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ももいろクローバーZの 「ブレス始まりソング」 [音楽]

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平原綾香

毎週日曜日のTokyofm 「ももいろクローバーZのSUZUKIハッピー・クローバー!TOP10」 が面白い。3月20日放送のテーマは 「歌い出しから心を掴まれる!ブレス始まりソングTOP10」 なんだけど、これ、かなりマニアックな設定。「ブレス始まり」 というのは歌い始める直前に息を吸う音が聞こえる (聞こえてしまう) 曲のことを指している。

昔だったらこのブレスの音はカットしていたのかもしれない。ブレス音なんてノイズだ、という認識があったような気がする。でもそれは厳密にいえば不自然であって、息を吸う音に限らず音楽にはどうしてもノイズが生じる場合がある。管楽器のキーアクションから生じる音、ギターのポジションを移動するときに弦を擦ってしまう音なども以前だったらカットしたり低減させるような操作をしていたのかもしれないが、今、特にポピュラー音楽においてそうした音はむしろ消さない傾向があるように思える。その一環としてこのブレス音があるのだといえる。

もっともクラシック音楽だって、ライヴ録音では観客席の咳とかざわめきがどうしても入ってしまうし、むしろそれがホールの雰囲気を出しているともいえる。フルトヴェングラーの足音とかグレン・グールドのうなり声とか、雑音なんだけれどもはやそれがその演奏の特徴となって固定されてしまった音さえ存在する。

番組途中で百田夏菜子vs玉井詩織による 「ブレス始まりイントロクイズ」 があって、そもそもイントロクイズ自体がむずかしいのに、さすがお二人はかなりよい耳をしている。

ベスト10は次の通り。

 10 LiSA/紅蓮花
 09 CHARA/やさしい気持ち
 08 中島美嘉/ORION
 07 平井堅/POP STAR
 06 YOASOBI/群青
 05 米津玄師/Lemon
 04 椎名林檎/ここでキスして。
 03 King Gnu/白日
 02 ももいろクローバーZ withファンキー加藤/吼えろ2021
 01 平原綾香/Jupiter

この10曲のうち5曲はここ5年以内の作品とのことで、それは音楽の聴き方自体がサブスクなどの影響により、すぐにヴォーカルが入ることによる 「つかみ」 が重要になってきたということだと解説があった。まさに需要に合わせた曲づくりであって、YOASOBIの〈群青〉のブレス始まりは特に印象が強い。
だがそうした中で際だって聞こえたのはやや古い曲に属する椎名林檎の〈ここでキスして。〉と平原綾香の〈Jupiter〉であって、それはブレス音だけにとどまらない歌唱と曲そのもののインパクトから来るのだろう。
平原綾香を久しぶりに聴いたが〈Jupiter〉の編曲とクラシックへのこのようなアプローチは秀逸だとあらためて思った。そこで〈ノクターン〉もリンクしておくことにする。原曲はショパンの嬰ハ短調の遺作ノクターンである。


中島美嘉/ORION (live 2008)
https://www.youtube.com/watch?v=W-hVqofl2aU

YOASOBI/群青
https://www.youtube.com/watch?v=Y4nEEZwckuU

椎名林檎/ここでキスして。
https://www.youtube.com/watch?v=nV1HLjeOEL4

平原綾香/Jupiter
https://www.youtube.com/watch?v=aGWzRUdn0so

平原綾香/ノクターン
https://www.youtube.com/watch?v=S1mZTi89obk


尚、ももクロの番組はradikoで2022年03月21日 28:08まで聴取可能である。
https://radiko.jp/#!/ts/FMT/20220320160000
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末尾ルコ(アルベール)

おお!「ももいろクローバーZのSUZUKIハッピー・クローバー!TOP10」をお聴きになったのですか!!と書きつつ、ももクロメンバー、テレビ、ラジオの出演が多いのですべては追い切れず、同番組も(聴ける時に聴く)くらいで、この回は聴き逃しておりました。
でもこの企画をおもしろく感じてくださったのですね。
ぞれはさて置き、かつて「ノイズ」とされて削除される対象だった音が「音楽の貴重な一部」だと認識されてきた過程がおもしろいですね。その文脈とは少し離れるのでしょうが、
10代の頃、ややチープなオーディオだったこともあり、レコードかける際にプツプツとノイズが入るんです。それが嫌でカセットテープのソフトを買ったりもしたんですが、もっと寛容に(ノイズが入るのもレコード鑑賞の一部)くらいの感覚だったらよかったのにと今思います。
何と言いますか、ノイズなどがある方が、「人間の行い」である感がより味わえるなあと、特に映画などでもCG満載映像が大ヒットしている現状があり、だからこそ余計に「人間の行い」の薫り、わたしは強く意識しています。
ベスト10に並んでいる楽曲は馴染みのものばかりですが、また今後は「ブレス」に注目しながら聴いていきます。「吼えろ」って、ももクロのライブでは観客が一番盛り上がる歌の一つなんですよね。それと「やさしい気持ち」も前から大好き。

大瀧詠一、「熱き心に」、好きなんです。大瀧詠一だったんですね。凄いですね~。

江口寿史はまた機会があれば読んでみます。なにせわたしの中高時代、かなり頑なで心が狭い傾向があったものですから。ちなみに小学校から中高生くらいに好きだったギャグ漫画家は、土田よしこ、コンタロウ、『東大一直線』の小林よしのり(『ゴーマニズム宣言』の、ではありません 笑)、山上たつひこ、そして恥を忍んで書きますが(笑)、どおくまんの『花の応援団』も好きでした。

2013年京都賞受賞記念、視聴させていただきました。これはもうセシル・テイラーと田中泯だからこそ成り立つパフォーマンスですね。中途半端な人がやったら目も当てられないけれど、二人のオーラがステージを圧してます。
京都賞なのですが、ダンスだとベジャール、バウシュ、ノイマイヤー、映画だと黒澤やワイダ、そして哲学のチョムスキーなどメジャーどころが受賞してますが、セシル・テイラーの受賞は中でもちょっと異質だったのでしょうか。 RUKO

by 末尾ルコ(アルベール) (2022-03-21 20:27) 

lequiche

>> 末尾ルコ(アルベール)様

FM放送はほとんどTokyofmで固定しています。(笑)
とはいえ、いつでも聴いているわけではないのですが
この前のベスト10はユニークでした。

単純にノイズということで比較するならCDが一番有利です。
レコードにはスクラッチノイズがありますし、
テープにはヒスノイズがあります。
でも音楽を聴くということは
ノイズを気にすることではないはずです。
それにCDが出ていなくてレコードしかなかったのなら
レコードで聴く以外に選択肢がありません。
そして最近言われているのは
録音時点でリリースされていたメディアで聴くのが
一番良いという評価があります。
レコードが全盛の時代の音楽はレコードで聴く、
ということなのだそうです。
なぜなら音はそのメディアに合わせて
ミキシングされていたからなのです。
逆にいえばレコード用に録音していた音を
CDとして再発する場合には新たな加工が必要ということです。

大瀧詠一の作品は山ほどありますが、有名なのは
金沢明子の〈イエロー・サブマリン音頭〉とか
ラッツ&スターの〈Tシャツに口紅〉など。
そして一番有名なのは三ツ矢サイダーのCMソングですね。

マンガはその時代や環境によって嗜好がありますから
その人の人生を反映しているのかもしれません。
もっとも私は桂正和などは後追いで読んだので
リアルタイムの読者とは印象が違うのかもしれないです。

セシル・テイラーの京都賞は確かに異質かもしれません。
彼はほとんど 「無冠の巨人」 だったので、
つまり彼の音楽に対する授賞などとは無縁で、
そんな彼に京都賞を贈ってしまおうという企てが
きっとあったのだと思います。
ただ、その賞金はたしか騙し取られてしまったそうで
最期まで不運な人だったのですが
その音楽は孤高で清冽であり、決して古びないはずです。
by lequiche (2022-03-23 03:43) 

coco030705

こんばんは。
素敵な歌がズラリと並んでいますね。 「ブレス始まりソング」なるほど~☆ 息を吸うって大事ですものね。歌い始めるとき、すごく息を吸うのでしょうね。
ここにリンクされている歌は、どれも素敵ですね。
私は特に、YOASOBI/群青 と 平原綾香/ノクターン が好きです。ベスト10の中では、米津玄師/Lemon が好きです。
また色々聴いてみたいです。

by coco030705 (2022-03-23 21:18) 

lequiche

>> coco030705 様

リンクをお聴きいただきありがとうございます。
「ブレス始まり」 って気がつきませんでしたけれど
言われてみると面白い視点だと思います。
それにここで選出された曲は
単にブレスが聞こえるというだけでなくて
曲そのものもすぐれていると思う作品ばかりです。

米津玄師も良いですね。
彼もYOASOBIのAyaseも、元ボカロPという共通点があります。
最近だとまふまふなんかもそうですけれど、
(VOCALOIDを利用した曲はcosMo@暴走Pの〈初音ミクの消失〉
あたりから認知され始めたと思いますが)
VOCALOIDを原点に持つ人たちが何人も出てきたことに
ちょっとした感慨があります。

ノクターンは倉本聰のドラマ《風のガーデン》という
とても悲しいドラマの主題曲でしたが、
ショパンの原曲よりも暗くて儚い感じがしてしまいます。

参考:
VOCALOIDの特性を生かした曲ですが、
トンデモ曲なので聴かないほうがいいかもしれません。(笑)
ところがこの曲をカラオケで歌う人がいたりします。

cosMo@暴走P/初音ミクの消失
https://www.youtube.com/watch?v=VWVtIg5cdDU
by lequiche (2022-03-25 04:04) 

coco030705

こんにちは。
「VOCALOID」がどんなものか知らなかったので聴いてみました。
初音ミクは知ってたのですが、この曲をカラオケで歌うってむずかしくないのかな。自分流に歌うのでしょうね。
面白いものを教えてくださって、ありがとうございました。(=^・^=)
by coco030705 (2022-03-26 12:22) 

lequiche

>> coco030705 様

わざわざお聞きいただきありがとうございます。
人間には歌えない速さで設定してあるのですから、
おそらくむずかしいのでしょうけれど
聴いているほうも言葉を追い切れないので
正確に歌っているのかどうか判定できないのだと思います。
早口言葉みたいなので
アナウンサー志望の人が練習するには良いかもしれません。(^^;)
by lequiche (2022-03-26 22:20)