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MUSIC FUN!のYOASOBIとaiko [音楽]

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紅白歌合戦のYOASOBI 2020.12.31

YouTubeでMUSIC FUN!/YOASOBI×aikoの音楽談義というのを見る。
YOASOBIの2人ともaikoが大好きでリスペクトしているという感じが見てとれ、話はとても盛り上がった。下記にリンクした動画を観ていただけば一番手っ取り早いのだが、話のアウトラインを書いておくことにする。

aikoが10代の頃聴いていた音楽は、という問いに対して、主にJ-popを聴いていた、最初はユニコーンだった、そのうちインディーズのCDを聴くようになった、少年ナイフとかコレクターズなど、と答える。
aikoもikuraもずっと歌手になりたいと思っていたということは同じ。ただ、ikuraは若い頃、自分の声が嫌いだったという。だが17歳くらいのときに今の声になって落ち着いたのだそうだ。
ayaseの曲作りの最初のとっかかりはアコギ。だがギター弦を押さえる指が痛くてギターは挫折し、バンドでピンボーカルでやっていたが、バンドが解散してからひとりでやるにはどうすれば、と考えてDTMになったのだという。ここ2年くらいで、というのが驚き。DTMは全部自分で作れるのが魅力という。

aikoの曲作りについて。以前はカセットに録音していたが、現在はそれがiPhoneのボイスメモにかわっただけ。鮮度を落とさないように、降りてきたらすぐに録音するのだという。でもいつまでもそれではということで、1ヵ月前くらいにPro Toolsを買ったのだが 「わけわかめ」 なのだそう。ところがikuraもPro Toolsを導入して練習中とのこと。

aikoが語るには、楽曲と夜中に書く手紙は同じで、夜の時点では良いと思っていても少し時間が経ってから聴くと、なんだこりゃ、ということもあるのだと。そして詞先か曲先かという問いには、詞先か同時だという。
aikoの1stシングルは《トイレの花子さん》というアニメの主題歌で、でも歌詞だけ。曲はすでにあった (コモリタミノル)。そのレコーディングにはとても時間がかかってどれが良くてどれが悪いのかわからないほど何度も歌わされたのだという。
するとikuraも〈夜に駆ける〉のレコーディングのときは何度も歌わされて、ayaseのことを悪魔だと思ったのだそうだ。
3枚目のシングル〈花火〉がaikoのターニングポイントとなった曲。これがヒットしてミュージックステーションに出られたことによって、それ以後の活躍となり現在に至るとのこと。
カブトムシって甲羅はかたいけど、裏返しになると起き上がれない。かたそうだけど、でもやわらかい部分もある、みたいなところに感じて〈カブトムシ〉を作ったがスタッフなど周囲から 「虫? カブトムシ?」 と非難された。でもaikoは、何言われても私、かたくなに、絶対変えないんですという。
〈ボーイフレンド〉の 「あぁ テトラポット登って」 の 「あぁ」 はコードとぶつかっていて気持ち悪いといわれた。でも 「そうですか」 と言って意に介さず、繰り返し歌うことによって慣れさせたのだという。

今後の抱負としてはという問いには、Pro Toolsでジングルとか作ってみたいのだそうで、Pro Toolsでは、今のところikuraのほうが少しリードしているらしく思えた。面白くて二度見してしまいました。

そしたら続きのYouTubeでしらスタの〈歌唱力向上委員会〉という動画があって、これも面白くて二度見。オネエのボイストレーナーということでシャベリは強烈だがいいところを押さえている。ayaseの半音下がる転調というのがここでも意味を持っていることがわかる。

紅白歌合戦のYOASOBIの歌唱は所沢の角川武蔵野ミュージアムにある本棚劇場で、ここは数日前に別のTV番組でも紹介されていたので、あぁあそこか、とすぐにわかる。アニメの映像の比率が少し多過ぎたような気がしたが、初めてのTVでの歌唱がいきなり紅白というのはすご過ぎる。
そして最初のメディアであるThe Bookは発売数日で売り切れてしまってamazonではプレ値になってしまっている。早く通常盤を出すべきだと思うのだが。


YOASOBI/THE BOOK (SME)
【Amazon.co.jp限定】THE BOOK(完全生産限定盤)(特製バインダー用オリジナルインデックス(Amazon.co.jp ver.)付)




YOASOBI/aikoとの音楽談議 J-WAVE・WOW MUSIC
MUSIC FUN!
https://www.youtube.com/watch?v=ukHWAMXrWjg

しらスタ・歌唱力向上委員会 (白石 涼)
YOASOBI/夜に駆ける THE FIRST TAKEの分析
https://www.youtube.com/watch?v=UJ-rfiN-GOU

YOASOBI/夜に駆ける
紅白歌合戦 2020.12.31
https://www.youtube.com/watch?v=EABJzrOY7nQ
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末尾ルコ(アルベール)

『CD TV ライブ!ライブ!』という番組にYOASOBI出てまして、2曲プレイしてました。テレビで演奏するって彼らにとってとてもフレッシュな経験のようで、生放送なのに曲の合間に妙な間があったりして、観ている方としてもフレッシュな感覚でした。
『紅白』については選ばれる前からけっこう期待していたと、そんなこと言ってました。彼らにとってそもそも『紅白』とはどのような認識だったのか、なにせayaseが25歳ですか、とても若いですから興味があります。
まあわたしですと(笑)、10大の頃は、歌謡曲系ならいざ知らず、ロック系などで自分の好きなバンドは絶対出てほしくなかったのですが、今の20代くらいのミュージシャンは、出る出ないに特段のこだわりはないようにも見えます。

それでですね、実はわたし、YOASOBIもaikoもその真価をまだ今一つ理解しているとは言い難い者なのですが、ただYOASOBIのようなユニットがこれだけの人気を博するというのは、日本にもそれだけ音楽をしっかり聴ける人たちがいるという事実の証明ですよね。
その点はネット社会のいい面かなとも思います。ネット以前と比較すると、音楽に関しては圧倒的量とバラエティに、実に身近にアクセスできるわけですから。

> 主にJ-popを聴いていた

第一線の歌手がどんな音楽を聴いてきたか、あるいは俳優がどんな映画を好んで観てきたかとか、わたしこうしたことにとても興味がありまして、インタヴュー記事などには常に注目しています。ま、どんな分野でもインディーズにおもしろいお宝が多く存在してますよね。できるだけアンテナは張っておきたいところです。

> 「わけわかめ」

見慣れないことばなので、検索してしまいましたよ(笑)。ボキャブラリーが一つ増えました。なにせわたし、「てへぺろ」も2年くらい前に知ったものですから。
わたし基本、新語・流行語は自分のボキャブラリーに加えないのですが、パロディ的に使用するのはギャグとしてはありだと考え、実践しています。このところギャル語なども少々研究しております(笑)。
でも例えば、「マッジで~?」とか「ヤバい(「すごくいい」という意味の)」とか、決して日常会話では使いません。

> 楽曲と夜中に書く手紙

なるほどです。
でもわたし(笑)、夜中に書いた愛のメッセージとか、昼に見返してもぜんぜん平気になりました。いや~、人間成長するものですね・・・と、このような戯言はスルーしてくださいね(笑)。

> 何言われても私、かたくなに、絶対変えないんです

その信念、自信が素晴らしいですね。若い頃から余程自分の作るものに対する信頼がなければなかなかそうはいきませんよね。

・・・

> 満遍なくではなく偏在して出現してくる

これは映画界においてはとても顕著ですね。
イタリアン・ネオリアリスモの時代、日本における、溝口、小津、黒沢、成瀬の時代、フランスのヌーベルバーグ・・・。美術における、ルネッサンスは言わずもがなですが。あるいは60年代ロックもそう言えるでしょうか。

> ラヴェルやドビュッシーです。

フランスというのがおもしろいですね。確か、サティなども坂本教授、お好きだったのではないでしょうか。
坂本龍一も度重なる闘病で大変ですが、できる限り作品を創作し続けてほしいものです。

もはやげんなり度最高レベルの話題ですが、オリンピック関係者の言語がスゴイですね。日本政府関係の、「人類がコロナに打ち勝った証」を繰り返す異常さもさることながら、IOCバッハ会長の言動には、「醜悪の極み」と一筆して額に貼らせていただきたいくらいです(笑)。 RUKO

by 末尾ルコ(アルベール) (2021-01-25 16:44) 

lequiche

>> 末尾ルコ(アルベール)様

ああ、それは見逃してしまいました。
ayaseは紅白出場に関してはごく普通の反応で、
「きっと家族が喜ぶ」 というようなコメントをしていました。
今回の紅白は無観客ということもあって、
少し毛色が違い、面白かったように思います。
瑛人の〈香水〉という曲、ドルチェ&ガッバーナという
ブランド名を歌詞の中に入れて、嫌な曲だと思っていて、
それは以前にここのコメントにも書いたのですが、
実際に紅白で歌われるのを聴いてたらすごかったです。
前言撤回です。
なぜヒットしたのかがわかりました。
もちろん一発屋なのかもしれません。
でも一発屋だっていいじゃないですか。
一発も当たらない歌手なんてゴマンといるんですから。

YOASOBIは初めて聴いたときにショックでした。
言葉の畳みかけかたが一種の無窮動のようで、
それは実は初音ミクを使うときのルーティンでもあるんですが、
ああこういう音の繋がりかたってありなんだ、と思ったのです。
その感動は楽理的に説明のつくものではなくて、
全体から醸し出される 「ちょっと妖しい翳」 です。
Perfumeを初めて聴いたときも似たような印象がありましたが、
でもPerfumeはいろいろなギミックに惑わされがちですけれど
音楽そのものとしては正統派で、でもYOASOBIは
そうした正統派とは違うなにかなのです。
これはごく私的な感想なので、
一般的な音感覚とは違うのかもしれません。
私は 「ある一定の特殊な音」 に感応するのだと思うのです。
それをうまく言葉にできないのですが、
yes/noははっきりしていて、その私の取捨選択は
私自身の中ではごく理路整然としたルートなのです。

何度か書いているんですが、
ayaseの半音下がる転調というのはかなりイレギュラーです。
半音上がるのが普通の転調で、これは昔からの常套手段です。
でも半音下がるのは 「えっ?」 という感じがしますし、
そもそも歌うときも音がとりにくいです。

aikoはYOASOBIに較べると私にとっては印象がなくて、
最初はなんだかよくわかりませんでした。
音がぐにゃぐにゃしていてどこに行くのかわからない
という気持ち悪さがあります。
ところがあるとき、この人ものすごく歌がうまい、
ということがわかったのです。
それは以前のブログに書きました。これです。
https://lequiche.blog.ss-blog.jp/2018-01-07

それはCDTVの年越しライヴという番組だったのですが、
aikoはライヴなので音を外しまくりのように聞こえて、
でもそれは音が外れているのではなくて、
わざと微妙に音を外しているんです。
ジャズにおけるいわゆるブルーノートなんですが、
でもそこまで外さなかったりで微妙にズレているんです。
音痴ではないんです。
その逆で、とんでもないコントロール力なんです。

上記ブログ本文にも書いたことですけれど、
〈ボーイフレンド〉の 「あぁ」 は最初スタッフから
気持ち悪いと言われたとのことですが、
オリジナルPVを聴くと全く外していません。
素晴らしく音がとれています。
この歌唱はただものではないです。
でも、ただものではないということに気がつく人もいれば
よくわからない人もいるんだと思います。
私も最初はよくわからなかったのですから。
https://www.youtube.com/watch?v=9Jh-FBYGaU4

Pro ToolsというのはDAWなのですが、
そもそもアナログの音 (ヴォーカルとかギターなど) を
編集するソフトとしてハードウェアこみで開発された製品です。
それをいきなり使おうとしても、まずわからない、
というのは当然なんです。
「わけわかめ」 は、随分昔からある一種の地口みたいなもので、
昭和の頃に流行した言い回しなのではないでしょうか。

偏在するという概念は、クセナキスという作曲家がいますが、
私は彼の方法論から偏在するイメージを知りました。
音は満遍なくでなく密度の薄いところと濃いところがあって、
つまり偏在しているというのです。
これは日常生活や歴史にも応用できるので、
映画でも音楽でもそうした薄い時期と濃い時期は存在しますね。

ラヴェルやドビュッシーの音構造を簡単にいうのでしたら、
先日書いた記事の中で、
柿沼敏江のいうドミナント進行をするか否か、
という部分にあらわれているように思います。
https://lequiche.blog.ss-blog.jp/2020-11-14

つまりドミナント進行による終止形を捨てるということは、
それまでの西洋厳格主義を捨てるということなのです。
by lequiche (2021-01-26 02:43) 

みほ

すごく勉強になりました。ありがとうございます。アコギからDTMとはなるほど~。カブトムシやわざとぶつかるメロディをくねくね行く感じ、とても納得の記事でした。
by みほ (2021-01-29 11:21) 

lequiche

>> みほ様

コメントありがとうございます。
いえいえ、MUSIC FUN!という番組の語りを
かいつまんで移しただけですので。
ayaseはラウド・ロックのヴォーカルをやっていたとのことですが、
具体的にどんな音だったのかがよくわかりません。
そもそもラウド・ロックという概念が曖昧なので、
wikipediaを見ると国内のバンドでは
凛として時雨の名前があがっていますが、
ふーんそうなのかぁ、と思ってしまいました。
凛として時雨はカッコイイですけどね。
〈Perfake Perfect〉とか。
https://www.youtube.com/watch?v=sCyhtxoNoRc

aikoの音の使い方は基本的にはブルーノートなんですが、
以前聴いた年越しライヴではさらに微妙に外していました。
あれは音痴じゃなくて技巧です。
上記のルコ様へのリプにリンクした〈ボーイフレンド〉でも
急に下がる跳躍進行がありますが、
その気持ち悪さがキモチイイんです。(笑)
でもaikoは好き嫌いが別れる歌手かもしれないです。
by lequiche (2021-01-31 00:35) 

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