAD 12月7日
https://radiko.jp/#!/ts/FMT/20231207150000
2023-12-08 02:00
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コメント(12)
あの時のMステ、
私も見ていました^^
そして録画もしていたので、
突然のアクシデントが面白くて、
何度も繰り返し見ました^^
日本舐めんなよ、って感じでしたね^^
でもおかげで、
ミッシェルのカッコいい演奏を見られたので、
良かったです^^
by 青山実花 (2023-12-08 06:49)
ロックは佇まい。その通りだと思います。わたさはかつては、ロックミュージシャンは生まれつきのものだと思ってました。だからイカ天とか大嫌いで、イカ天からデビューするクラッシュとかあり得ないですからね。
とは言え高知ではミュージックステーションは放送しておらず、わたしはこれからミシェルガンエレファントを聴きはじめます。RUKO
by 末尾ルコ(アルベール) (2023-12-09 16:11)
ぶれない音...同感です!
by つむじかぜ (2023-12-10 02:48)
>> 青山実花様
録画していたというのはすごいです。
その後、動画を探したところ、
つい数日前にupされているのを発見しました。
画質が悪いですがこれです。
https://www.youtube.com/watch?v=KG3KcNPq0YE
上記記事にもリンクを追加しました。
チバユウスケさんの歌唱は永遠です。
ご冥福をお祈り申し上げます。
by lequiche (2023-12-10 04:29)
>> 末尾ルコ(アルベール)様
イカ天……。確かにそういう面もあるかもしれませんが、
でもBLANKEY JET CITYやマルコシアス・バンプは
イカ天の出演がきっかけとなっていますので、
それなりの意義はあったと思います。
t.A.T.u事件の動画がありましたのでリンクしました。
ご参照ください。
ギターのアベフトシさんは早世されましたが
今回はヴォーカルのチバユウスケさんが亡くなられてしまいました。
言葉もないです。
by lequiche (2023-12-10 04:29)
>> つむじかぜ様
ご同意いただきありがとうございます。
今年は鮎川誠さんも亡くなりました。
坂本龍一さん、高橋幸宏さん、櫻井敦司さんも亡くなり、
いったい今年はどういう年なのかと思います。
by lequiche (2023-12-10 04:29)
こんばんは。
このバンド、演奏している姿がほんとにカッコいいですね。
音楽の方はあまり……。わたしには、ちょっと強烈すぎるかな。
by coco030705 (2023-12-11 20:10)
>> coco030705 様
強烈……そうかもしれませんね。
こういうのはジャンル的にはガレージとかパンク系ロックであって、
ノイジーで強過ぎる音を出すのが特徴です。
ミッシェルの場合、ファッションがモッズな雰囲気もありますね。
11月19日に記事にしたE.D.P.S.はさらにノイジーでパンクですが
オルタナティヴの一種というふうにも考えられます。
うるさ過ぎて一般的ではないと思いますが、
こういうジャンルもあるのだとご理解ください。
もっととんでもないものに、2021年11月01日にも書きましたが
マイ・ブラディ・ヴァレンタインというバンドがあって、
これはシューゲイザーというジャンルなのですが、
まさに轟音です。
ですが、2008年のフジロックでの演奏は、
音楽評論家たちから非常に高い評価を受けました。
これがその演奏ですが、聴かなくてよいです。(笑)
My Bloody Valentine/To Hear Knows When
フジロック2008
https://www.youtube.com/watch?v=bmV94kFnQuc
by lequiche (2023-12-12 01:42)
マイ・ブラディ・ヴァレンタイン、聴かせていただきました。
まさに轟音ですね~!このボーカルの女性、歌っているような気もするけど、歌はほとんど聞こえませんね。いいのかしら。
by coco030705 (2023-12-12 21:51)
>> coco030705 様
お聴きになったんですか。ありがとうございます。
歌は聞こえませんけど、これでいいんです。
わざと聞こえないようにしているのです。
マイブラは結成から40年、途中に10年のブランクがありますが、
オリジナル・アルバムは3枚しかありません。
でも《Loveless》(1991) という2ndアルバムの評価が
非常に高いんです。
こうした音楽はジャンル的にはシューゲイザーというのですが、
一種のサイケデリックでもありノイズ・ミュージックでもあるのです。
単なる轟音でなく、その中に色々なニュアンスがあるので、
その移り変わってゆくさまは、
ものすごくうるさいアンビエントなのかもしれません。(笑)
実はこうした音の作り方/出し方は、ロックだけでなく、
クラシックにもジャズにも存在します。
でも、一般的な音楽の概念からは外れてしまいますが。
これと較べればミッシェル・ガン・エレファントなんて
かなり王道で正統的なロックだとも言えます。
by lequiche (2023-12-13 00:47)
色々教えていただいて、ありがとうございます。(=^・^=)
by coco030705 (2023-12-14 23:32)
>> coco030705 様
でも、音楽といってもさまざまな表現方法がありますから
自分が良いと思う音楽を選択して聴くことが肝心です。
無理して気に染まない音楽を聴くことはないです。
私の嗜好は多分にアヴァンギャルドらしいので (笑)、
ん〜、つまりどんどん過激な方向に行ってしまう傾向があります。
ですから、話半分くらいにお考えになったほうがよいです。
by lequiche (2023-12-15 03:54)