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〈六本木心中〉の北島健二 [音楽]

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北島健二

〈六本木心中〉は1984年のアン・ルイスによるヒット曲である。作詞・湯川れい子、作曲・NOBODYで、歌謡曲であるがロック・テイスト満載の作品。
この曲ではイントロのキーボードにかぶせて入って来るギターなど、印象的なギターを聴くことができるが、それを弾いているのが北島健二である。

西山毅 Official ChannelというYouTubeのサイトに〈昭和の名ギターソロ探訪!「六本木心中」 講師:北島健二〉という動画がupされたのを見つけた。これが超絶面白くて何度も観てしまった (念のため注記しておくと西山毅は元HOUND DOGのギタリストである)。

正確にいうと〈六本木心中〉でバッキングのギターを弾いているのは鳥山雄司で、ソロの部分のみが北島健二なのだそうである。
動画の前半部分は2人のトークによる解説になっていて、後半の14’32”から実際に北島健二がソロ部分を再現して弾いている。1st (14’32”〜) はイントロ、2nd (15’02”〜) は中間部の音数の少ないいわゆる 「泣きのギター」 (クリックのかわりとしてハイハットが鳴っているが原曲ではドラムはブレイク)、そして3rd (15’45”〜) は長尺ソロの部分でやや難易度が高い。
YouTubeで〈六本木心中〉のライヴ演奏など、ざっと観てみたがそれらは皆、他のギタリストが演奏していて、当然だが北島健二が弾いている動画は無い。だが誰もが北島のソロを元にしたコピーないしはそのヴァリエーションで弾いている。

北島の演奏はオリジナルらしくクリアで美しいが、ソロを弾くにあたって吟味されたメロディラインが形成されているのがよくわかる。あたりまえだがアドリブで適当に弾いているわけではないのだ。だから何十年経っても再現可能なのである。
西山がこだわっているのは、北島が、ある部分をどのポジションで弾いているかということである。ギターは同じ音の出る箇所が複数にあるが、どのポジションを使うかによって音は微妙に異なる。そのこだわりがさすがだと思わせる。
そして2人のセッションになると、西山は北島のプレイ傾向に絶妙に合わせていて、エレキギター版の坂崎幸之助か、と思ってしまうほどだ。

〈虚ろなリアル〉は以前の田村直美/PEARLの記事にも繰り返しリンクした演奏だが (→Depend on you — 田村直美、2021年04月15日ブログ)、この曲の北島のソロ部分 (2’05”〜) はオリジナルの《PEARL》(1997) のスタジオ・レコーディングに近くて、この曲のライヴ映像の中では最もタイトですぐれているように聞こえる。テイストとしては〈六本木心中〉の2ndソロに近い雰囲気がある。渋谷公会堂のライヴは全体がやや重たく感じてしまう。

最近の若いリスナーはギターソロの部分だけを飛ばして聴くとのことなので、逆に歌の部分は飛ばしてギターソロだけに話題を絞ってみました。


西山毅 Official Channel
昭和の名ギターソロ探訪!「六本木心中」 講師:北島健二
https://www.youtube.com/watch?v=hc88Mvn8OkA

アン・ルイス/六本木心中
https://www.youtube.com/watch?v=C3PNWPEOnm8

PEARL/虚ろなリアル ~Lay your hands on me, baby~
https://www.youtube.com/watch?v=GQHKpxpg2kg
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末尾ルコ(アルベール)

西山毅 Official Channel、視聴させていただきました。おもしろいですね。それにしてもYouTubeなども含めておもしろく視聴できるものは無数にあって、このような状況、どう時間を配分するか本当に難しくなっています。
『六本木心中』はカッコいいですよね。アン・ルイスでとても印象的なシーンがあって、テレビで放送したのですが、彼女がヘヴィメタのフェス的なイヴェントに参加していて、ところが観客は「ヘヴィメタではない」アン・ルイスに対してほとんど黙殺状態。「浮いちゃうとは思ってたけど、わたしヘヴィメタ大好きだから」とか観客に訴えてましたが、冷や汗ものの出演だったと想像します。
現在はロックフェスにアイドルなど普通に出てますし、観客もそれを大歓迎という状態で、時代は変わったもんだなあと。やや記憶曖昧ですが、確かアン・ルイスの後に浜田麻里も出ていて、そちらは観客当然ノリノリでした。
「ギターの音色」などについても今後さらにデリケートに聴いていきたいです。

・・・

前にいただいたコメントに関してですが、

>メモでもいいので記録しておけばよかった

これ、わたしもいささか自己嫌悪に陥ってます。幾多のバレエ公演を観てきているのですが、その都度各演目ちょっとした覚え書きでも書いておけばよかったけれど、それができてないんです。毎回プログラムも買うのですが、整理が悪くてどこに何があるか分からない状態。だから余程インパクトが強かった演目以外はおぼろげになってます。これじゃあんまりなので、ネットなどで調べつつ記憶を取り戻していこうとは考えています。
バレエだけでなく、映画もけっこうしょっちゅう、(あれ、これ観たっけ??)というのがあるんです(笑)。映画の場合は鑑賞本数多過ぎという感もありますが、「ちょっとしたメモ書き」って大切ですよね。そしてどれを整理しておくとかも。 RUKO

by 末尾ルコ(アルベール) (2022-08-17 07:55) 

英ちゃん

♪だけど こころなんてお天気で 変わるのさ長いまつ毛が ヒワイねあなた~
ぁぁ、懐かしい…つい歌っちゃいました(^_^;)

by 英ちゃん (2022-08-18 01:51) 

lequiche

>> 末尾ルコ(アルベール)様

YouTubeをご覧いただきありがとうございます。
少し専門的な会話もありますがお2人ともプロですので。
北島健二は基本的にスタジオ・ミュージシャンですから
レコーディング時に弾きますがそれで終わりで、
たとえばアン・ルイスがTVに出演するときバックで弾く
というようなことはほとんど無いといってよいです。
常にクォリティの高い演奏ができる人のひとりです。

ヘヴィメタルのフェスでバッシングですか。
そういうこともあったんでしょうね。
私はヘヴィメタルはよくわからないので、
いや、わからないのではなく単純に聴かないだけなので
何とも言えませんが、そのお話の様子では
排他的気質があるのかもしれないですね。
浜田麻里は《COLORS》とか《Anti-Heroine》とか
リサイクル店で買って何枚か聴きましたが、
う〜ん……(^^;)
繰り返し聴くというほどではありませんでした。

映画や演劇に限らず何でもそうですが、
ある程度のメモがあるのと記憶だけなのとでは
後で思い出すのに随分違いがあるように思います。
私のこのブログも自分のための記録帳・備忘録という面が
一番あるのかもしれないです。
by lequiche (2022-08-20 21:44) 

lequiche

>> 英ちゃん様

おおぉ、そうですか。
是非どんどん歌っちゃってください。(^^)
by lequiche (2022-08-20 21:45)