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The Late Late Show with James Corden [音楽]

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Paul McCartney and James Corden

今、評判の《The Late Late Show with James Corden》を観た。
ジェームズ・コーデンは上記タイトルのCBSのトーク番組の司会者。今回のゲストはポール・マッカートニーである。YouTubeで滅茶苦茶アクセスが上がっている。
9月にリリースされるポールのニュー・アルバム《Egypt Station》のプロモーションと思われるが、この番組の定番となっているらしい車の中での2人のデュエットが素晴らしい。ああ、こういうのってありなんだ、というより、こういうアプローチを始めたのがビートルズだったとも言えるのだ。車の中で歌うのは、最初はもちろん〈Drive My Car〉.

『ミュージック・マガジン』によれば、ポールはキーも下げず、水も飲まず、軽々と2時間のライヴをこなすと書いてあったが、その元気というかヴァイタリティの元がこの番組の動画にもあらわれている。年齢を重ねるとオリジナル・キーより下げて歌ってしまう歌手っているけれど、そしてそれは声が出ないのだから仕方が無いことなのかもしれないけれど、やっぱりオリジナルのキーでないと、という思いはある。
誰とは言わないけれど、どよーんとした低いキーの歌は、思わずえっ? と驚くし、それって最初からシロートに歌いやすいようにキーを下げてあるカラオケボックスの音源みたいで、がっかりする。

番組の後半はパブみたいなところでの簡単なライヴなどで、これはあきらかに仕組まれているけれど、全体がラフな作りで、でもこれでいいんだという割り切りかたがいさぎよい。音楽とはもともとそんなものなのだ。ビートルズだってそうしたラフなところから始まったのだ。
それにビートルズの歌を、そのテイストを再現できるのは、もはやポールしかいないのだ。

サージェント・ペパーズに続いて今度はホワイト・アルバムの豪華盤も出るらしいけれど、まぁそういうのもいいけれど、やはりリアルなナマの歌に全て持って行かれる。歌こそがすべて、だ (それは先日のNHKのサザンのスタジオライヴでもそうだった)。ホワイト・アルバムはサージェント・ペパーズより混沌としているけれどその分、重要だ。でもたぶん私は豪華盤は買わないだろう。オリジナルのCDで十分。ビートルズは一種の状況であり、流れてくればそれはビートルズだとわかる、それが唯一のことだし、それが大切なのだと思う。


Paul McCartney/Egypt Station (Universal Music)
エジプト・ステーション(初回生産限定盤)(特殊ソフトパック仕様)




The Late Late Show with James Corden
https://www.youtube.com/watch?v=QjvzCTqkBDQ
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Speakeasy

ああ、今号の『ミュージック・マガジン』はポールの特集でしたね~買い忘れていた『レコード・コレクターズ』共々購入しなくては・・・
もう出ないかと思っていた『ホワイト・アルバム』の豪華版。やっぱり出るんですか?
『サージェント・ペパーズ』も5.1チャンネル・サラウンド・サウンドが楽しかったので、『ホワイト・アルバム』でも同様のアプローチがあったら良いな~♪などと妄想してたら楽しみになってきた(笑)
豪華版を買わないlequicheさんの分まで堪能させてもらいます!

by Speakeasy (2018-08-21 17:12) 

lequiche

>> Speakeasy 様

上記にもリンクしましたが
ショー・ウィズ・ジェームズ・コーデン、どうですか?
ポールと一緒に歌う、っていうのが何ともすごいです。
途中で〈When I’m Sixty-Four〉を歌う場面がありますが、
ポールは64歳になったときもSgt. Pepper’s50周年のときも、
ライヴでこの歌を歌ったことはないんだそうです。
それなのに突然、ここで歌ってしまっている、とのこと。

ミュージック・マガジンにはホワイト・アルバムの
スペシャル・エディションについて言及がありますが、
Forbesによれば、その後、アビーロードもあるかもしれない
というような感触です。
https://forbesjapan.com/articles/detail/21704

もちろん買えれば何だって片っ端から買いたいんですが、
残念ながら予算がないです。(-_-;)

今さら何? と言われるかもしれませんが、
しみじみ聴くと、サイケデリックの嚆矢はビートルズですね。
その先進性に驚きます。
by lequiche (2018-08-22 01:25) 

末尾ルコ(アルベール)

《The Late Late Show with James Corden》については知りませんでしたが、「車に乗りながらのトーク」というのはよく見かけますね。
例えば全仏オープンテニスのCMなどでも、プレイヤーと車に乗って、いろいろトークするという企画があります。
Lequiche様はビートルズやマッカートニーもけっこう頻度高く聴いてらっしゃるのでしょうか。
その時代のロックは、わたしは最近はあまり聴いてませんでした。ジミヘンくらいです、しょっちゅう聴くのは。ビートルズはわたしにとってまだまだ未知な部分が多いので、ちょっとまた歴史を辿りながら試してみます。
それとウイングス時代の曲は、割と好きなのがあります。

わたしもともと三島とか、あるいは三島も澁澤も大好きなユイスマンスとか、はたまたミラン・クンデラとか、一読(おわっ!)と思うような文章が大好きな傾向があるのですが、
ル=グィンの端正な文章に触れると、(う~ん、いいなあ)と新鮮に感じます。いいですよね。
それで今、宮沢賢治の「蜘蛛となめくじと狸」とか、どちらかと言えば一般的にはさほど知られていない童話を読んでいるのですが、これがまた素晴らしい。「ウケたい」とか「儲けたい」とかとは無縁の芸術家の凄味が伝わってきます。

トランプ大統領のもたらし続ける悪影響はすさまじいですよね。日本の政治家のこのところの暴言なども、(アメリカの大統領があれだけのことを言っている・書いているのだから)という意識が多かれ少なかれ影響しているでしょうし、(トランプみたいになりたい)という意識もどんどん大きくなっている印象です。トランプによるダム決壊効果といったところではないかと。


>ブラック企業はダメだと言いながら、それを温存し正当化するような動きが常に存在しています。

そうなんですよ!
ブラック企業を糾弾しているポーズを取っているメディアや人たちも濃厚にブラック的要素があったり、ブラック的企業などとの関りがあってたりするので、「見かけ上の糾弾」なのですね。
頻発するスポーツ界の不祥事も、大きな問題は根底の広く深い部分なのに、特にテレビメディアはスポーツで稼がねばならないので、「視聴率が稼げる部分」だけを繰り返し垂れ流し、根本までは絶対触れようとしません。
楽譜が読めないわたしでもうっとりするような美しさがほとばしり出ている譜面があるような気がするんです。ラテン語が理解できなくても(美しいな)と感じる聖書の写本が存在するように。
そして紙の上に描かれた記号から空間に圧倒的な音楽が飛び出してくるのも神秘です。

澁澤龍彦がlequiche様の「神」というのは嬉しいお言葉ですね。また澁澤の本、引っ張り出してきて読もうかな(笑)。
いや、折に触れ読んではいるのですが、ある時期まったく読まなかったということもあったんです。
澁澤龍彦を「オタク」なんて言う人はもう、まったく何も理解できてないという感じです。
澁澤龍彦を理解できてないし、「オタク」という言葉の吟味もできていません。こういう乱暴な言葉づかいは、澁澤の最も嫌うところではないでしょうか。

>校閲者は同じ表記に統一しようとするのですが

澁澤の文章を担当する校閲者がそれでは困りますね。しかし現在の出版界、ましてやマスメディアのレベルは、当時より遥かに低下しておりますよね。
ところでlequiche様が特にお好きな澁澤作品は何になりますでしょうか?
わたしは挙げればキリがありませんが、『神聖受胎』『悪魔のいる文学史 神秘家と狂詩人』『スクリーンの夢魔』『私のプリニウス』『フローラ逍遙』『夢の宇宙誌』『記憶の遠近法』・・・そしてもちろん、『黒魔術の手帖』『秘密結社の手帖』など。
澁澤龍彦自身、年齢を経るにつれて興味も変わってきたと書いておりましたが、後年ご本人がさほど興味を持てなくなった分野でも、それを現在読み返すと十分輝いているように感じます。
澁澤の小説もまたじっくり読んでみたいところです。 RUKO

by 末尾ルコ(アルベール) (2018-08-22 13:14) 

Speakeasy

度々すいません。
『The Late Late Show With James Corden』にポールが出演していた事は知っていましたし、他の人の回でカープール・カラオケを拝見した事もありましたが、ポール出演回を観たのは今回が初です。
どんな感じになるのか薄々想像がついてしまってそれ程興味をそそられなかったというのもあったのですが・・・
実際に動画を観てみると・・・楽しかった(笑)
いつも思うのですが、ポールはキャラが立っているというか、太陽みたいな人ですよね!
自分はリバプール観光中に偶然ポールを発見してしまい大喜びしているファンと同じ目線になってしまって、時々涙ぐみそうになりました(笑)

『ミュージック・マガジン』を買いましたが、確かに「When I’m Sixty-Four」をライブで披露することがなかったとありますね~どこかのライブで聴いたことがあった様な気がしていたので以外でした。

後半のパブでのライブも楽しめました!
ジュークボックスでリクエストすると突然カーテンが空き、その曲をポールが生で演奏してくれるという企画・・・やはりその場にいたファンと気持ちが同化してしまい胸が熱くなりましたね~

Forbesの記事へのリンクを貼っていただきまして、ありがとうございます。
出るんですね~『ホワイト・アルバム』の記念盤!
楽しみが増えました♪

サイケデリック・ロックの最初のレコードはザ・バーズの「Eight Miles High(霧の8マイル)」(1966年3月)という事になっていますし、ムーブメントとしてのサイケデリックはアメリカ西海岸が発祥ですが、ビートルズの貢献はメジャーなシーンにサイケデリック・ロックを紹介し、かつそのクオリティが他を圧倒していた事ではないでしょうか?

by Speakeasy (2018-08-22 19:17) 

lequiche

>> 末尾ルコ(アルベール)様

車の中を番組として使うのって結構あるんですね。
知りませんでした。
実はビートルズはそんなに知りません。
それぞれがソロになってからのは、もっと知りません。
断片的には聴いたことがありますが
そんなに熱心なリスナーではないです。
でもこういうふうに聴いてみると皆知っている曲
というのは単純にすごいと思います。

文章というのは人それぞれに特徴があって、
そこから発している表情の温度がよいのだと思います。
熱いものもあるし、冷たく光っているものもある……。
私がこのブログで最初に話題にした作家は須賀敦子ですが、
須賀敦子とル=グィンは私にとって特別な
尊敬する作家です。

宮澤賢治は文章の書き方にやや特有のクセがあって、
それは昔の作家だからという理由付けではなくて、
彼特有の息遣いなのでしょうね。

トランプを悪だとするのは簡単ですが、
資本主義の解釈を突き詰めていけば当然出てくる現象で、
それは資本主義を標榜している限り出現してくるべき負の部分です。
小さな無名のトランプは無数にいて、
トランプはそうした人々に勇気を与えたのです。

一方で今の中国も共産主義の負の部分を抽出していることでは
同じように思えます。
「ズルいことしたらいけないって誰が決めたの?」
というのは、主義を超えて現今の政治には必ず見られます。
経済至上主義、そしてインターネットは歴史の必然でしたが
それは 「やったもん勝ち」 の姿勢を正当化するだけであり、
失敗であったと私は結論づけています。

澁澤龍彦は何を読んだという記憶があまりありません。
基本的な著作は読んでいるはずですが、
本として記憶されていなくて全部が一種の
特殊な百科事典のような、そんな気がしています。
探せば全集のどこかに書いてあることがきっとある、
という大まかな期待です。
by lequiche (2018-08-24 03:46) 

lequiche

>> Speakeasy 様

いえいえ、いつでもウェルカムです。(^^)
キャラが立っている――言えてますね。
「そんなことあるわけない」
(=街でポールに会えることなんてない)
ことを破壊していることが刺激的です。
ミュージック・マガジンには
コンサートでキーを下げない、水を飲まないのは
ポールと安室奈美恵と書いてあって笑いました。
でもビートルズの日本公演では
初日はキーを半音下げていたんですよね?

たしかにサイケデリックとは西海岸のものですが、
Rubber Soul (1965) や Revolver (1966) は
それまでのロックやポップスの音作りと全く異なっていて、
たとえば Michelle のコード・プログレッションとか
Norwegian Wood がEミクソリディアであることとか、
ジャケットデザインも含めて
精神性がサイケデリックな方向になっていると思います。
具体的にそれを意識したわけではないとも言えますが。
by lequiche (2018-08-24 03:47) 

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