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重版出来!観ました [雑記]

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ちょっとうわさのTVドラマ《重版出来!》を観ました。
黒木華・主演のコミック誌編集部のドラマで、もう第5話になっているし途中からでよくわからないんじゃないかと思ったんですが、これが面白い。
このテンポと内容とキャスト、いいですね~。もう絶賛してしまいます。

今日の話の核は、黒沢心 (黒木華) の上司である五百旗頭敬 (オダギリジョー) がいい人過ぎるのはなぜ?と心が聞いたところ、五百旗頭は社長の真似してるだけと言う。社長の久慈勝 (高田純次) が質素な生活をしているのは 「運をためる」 ためであって、しょーもないところで運を使ってしまうと肝心なときに運がやってこないという昔からよくある話。
九蓮宝燈が出たら家が火事になってしまったので、それ以後、賭け事はやめましたとか、あまりにコミックスの王道過ぎます。

五百旗頭 (いおきべ) なんてマニアックな姓を使うのは、たとえばCLAMPだったら四月一日 (わたぬき) とか、よくある手だし、それと高田純次が絶対にどこかでギャグかますんじゃないかとかハラハラワクワクするんだけど、シリアスな役柄らしくてそれはナシ。でもギャンブル嫌いな社長の姓が 「クジ」 というのはシャレなんだろうなぁ。宝くじが小道具で出てくるんだけど。

その社長の過去の回想シーンとして宮澤賢治詩集との出会いというのが出て来て、つまり若い頃、荒れていた久慈が文学に開眼したのが宮澤賢治の 「雨ニモマケズ」 だったという話。それで自分でも賢治詩集を出したという話なのだけれど、逆算すると著作権の問題とかいろいろ引っかかるところはあって、でもファンタジィと思うことにすればいいんだし、それと 「雨ニモマケズ」 というのがあまりにもベタなんだけど、それもサラッとしていてなかなかいい。
そもそも今、宮澤賢治なんてもはやあまり知られていないのかもしれないし、そういうごくシンプルなわかりやすいところから攻めるのがむしろいいんじゃないかとも思います。

宮澤賢治って、私のブログによくコメントいただいているブロガーさんのところにも書いたんですが、まぁ、自分ではエラそうなこと言っていたけれど、ご本人は結構アヴァンギャルドで、生活的には破綻している部分があった作家です。
でも、私の知っているある人が、「宮澤賢治なんて、まともな生活ができていない人で、あんなヤツは文学者の風上にも置けない」 みたいなことをマジで言っていて、それは違うでしょ、と思ったわけです。
そもそも文学者なんて昔は生活破綻者であって、ロクなもんじゃなかったわけですよ。規則正しく9時5時に仕事して、週末は健康的にテニスして、心優しきナイスな作家先生なんていうのは、最近の人畜無害な人こそ社会的な規範みたいなイメージに則ってできあがったイミテーションな虚像なのであって、昔の文士なんてレッド・ツェッペリンよりももっとメチャクチャで、宮澤賢治なんてとってもマトモなほうです。
私の祖母は、もう亡くなってしまったけれど、昔ながらの価値観を持った人で、私が小学生の頃、「この子は本ばかり読んで勉強しないで困る」 と言っていたものです。つまり本というのは小説みたいなものを指すのですが、小説を読むことは退廃で悪徳であって勉強ではないんです。本を読むということは毒を摂取すること、不埒なことであって、マトモな娯楽ではないということ。
でも時代は巡って、今はそもそも本を読む行為そのものが少なくなってきていますけれど。
ホントはさぁ。そうやって不純な本を読まなきゃ、漢字の使いかたとか文章表現って養われない。漢検なんか幾らベンキョウしても、いざというときその文字が使えなければ意味がないです。

まぁ、そんなことはどーでもいいんですが、ドラマの話に戻ると、この、よくも集めたなというアクの強い演技陣のなかで黒木華、なかなかがんばってます。
久慈が更生するきっかけとなった素浪人みたいな火野正平、カッコ良すぎるゎ。おまえは座頭市か!とか思ったりして。あと、高田純次が 「紙の本は出し続けます」 と言うところもカッコイイ!
ドラマとしては、のだめ以来のかなり面白い作りだと思います。あまり深刻なのより、こういうドラマって楽しく見れるよなぁと、もう季節を過ぎてしまったサクラの絵柄のビール飲みながら思ったことでした。


松田奈緒子/重版出来! (小学館)
重版出来! 1 (ビッグコミックス)




↓5月17日まで無料視聴できます。
http://www.tbs.co.jp/muryou-douga/juhan-shuttai/005.html
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アビッチ3号

オダギリジョー!良い味出してます(^^) 本人が主役だと残念な数字しか残せませんが、脇に回ってる時は良いんですよね。よくもまあアクの強いキャスト揃えましたね!私も毎回観てます。黒木華ちゃんの口角がキュッと上がった悪戯っぽい顔にハマってます(^_−)−☆
by アビッチ3号 (2016-05-11 04:42) 

majyo

宮澤賢治はともかく 破たんしている作家は多いですね
太宰、壇一雄、三島、あと誰がいるかなあ
しかし、魅力的です。
動的人間の私ですが唯一本は子供のころから読んでいました
おばあちゃんに言わせると退廃的で不埒かもしれませんが
楽しかったですね。
ジャンル問いませんから

背伸びした本を読んで意味がわからないこともありましたが
いつしか、わかるようになりました。不思議と
このドラマですがlequiche さんが面白いと仰るから
絶対に面白いですね
見てみたいなあ


by majyo (2016-05-11 19:13) 

lequiche

>> アビッチ3号様

貴ブログの記事、大変参考になりました。
ありがとうございます。
最初からご覧になっているんですね。
たしかにオダギリジョーさん、なかなかいい人っぽいです。
黒木華さんは、目が 「まん丸」 になるのがかわいいです。
コミックっぽい雰囲気が出てますね〜。(^^)
by lequiche (2016-05-12 03:11) 

lequiche

>> majyo 様

昔のああいう人たちは作家じゃなくて文士なんですね〜。
なんか文士のほうが、すっごくメチャクチャな感じがします。
もちろんそうじゃない人だっていたんでしょうけど。(^^;)

本をたくさん読まれてきたんですか。
楽しいと思えるのなら幾らでも読めますね。
本とはまさに知識の宝庫です。

私は単なる濫読ですから、そんなにもともな本は読んでないです。
といっても、いわゆる実用書とかHow to本はほとんど読みませんし、
図書館もほとんど利用したことがありません。
何でも闇雲に読むことも必要なのかもしれませんが、
やっぱり時間は貴重ですから。

ドラマは好き嫌いがありますし、
私はTVには詳しくないのであまりアテにしないでください。
by lequiche (2016-05-12 03:13) 

末尾ルコ(アルベール)

宮澤賢治は文学史上特別な存在ですね。詩もそうだし、『銀河鉄道の夜』は神秘主義小説として読んでも、純粋に美を堪能するにしても、特別な作品だと。宮澤賢治、今でもしょっちゅう読んでいます。吉本隆明も書いてましたが、宮澤賢治は生涯自分の作品に手を加え続けていたそうで、そのあたりも凄い。書くことが人生そのものだったような人ではなかったかと。

                    RUKO
by 末尾ルコ(アルベール) (2016-05-12 08:02) 

えーちゃん

ドラマはあんまり見ないな。
でも、月9だけ見てるけどね(^^;
by えーちゃん (2016-05-13 02:31) 

lequiche

>> 末尾ルコ(アルベール)様

神秘主義小説! そういうふうに言われるとそうですね。
それと賢治の言葉遣いには、
単純に昔書かれた作品だからということとは違った
ちょっと変わったニュアンスがあってそれが美しいです。
銀河鉄道は延々と直し続けていたようですね。
絵画は、どこで完成とするのかがむずかしいといいますが、
文学作品にも同様にどこかでピリオドを打つ必要があるはずです。
でも賢治には永遠に完成形がなかったのかもしれないです。
by lequiche (2016-05-14 02:50) 

lequiche

>> えーちゃん様

そうなんですか。
TVって見るのに都合の悪い時間ってありますからね。
月9はリストを見てみましたが、知らないのばっかりです。
最近見たことがないんですね〜。トホホ。(^^;)
by lequiche (2016-05-14 02:51) 

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