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コミックスについて [コミック]

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萩尾望都『トーマの心臓』

蜷川実花の撮った《xxxHOLiC》の写真集を買ってきた。監督作品である映画のスチル版と思ってよいのだろう。

先日のTBSTV《A-STUDIO》のゲストは吉岡里帆だったが、この映画についてのあからさまなプロモーションが無かったのにちょっと驚く。キャスティングは壱原侑子が柴咲コウ、そして女郎蜘蛛が吉岡里帆である。
《A-STUDIO》で吉岡は、悪役を演じることについてTBSドラマ《カルテット》の来杉有朱が転機となったと語っていたが、やはりあのドラマでの彼女の演技はすごかったなぁと思う。

このところマンガをほとんど読んでないので、最後まで読んでいない『xxxHOLiC』の続きを読んでみようかと思ったのだが、体裁がPREMIUM COLLECTIONというのに変わっていて、相変わらず商売上手なCLAMPだなと思ってしまう。だがオリジナルのコミックスのほうが表紙が好きだから古書を探すことにする。
というわけで、いまさらだけどまだ読んでいない『海街diary』を2冊だけ買ってきた。いきなり大人買いはしないのがセオリーなのだ。

吉田秋生の『カリフォルニア物語』というネーミングは、内容とは全く関係ないのだけれどイーグルスの〈ホテル・カリフォルニア〉やママス&パパスの〈夢のカリフォルニア〉を連想してしまう。それはカリフォルニアという固有名詞から醸し出される音楽的な記憶とでも言えるのではないだろうか。
それはそのものずばりの曲名タイトル、萩尾望都の『アメリカン・パイ』にも同様なあの時代のにおいを感じる。

でも一緒に買ってきた萩尾望都の『一度きりの大泉の話』—— 昨年出た本なのだがあっという間に読んでしまった。内容的には超ヘヴィーな本である。そのヘヴィーな部分についてはあえて触れない。調べれば簡単に分かるはずなので、興味のある人だけ読んで欲しい。
佐藤史生、岸裕子といった名前が出てくるのが懐かしい。また『トーマの心臓』は最初人気がなくてアンケート最下位で連載が危ぶまれたこと。ところが『ポーの一族』のフラワーコミックスが初版3万部刷ったのに3日で売り切れてしまって雲行きが変わり、トーマは継続、原稿料も倍になったこと。そしてトーマの暗い話の後には明るい話をということで『この娘うります!』を描いたとのことだが、そのタイトルを提案したのは木原敏江だったこと。閉鎖空間としてのギムナジウムものの変形が『11人いる!』だったのでは、ということなど。


映画 ホリック xxxHOLiC写真集 (講談社)
映画 ホリック xxxHOLiC 写真集




吉田秋生/海街diary 1 蝉時雨のやむ頃 (小学館)
海街diary 1 蝉時雨のやむ頃




萩尾望都/一度きりの大泉の話 (河出書房新社)
一度きりの大泉の話

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末尾ルコ(アルベール)

『A-STUDIO』は良心的な番組ですが、映画の宣伝とかはほとんどできないです。さらに他の番組に至っては、例えば現在『孤狼の月』の宣伝で広瀬すずがいろんな番組に出まくってますが、映画について触れるのは本当に一瞬だけ。あとは益体もないゲームしたり企画に加わったりと、日本のテレビの次元の低さをしっかり発揮しております(笑)。
『xxxHOLiC』は漫画についてはぜんぜん知りませんでした。映画は観たいです。玉城ティナが、その考え方も含めて大好きです。
吉岡里穂は『見えない目撃者』という映画がなかなかよかったです。モチベーションの高い女優のなので頑張っていただきたいです。元ベーションの高い俳優、大好き。
『xxxHOLiC』へ出てる松村北斗はSixTonesのメンバーで、このグループにはとても歌の上手い京本大我がいますが、松村北斗もいい声してるのでビックリ。ジャニーズも進化してますね。

>いきなり大人買いはしないのがセオリーなのだ。

ああ~、そういうセオリーは必要ですね~。何でもかんでも闇雲ってのはいけません。
映画の『海街diary』は出演した4人の女優すべてが大きくバリューアップしたことも含め、近年ではエポックメイキングな作品だと思います。是枝作品イマイチ乗れないわたしですが、『海街diary』は三度くらい観ました。

萩尾望都については語れるほどのことはわたしにはありませんが、『一度きりの大泉の話』、凄そうですね。機会があれば読んでみます。

・・・

>昔は上手な意訳の邦題を付けていたと思います。

確かにそうですね。近年は歌にしても映画にしても、(何考えてるんだ)というタイトルが多いですが。最近ではエマニュエル・ベアール主演の『L'etreinte』が原題の映画、日本語題は『未亡人 回る春』となってました。すごいですよね~、「回る春」って。いつも思うのですが、こうしたタイトルが生み出される会議の様子を見たいなと。

>ギターは音色が重要

なるほどです~。朧気に感じていましたが、こうおっしゃっていただいて、今後明確に意識して聴けそうです。

>蒲池幸子は2重のフィルターの奥に

素晴らしいご表現。そしてわたし自身について言えば、J POPを軽視していただけに、J POPに関して表面的なことしか知らず、奥深い場所で起こっていた事実について盲目応対だったという点、痛感しています。何事も出鱈目な先入観で軽視していては大事なことを見逃がしてしまいますね。

「萌え」という言葉だけではないですが、特に新しく人口に膾炙してきた表現はその使用範囲がどんどん広がる傾向がありますね。その良し悪しは事例によって異なるのでしょうが。「萌え」という言葉にしても、「萌えダン」などと、フルーツサンドの断面に対して使われると(何が「萌え」なのだろう)と訝ってしまいます(笑)。RUKO



by 末尾ルコ(アルベール) (2022-05-18 08:25) 

lequiche

>> 末尾ルコ(アルベール)様

CLAMPは4人でマンガを描いているグループで、
『カードキャプターさくら』が最も知られている作品です。
アニメも作成されていて、一見オコサマ用に見えるのですが
これがそんなに簡単なものではないのですね。
主人公さくらといつも行動を共にしているケロちゃんという
大阪弁のぬいぐるみみたいなキャラがいるのですが
実はケルベロスなのです。こうした設定などヒトクセあります。

『xxxHOLiC』もまた独特の世界観を持っていますが、
その実写化に際してこのキャスティングは的確だと思います。
CLAMPをよく理解していますね。

マンガの原作があってそれを映画にする場合、
もちろんマンガと映画とは異なるものになってしまうのは
仕方がないですが、でも原作と較べてしまうのが
悲しい性です。(笑)
原作の『海街diary』のイメージを思い浮かべた場合、
私は映画をまだ観ていないので直観なのですが
綾瀬はるかはミスキャストだと思います。
でも彼女はヴァリアブルですから違うかもしれません。
ぴったりなのはもちろん、広瀬すずです。

ドラマ《カルテット》における吉岡里帆は
一種のサイコパスで、とんでもない女なのですが、
そういう怖い役の彼女の演技は見たくない、
なぜならファンだから、という人がいたので
大変驚いてしまったことがあるのですが、
でもそういうのはファンとは言えないと思うのです。
一番すぐれた演技をあえて見ないというのは
自分の理想とする 「かわいい」 虚像だけを求めているので
それはどんな演技にも対応できるという優れた俳優を
むしろ限定化して否定しているのに他ならないからです。
でもそうした心情は、
アイドルはトイレなんかには行かないというような
虚像づくりと同じなのですが
残念ながら吉岡里帆はアイドルではないわけです。
吉岡里帆や吉高由里子はTVCMでやたら使われているので
昭和的な言葉でいえば 「理想の花嫁候補」 みたいなイメージを
持たれやすいのかもしれないです。
でもそういうのは、つまりオヤヂの思考ですね。(笑)

L'etreinteが 「未亡人 回る春」 ですか。
それはすごいですね。
ただ、回る春という言葉からは回春剤という言葉も連想します。
それだと全然違う意味になってしまいますが。(^^;)

J-popもそうですが、最近はこのSSブログの
ゆうのすけさんの記事を拝読させていただいていて、
昔の歌謡曲が結構すごいことに気づかされます。
当時はシンセサイザーもDAWも無いので、
伴奏は人間が演奏するオーケストラなんですね。
するとそのための譜面を書かなければならない。
これって結構すごいことなのです。
行き当たりばったりでもなんとかなるDAWとは違って
そんなに簡単にオーケストレーションなんてできません。
昔のほうが音楽レヴェルって高かったような気がします。
by lequiche (2022-05-19 05:05) 

向日葵

萩尾望都の『一度きりの大泉の話』、2-3か月前に読みました。
当時の大泉サロンのことなども詳細に分かる画期的な本でしたね。
一時期、竹宮恵子とあれほど仲が良かったのに、どうしたんだろう?
という素朴な、しかし長い事疑問であった内容にもちゃんと
堪えてくれている一冊でした。
増山のりえさんの人柄、そこに居た理由、等も初めてわかりました。
ワタクシも大学生の頃、一時期ですが「竹宮恵子のファンクラブ」
に在籍していて、いろいろとファンクラブならではの恩恵に
預かりました。
狭い世界ですのでその方の軋轢もあるにはありましたがー。

蜷川実花の撮った《xxxHOLiC》の写真集、や、『海街diary』
(どなたの作品なのでしょう)は聞いたのも初めてでまだ未見
ですがー。
by 向日葵 (2022-05-19 16:12) 

英ちゃん

吉岡里帆さんは、好きですが映画やドラマは見た事がありません(;^ω^)
by 英ちゃん (2022-05-19 17:33) 

coco030705

こんばんは。
萩尾望都さん、大好きです。
『トーマの心臓』、『ポーの一族』、『11にんいる!』は夢中で読みました。4,5年前に大阪梅田の阪急百貨店で、望都さんの原画展が開催、出口にグッズコーナーがもうけられ、結構な人出でしたよ。私もグッズを少々買いました。
by coco030705 (2022-05-19 21:02) 

lequiche

>> 向日葵様

『一度きりの大泉の話』お読みになりましたか。
さすがです。
ファンクラブというのもさすがですね。

萩尾望都自身は読んでいないと書いていますが、
あきらかに竹宮惠子の『少年の名はジルベール』への
リプライだと思います。
ですから両方を読み合わせてみて、
その言い分の差違を考えてみるしかないのです。
こうした不幸な行き違いは大変残念ですが
どの世界においても、よくあることとも言えます。
増山法恵さんは昨年亡くなってしまいましたが、
私が彼女の立ち位置として連想してしまうのは
CLAMPの『カードキャプターさくら』の大道寺知世です。
知世ちゃんは主人公さくらちゃんの衣装の
コーディネーターなんです。
そして《xxxHOLiC》の原作者もCLAMPです。

『海街diary』は吉田秋生の大ヒット作品ですが
ご存知ありませんか?
実は私、最近ほとんどコミックスを読まなくなっていたのですが
ふと『海街diary』を読み出したらやはり面白いです。
是枝裕和監督作品として2015年に映画化もされました。
『海街diary』の四姉妹は
江口寿史の『ストップ!! ひばりくん!』の
大空家四姉妹を連想してしまいます
(正確にいうと四姉妹ではないですが ^^;;)。
by lequiche (2022-05-20 01:53) 

lequiche

>> 英ちゃん様

吉岡里帆、吉高由里子、綾瀬はるかなどの
CM映像などを観ても全く意味がありません。
なぜならあれは客寄せのための消費財だからです。
映画やドラマなどの女優としての作品を
是非ご覧ください。
by lequiche (2022-05-20 02:05) 

lequiche

>> coco030705 様

原画展に行かれたのですか。
その原画展はたぶん
デビュー50周年記念 「萩尾望都 ポーの一族展」
ではないでしょうか。
私は東京の松屋銀座で開催された原画展に行きました。
大変盛況でしたね。
そのときのことは下記のブログ記事に書いてあります。
お時間がありましたらご覧になってみてください。

https://lequiche.blog.ss-blog.jp/2019-08-02

by lequiche (2022-05-20 02:14) 

向日葵

『海街diary』。。
なるほど。確かに何処かで聞いたタイトルだ、とは
思ったのですがー。
そういえば吉田秋生さんも最近描かれていませんよね?
活動の場が少女雑誌から何処かにシフトされたのでしょうか?
独特な吉田秋生の世界も大好きでした。
ワタクシもいつしか漫画とは距離が出来てしまい、最近の
漫画は殆どわかりません。
最近、ちょっと注目しているのはよしながふみさん。
「大奥」等の作品で注目されていますね。
また、最近のTVドラマは漫画が原作、って多いみたいで。
知らないうちに漫画の世界にどっぷり、なのかも・・??
「このドラマ、ちょっと良いなぁぁ。。」
なんて思った作品に限って、漫画が原作、って事が多いです。
by 向日葵 (2022-05-20 02:21) 

lequiche

>> 向日葵様

『海街diary』はなかなか良いです。
すぐに読んでしまうと終わってしまうので
ゆっくり読んでいます。(笑)

吉田秋生は『海街diary』の後、『詩歌川百景』という作品があり、
これは連載中で、コミックスが現在2巻まで出ています。
月刊フラワーズのサイトで、
これらの作品の無料試し読みができます。
『海街diary』第1巻は28ページ読むことができます。
下記のところです。
https://flowers.shogakukan.co.jp/author/292/

私も最近の若いマンガ家さんはほとんど知りません。
確かにマンガ原作で実写化というのは
多いみたいですね。
書き続けているかたのなかでは、
すでにベテランの先生になってしまいましたが、
清水玲子、成田美名子あたりに惹かれます。
by lequiche (2022-05-20 03:34) 

sana

「トーマの心臓」「ポーの一族」は暗記するほど読みました。
当時、萩尾さん、竹宮さん、増山さんにそれぞれお会いする機会も得ました。そういう機会に誘ってもらえたのです。まだ10代の漫画研究会の一員に過ぎず、もちろんそこまで突っ込んだ話をしたわけじゃないのですけど。
大泉の本はまだ読んでませんが…評判は漏れ聞いてます。
「少年の名はジルベール」はいぜん、読んで驚きました。デビューの頃のいろいろな話は興味深かったですが、タイトルの割に「風木」についての話はあまりなく、萩尾さんのことが多かったからです。
萩尾さんにはその後、周りの評判や取材が殺到したのではないでしょうか。
親しかった人と道が分かれることは誰の人生にもあることだと思います。
まして、大きな才能を持った人は並んで回り続けるわけにはいかず、惑星のようにそれぞれの軌道を生きるものかと。

じつは吉岡里穂さんはちょい苦手です^^;
ドラマの悪役が名演技過ぎたから、ダブってしまうんですよ。見た目は普通にきれいな役だったので、他でも上書きされなくて。
役と本人が別なのは頭では理解してますが、ちらつくんですね。
Mステで椎名林檎のファンだということを悶えんばかりに見せた時に、やっとイメージ変わって、助かりました。

吉田秋生作品はほぼ読んでると思います。
最近の漫画家さんはほとんど知らないのですが、長く描いている人の一部のみ読んでるわけです。
「海街diary」はコミックス1冊ずつ、上手いこと大人になったなぁ~みたいな感慨を持って読みました^^
by sana (2022-05-22 15:54) 

lequiche

>> sana 様

漫画研究会で実際にお目にかかったことがあるんですか!
それはすごいです。
稀有なチャンスに恵まれたのではないかと思います。

実は今回の本、発売されたのは昨年ですが、
そのタイトルだけで嫌な予感がして読まないでいたのです。
でもこの前、書店に行ったとき、他の本と一緒に
ままよと買ってしまったのです。
読んでみたらやはり予想通りの内容でしたが、
こんなに強く書いてしまったのはすごい確執なのだろう、
と改めて思いました。
そしてこの本が出た後、増山法恵さんは
突然のように亡くなってしまわれたのですが
偶然とはいえ何かの因縁のようなものを感じます。
増山さんはこの本をお読みになったのでしょうか?
おそらく読んだのだろうと思います。

この本に拠ればトーマのほうがポーよりも早くから
構想があって、ある程度描かれていたとのことですが、
それだと11月のギムナジウムとの関連性がわかって
なるほどと思いました。
「先にギムナジウムものを描いたのは私だ」
と萩尾が無理矢理に強弁しているのではなさそうです。

吉岡里帆の有朱は強烈過ぎましたか?
そうかもしれませんね。
私は逆にいろいろな役をこなせる役者さんが好きです。
いつも同じパターンの役しかこなせないのでは
役者としてどうなのかなと思ってしまうほうで、
TVドラマのメディアを買うことは滅多にないのですが
《カルテット》はブルーレイボックスを購入しました。
もっとも購入した主要な動機は4人の緊密な演技でしたが。
有朱という名前は不思議の国のアリスでもあるので
サイコパスであり狂気の意味がありますね。

『海街diary』は読んでいる途中ですがとても好きです。
複雑な家系をシンプルに説明できているのもすごいです。
映画では広瀬すずが、すず役をやっていますが、
もちろん映画よりも吉田秋生の作品のほうが先なわけで、
こういうのも単なる偶然でなくて何らかのパワーを感じます。
by lequiche (2022-05-23 02:30)