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雨降りの12月、ふれあえない都市の話など — はっぴいえんど [音楽]

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あけましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願い致します。
まず、昨年末に書き損なってしまった話題から。

書店ではっぴいえんどが表紙になっている『レコード・コレクターズ』2015年1月号を見つけた。ちょっとインパクトのある写真に引きこまれる。撮影は野上眞宏という細野晴臣の同級生だったカメラマンによるもので、もとはモノクロームだとのことだが、若きはっぴいえんどの姿を見事にとらえている。

記事中にはリッケンバッカーを持った大瀧詠一の写真などもあり、いままで見たこともない画像が多くて楽しめる。当時の、はっぴいえんど以外のミュージシャンを撮ったiPad用画像データも販売されているとのこと。
すでに2000年に、彼の写真をもとにした内容の同誌の増刊号が出ていると解説にもあるのだが、その15年も前の増刊号も同時に並んでいたので買ってしまった。たぶんまだ在庫があるからで、amazonではプレミアの付いた価格になっているが定価で買えます。

昨年末に、はっぴいえんどや大瀧詠一のベスト盤など各種のCDがどっと発売されたが、先日、ネットにある 「佐野史郎、はっぴいえんどと音楽を語る」 という2010年に行われたインタヴュー記事を読んで、彼の非常に詳しく、かつ愛情に満ちたはっぴいえんどへの思いが伝わってきて感激した。
音楽の記事には2種類しかなくて、それは面白い記事とつまらない記事という2種類で、つまらない記事のほうは幾らデータが積み重なっていてもつまらない。その違いは音楽への愛情の差によるところがおおきいのだと思う。

また、関連したネットの記事などを読んでいると、〈手紙〉という、はっぴいえんど時代に没になった曲への話題がある。曲は全く違うが、歌詞の中に 「風をあつめて」 という言葉があり、いわば〈風をあつめて〉の原型とでもいうべき体裁になっていて、比較して聴いてみると確かに洗練されていないのだが、でもこれはこれでとても当時の雰囲気が伝わってくる曲のような気がする。

はっぴいえんどというのは当時の音楽シーンでどのようにとらえられていたのだろうか。最もよく言われるのは 「日本語によるロックの嚆矢」 という表現であるが、その松本隆による歌詞は 「ですます調」 をわざと使っていたりして、しかもそれが意図したものなのかどうかわからないがときどき不自然で、後のポップス・歌謡曲への歌詞における 「でき上がった感」 が無い分、みずみずしく映る。つまりまだ若い感じがする。それは曲だけでなく、声や楽器の音にも彼らの青春の影がみえる。

もっとも今聴くと、はっぴいえんどの音は精神的にはロックなのかもしれないが、ロックというよりまだフォークソングに近い。1965年頃に〈夢のカリフォルニア〉のヒットのあるママス&パパスのサウンドに代表されるフォーク・ロックといわれたジャンルがあるが、それよりももっとフォーク寄りというか、もっといえば日本本来の歌謡に近い印象がある。これはあくまで、21世紀の今から当時を振り返って聴く私の印象に過ぎないのだが。

年末にリリースされた《はっぴいえんどマスターピース》は、最初の2枚のアルバムのアナログ復刻と、そのCD、その他を加えたセットである。まだ忙しくて開封もしていないのだが、はっぴいえんどの短い歴史の中で、最も重要なのはこの最初の2枚なのかもしれない。
大瀧詠一の初めてのベスト・アルバムと一緒に発売されたジュークボックスというCDは、大瀧が愛用していたジュークボックスから選曲されたオールディーズの楽曲だが、内容はともかく、全く同じデザインでユニバーサル、ワーナー、ソニー3社からそれぞれの版権のある曲を集めていて、3社で統一した体裁をとったというところに大瀧詠一へのリスペクトを感じる。

年末はあわただしくて、やり残してしまったことがいっぱい。SFではハヤカワのマデリン・アシュビー『vN』と、国書刊行会のディレイニーの中・短編集『ドリフトグラス』を購入した。ハヤカワのシリーズは新装になってからずっと買い続けているのだが、ほとんど読んでいないという状態で読書力の低下は忸怩たるものがある。『ドリフトグラス』は『ダールグレン』に続くディレイニーで、『ダールグレン』は真っ黒、『ドリフトグラス』は真っ白でどちらもタイトルの読みにくいカヴァーデザインがカッコイイ (のか?)。そのうち読みます。そのうち。


はっぴいえんどマスターピース (ポニーキャニオン)
はっぴいえんどマスターピース




大瀧詠一/Best Always (SMR)
Best Always(初回生産限定盤)




佐野史郎、はっぴいえんどと音楽を語る
http://shyglance.web.fc2.com/interview/pg646.html
http://shyglance.web.fc2.com/interview/pg648.html
http://shyglance.web.fc2.com/interview/pg649.html

はっぴいえんど/手紙(風をあつめての元曲)
https://www.youtube.com/watch?v=jxhtlZYkyLA
はっぴいえんど/風をあつめて
https://www.youtube.com/watch?v=hUQSJvzCAsc
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青山実花

明けましておめでとうございます。
本年も宜しくお願い致します。
by 青山実花 (2015-01-01 15:13) 

DEBDYLAN

明けましておめでとうございます!!
旧年中はありがとうございました。
今年もヨロシクお願いします^^。

『レコード・コレクターズ』誌はかれこれ20年以上毎月購入している
愛読誌です♪

by DEBDYLAN (2015-01-01 21:02) 

昆野誠吾

明けましておめでとうございます。
今年も宜しくお願い申し上げます!
by 昆野誠吾 (2015-01-01 21:26) 

いっぷく

あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
大瀧詠一。私にはクレージーキャッツ
再評価の功績が大きいです。
by いっぷく (2015-01-02 00:17) 

Rchoose19

細野さんの声が好きです(^0^)/
by Rchoose19 (2015-01-02 01:59) 

yam

新年明けましておめでとう御座います。

本年も引き続き宜しくお願いします。
by yam (2015-01-02 06:39) 

さる1号

新年あけましておめでとうございます
本年もよろしくお願いいたします^^
by さる1号 (2015-01-02 07:54) 

ぼんぼちぼちぼち

あけましておめでとうございやす。
今年もブログを通じて 充実した一年にしやしょうでやす。
また、昨年同様、今年もオフ会で楽しいひとときをご一緒できたら幸いでやす(◎o◎)/
by ぼんぼちぼちぼち (2015-01-02 20:17) 

lequiche

>> 青山実花様

あけましておめでとうございます。
こちらこそ、今年もよろしくお願い申し上げます。
映画の話題は毎日勉強になります。
次にどんな映画が出てくるのか、いつも楽しみにしております。
by lequiche (2015-01-02 22:25) 

lequiche

>> DEBDYLAN 様

あけましておめでとうございます。
今年も是非是非よろしくお願い申し上げます。
いろいろと勉強させていただいております。
レコード・コレクターズ、20年来の愛読誌なんですか。
ということは20年以上続いている老舗の雑誌なんですね。
by lequiche (2015-01-02 22:25) 

lequiche

>> 昆野誠吾様

あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い申し上げます。
おいしそう&ほのぼのな話題、楽しみにしております。
by lequiche (2015-01-02 22:26) 

lequiche

>> いっぷく様

あけましておめでとうございます。
こちらこそよろしくお願い申し上げます。
ブログはいつも参考にさせていただいております。
クレージー再評価というのもありましたね。
大瀧さんは目の付け所が独特だったと思います。
by lequiche (2015-01-02 22:27) 

lequiche

>> Rchoose19 様

あ〜、細野さんの声、確かにそうですね。
城達也さんなんかと同じで声だけで自立してると思います。
って、城達也さんはちょっと古いかなぁ。(^^;)
by lequiche (2015-01-02 22:27) 

lequiche

>> yam 様

あけましておめでとうございます。
今年も美しい写真と歴史的な興味をそそるブログ、期待しております。
今後ともよろしくお願い致します。
by lequiche (2015-01-02 22:28) 

lequiche

>> さる1号様

あけましておめでとうございます。
さる1号さんのおいしいものの話題もいいですけど、
バイクや車の話題もなかなかですね。
今年もよろしくお願い致します。
by lequiche (2015-01-02 22:28) 

lequiche

>> ぼんぼちぼちぼち様

あけましておめでとうございます。
そうですね。楽しいひととき、いまから楽しみです。
私も、今年はもう少し違った方向性を出してみたいですね。
ということで今年もよろしくお願い申し上げます。
by lequiche (2015-01-02 22:29) 

sig

明けましておめでとうございます。
城達也が古い、と言われるとちょっと、笑
(私のブログの左袖「マイカテゴリー」の一段目「映画史講演&自主上映会」をクリックすると上映会のお知らせがあります。こんなことをやっています)

by sig (2015-01-03 15:37) 

lequiche

>> sig 様

あけましておめでとうございます。
城達也さん、調べてみたらお亡くなりになってからもう20年!
時の経つのはあっという間ですね。
ということで、つい。(^^;)
でも20年経ってもセンスは古くありませんが。

上映会のこと、承りました。
歴史を知ることはどんなジャンルでも重要ですね。
by lequiche (2015-01-04 04:15) 

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