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バルトークの無伴奏ソナタ・2 — ロバート・マン [音楽]

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ベラ・バルトーク Béla Bartók の《無伴奏ヴァイオリン・ソナタ》は演奏するヴァイオリニストもかなり多くて、バッハの《無伴奏ソナタ》には及ばないにしても、腕試し的な意味あいもあるように思える。このブログの2月7日に、クリスティアン・テツラフの無伴奏についてほんの少しだけ書いたのだが、再びバルトーク無伴奏について、である。

ロバート・マンはジュリアード弦楽四重奏団で50年も1stヴァイオリンを弾いていた人だが、今回のはそのロバート・マンの録音した無伴奏である。しかしこのバルトークの無伴奏のCDはちょっと普通のCDではなくて、バルトークの次男のピーター・バルトーク Péter Bartók のバルトーク・レコード Bartók Records で発売されている盤である。
中に入っているジャケット (パンフレット) も表紙だけは印刷だが、中身はコピーかプリンターで印刷したもののようで、つまりインディーズみたいなレコード会社だ。
都内のCDショップなら入手可能だし、ネットでの取り扱いもあるようだが、あまり一般的なアルバムではない。

ピーター・バルトークはレコーディング・エンジニアで、彼の録音ではシュタルケルの《コダーイ:無伴奏ソナタ》が有名だが、このロバート・マンの録音も、たぶん50年ほど前の録音であるにもかかわらずすごく音が太くてクリアである。モノラルだが、きちんとプレゼンスがあり、それにソロ楽器の演奏なのでモノラルということはほとんど気にならない。

ロバート・マンのバルトークについて語るのなら、本来なら、まずジュリアード弦楽四重奏団についてとりあげるのがスジかもしれないが、この無伴奏は当時のロバート・マンの力強さがよく表れていて、ベスト・トラックだと言えるのではないかと思う。多少荒っぽい感じを受けるかもしれないが、それを越える説得性と確信に満ちた演奏だと言えるだろう。
第2楽章のフーガに入るときの、最初のあの特徴的な2つの音。そしてすごく強いピチカート。たぶんバルトークもこうした音を望んでいたのではないだろうか。
第4楽章の導入部のハチがぶんぶん飛ぶような部分は、バルトークのオリジナルではクォータートーンだったそうだが、難度が高過ぎるので、メニューインの助言により普通のクロマチックに変えたのだという。でも最近のテクニックのあるヴァイオリニストだったら微分音でも弾けそうな気がする。この終楽章はいわゆる無窮動のパッセージの気持ちよさが肝要だ。

バルトーク・レコードのリストにはロバート・マンの《ヴァイオリンとピアノのためのソナタ》第1番&第2番の録音もあるが、選ぶのならまずこの《無伴奏ソナタ》であろう。
バルトークのピアノ伴奏付きの2曲のヴァイオリン・ソナタは1921年と22年に書かれた比較的初期の作品である。しかし無伴奏はアメリカに渡ってからの1944年に、メニューインのために書かれた最晩年の作品である。不遇と病気に苛まれるアメリカの1944年、それはバルトークの亡くなる前年であった。


画像:
Robert Mann etc.《Bartók: Contrasts, Out of Doors, Sonata for Solo Violin》
Robert Mann/Leonid Hambro《Bartók: Two Sonatas for Violin and Piano》


Contrasts, Sonata For Violin Solo: S.drucker (cl), Mann (vn), Hambro (p)
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1489974

Bartók Records:
もちろんここでもオーダーすることはできる (と思うが未確認です)。
http://www.bartokrecords.com/
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