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明日館の中島美嘉 [音楽]

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(mikanakashima_official Instagramより)

With ensembleというサイトのYouTubeで中島美嘉のORIONが公開されている。
THE F1RST TIMESの6月13日付けNEWSによれば 「『With ensemble』は、アーティストとオーケストラのコラボレーションでアーティストのあらたな一面を届けるYouTubeコンテンツ」 とのこと。

兼松衆による弦とピアノによる大変に凝った編曲であり、演奏場所は池袋の明日館である。明日館は坂本美雨のアルバム《birds fly》でも使われていたことをすでに記事にしたが、この演奏でも美しいルーム・アコースティクが感じられる (→2021年10月24日ブログ)。誰だか忘れてしまったが他にも明日館を利用した演奏はあり、ここを使うのはちょっとしたブームなのかもしれないと思う。

THE F1RST TIMESの記事の続きを読むと 「その日限りのライブアンサンブルを切り取ることをコンセプトにしている」 そうだが、これはソニー・ミュージックのTHE F1RST TAKEのコンセプトのヴァリエーションであり、演奏の一回性にこだわっていることは明らかだ。

そのTHE F1RST TAKEにもピアノ伴奏による中島美嘉の〈雪の華〉がupされているが、この歌唱を聴いて思うのは、彼女の表現の方向性が以前とはやや異なって感じられることだ。それはWith ensembleの〈ORION〉にも共通していることだが、簡単な表現で言ってしまえばそれはパワーであり力強さであり、かつて思われていた儚さ、か弱さみたいな印象からはやや後退している。
たぶん好き嫌いがわかれるのかもしれないが、でも、そもそも〈STARS〉からはじまって〈GLAMOROUS SKY〉を通過してきたリスナーにとっては儚さなんて幾つもの錯綜するパターンのひとつに過ぎないのではないか、と思えてしまう。


中島美嘉/ORION
With ensemble, 明日館
https://www.youtube.com/watch?v=QWr0RXmmY-s

中島美嘉/雪の華
THE FIRST TAKE
https://www.youtube.com/watch?v=fcVHGZVCkDI
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末尾ルコ(アルベール)

「中島美嘉/ORION With ensemble, 明日館」、視聴させていただきました。これは息を呑んで見入って、聴き入ってしまいます。
いつもの入念なメイク、ヘアスタイルはなく、弦とピアノの音、そして明日館という場所によって、できる限りの純粋性に挑戦した姿のように感じました。
芸術ってエロスとタナトス双方が無ければつまらないように、純粋性と猥雑性、双方への志向が常にあってこそ、ダイナミックかつ深度も増していくに違いないですね。

>パワーであり力強さ

中島美嘉を特に意識して聴いてきたわけではないので以前との比較はできませんが、このところよく聴くようになってるんです。その理由はひょっとしたらおっしゃるような「パワー」や「力強さ」を感じているのかもと思いました。凄みを感じるのです、最近の中島美嘉には。
あるいは、表現者たちの進化、そして深化についても考えさせられます。「売れた・売れなかった」といった数字的な要素とは全く別の世界のテーマとして。

・・・

閲覧数に関するお話をいただきましたが、わたしもSSブログ関連のアクセスよりも、その外からの方がほとんどだと思います。SSブログ内でのお付き合いはかなり前から限られた方々にしてますし、何よりも「閉じた空間」が性に合いません。
ブログを初めて軽く10年以上経ってますが、かつてはかなりの閲覧数が普通でしたけれど、ツイッターなどが普及しだした時期にグッとアクセス数が落ちました。記事内容もかつてはアクセス欲しさに視聴率の高いテレビドラマのレヴューを書いたりしていて、それらは時に1万とか2万とかの閲覧数でったのですが、(アクセスを求めるためにテレビドラマを観る)っていうのが嫌になり、その後試行錯誤した時期はまた閲覧数、グッと落ちてました。ある時期から自分の書きたいこと、やりたいことが自分なりにしっかり見えてきて、まだまだの内容ではあるけれど、えつらん数は現在ましになってきてます。
まあこれは仕事(ビジネス)と似たところもあって、(こういうことやればもっとアクセス増えるだろう)という方法はいろいろあるけれど、〈自分の芯〉を曲げてまでそれはしないと決めましたので、その路線でできるだけのアクセスを得たいと日々模索しております。
わたし、営業の現場も経験してまして(ショボい職場でしたが)、売れている人の多く(全員じゃないですが)は「悪魔に魂を売っている」としか見えなかったんです。「甘いこと言ってちゃあ食っていかない」とは言われますが、魂を売って生きるよりはましですから。あくどい営業に関しては、わたし憎悪さえ感じるのです。RUKO

by 末尾ルコ(アルベール) (2022-06-18 06:36) 

lequiche

>> 末尾ルコ(アルベール)様

お聴きいただきありがとうございます。
ORIONは前奏無しで始まりますが、
歌についてくる弦楽はかなり責めている音で、
そのスリリングなのがカッコイイんですけど
単純にこのアヴァンギャルドさにハマッてしまいました。
たぶん歌いにくいでしょうけど。

明日館は内も外も非常にすぐれたデザインの建築で、
といって全然華美ではなくフランク・ロイド・ライトの
すぐれた思想性を感じます。
先日、建築中の新宿歌舞伎町タワーのことを書きましたが
あれは商業施設だからああしたデザインで仕方がないですけれど
でも私の嗜好は明日館のような思想性を大切にしたいです。

中島美嘉の歌唱が一時不安定だったのは
耳の具合が悪かったことにもよりますが、
最近の歌唱を聴くと、もうそれはクリアしたように思います。

「アクセスを求めるためにテレビドラマを観る」 というのは
本末転倒ですが、でもテレビドラマに限らず
いわばウケを狙って記事を作成するという方針は——
つまりそういう動機で見たり聞いたり行動したりするのは
ブログでもツイッターでもあるのではないかと思います。
今、話題になっている食べログの評価でもそうですが
ネットでの評判・評価というのを随分気にするのだ
という事実に、ちょっとびっくりでした。
食べログなんてアクセスを確認するために見たことありますけど
使い方なんてせいぜいそのくらいで
評価がどうかなんて全く気にしませんよね。
評点が3.5だったら信用できるけど3.0だと信用できないって……
そういう人って、きっと
amazonで何か買うときも評価を読むんでしょうね〜。
そのセンスって医療関係の評価サイトなどでも同様です。
ネットという機構を信じ過ぎているような気がします。
ネットの標準的レベルは実際に考えているよりずっと幼稚です。

もっともネットをビジネスとして利用したり、
YouTuberみたいな人など、趣味の範囲から逸脱しているのなら
真剣になってしまうのも仕方がないのかとも思いますが、
それは電車に乗るとほとんどの人がスマホを見ているのからも
言えるわけで、こうした世情はいにしえの言い方をするなら
ネットとは 「亡国の遊戯」 みたいなところがある
と言えると思います。
by lequiche (2022-06-20 02:00)