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大貫妙子〈横顔〉など — レコード復活の日々 [音楽]

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大貫妙子のアルバム《Mignonne》はそのジャケット写真のためもあって人気が高く、最近になってアナログ盤再発となったが、すでに3回リリースされている。最初の盤はごく普通の黒いレコードだったが、2回目はクリア・ヴィニル、そして3回目はクリア・パープルで、このクリア・パープルは9月の予約段階でほとんど完売してしまったようだ (と書いたがショップによってまだ在庫あり)。

そして《Mignonne》の前のアルバム、つまり2ndの《SUNSHOWER》からカットされたEP盤〈都会〉はクリア・ブルーで、ジャケットは《SUNSHOWER》ジャケット撮影時の別の写真が使われている。
今、レコードが売れるということなのだろうが、このやたらのアナログ盤ラッシュはどうしたものか、と思ってしまう。

とはいえ、アナログ盤の復活は良いことで、特に最初にアナログでリリースされたものはやはりアナログで聴きたいし、CDのせせこましく貧相なジャケットよりレコードの大きなジャケットのほうが美しいし、音楽そのものが蘇ってきたようで心がなごむ。
ただ、最近の流行のためもあってか、アナログの中古盤の価格が全体的に上がってしまったようで、良いことばかりではない。

最近買ったレコードを意味もなく並べてみる。
まずラ・ムーの《Thanks Giving》、そして中森明菜の《Stock》。ラ・ムーは急に再評価とかされているが、とりあえずアナログ盤だけでなくCDも復活して欲しい。中森明菜の《Stock》はジャケットがカッコイイので、完全にジャケ買いの1枚。
中森明菜を私はよく知らないが、見聴きした中では1989年のよみうりランドEASTにおけるライヴ《AKINA EAST LIVE INDEX-XXIII》がダントツで素晴らしい。

原田知世のアルバムは1985年の3rd《PAVANE》と1986年の5th《Sosite》の2枚。ややエキセントリックに見えるジャケ写がいかにも原田知世。この頃のアルバムは発売枚数が多いのか、中古盤も豊富である。

穐吉敏子のアルバムには穐吉自身の顔が多い。モノクロの顔写真だけのジャケットはピアノ・トリオによるアルバム《LONG YELLOW ROAD》(1961)。オリジナルの音源は朝日ソノラマのソノシートで、このジャケット写真はLP発売時に選ばれたもの。ジャケット裏は、まだ幼児のMonday満ちるを抱いて、ピアノを触らせている穐吉というショットで、オモテのジャケットとのイメージの落差が大きい。
ストリーヴィル盤の《The Toshiko Trio》(1955)、1974年のビッグバンドによる《孤軍》も穐吉の顔が印象的だ。でもデザイン的にこれ1枚をあげるならキャンディッド盤の《The Toshiko Mariano Quartet》(1961) である。

松任谷由実の《悲しいほどお天気》(1979) はアルバムタイトル曲の〈悲しいほどお天気〉でもトラック1の〈ジャコビニ彗星の日〉でもなくて、そのメイン曲は〈DESTINY〉である。

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大貫妙子/Mignonne (ソニー・ミュージックダイレクト)
MIGNONNE




中森明菜イースト・ライヴ インデックス23
(ワーナーミュージック・ジャパン)
中森明菜イースト・ライヴ インデックス23<5.1 version> [Blu-ray]




大貫妙子/都会 (EP: 日本クラウン)
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大貫妙子/横顔 (live 2009)
https://www.youtube.com/watch?v=7nU909RF1O0

大貫妙子/黒のクレール
https://www.youtube.com/watch?v=ChlVn6_VI9c
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コメント 4

末尾ルコ(アルベール)

ラ・ムーのジャケットモン・サン・ミシェルなのですね。総じてかつての日本のアルバムジャケットは、凝りに凝った英米のミュージシャンらと比べるとシンプルなデザインが多かった印象です。そうした点にも当時は、(日本はまだまだだなあ)と感じていたものですが。
原田知世は確かに当人が普段メディアで見せるキャラクターとはずいぶんイメージの違う強さがあっておもしろいですね。中森明菜はおっしゃる通りカッコいい。
ミッツ・マングローブの星屑スキャットが「TATOO」をカヴァーしてますが、これまたなかなかカッコいいです。
ミッツは坂本美雨の『デイア・フレンズ』にも最近出てましたね。そこでも「TATOO」かけてましたが、この二人のトークとなるとじつにおもしろくて、二時間くらい聴いていたい気分でした。
中森明菜は最近また評価が高まっている印象です。彼女の全盛期、松田聖子の熱心なファンに目の敵にされていたことよく覚えています。「比べてほしくない」とか「ぜんぜん問題にならない」とかボロカス言う聖子ファン(女性)がわたしの周囲にも何人かおりました。それだけ脅威を感じていたのかもしれません。
どうも「アイドル」と目されている人たちにはファナティックなファンが多いです。

アナログレコードが人気大復活というのは本当に嬉しいことで、そりゃあCDや、まして配信とはまったく違いますから。
でもアナログレコード復活は本物のようで、最近でもラジオで誰かが「世界的にもアナログレコードの生産が間に合わない状態」だと語ってました。
レコードに限らず、アナログ復活は「人間性の復活」とほぼ同等だと感じています。WOWOWの番組で西島秀俊が、「カセットなどアなログにはなぜか霊的なものを感じる」的な話をしていました。この感覚、大切にしたいなと思います。

・・・

『ファンタズム』に関しては人生の中で知らない方がいいかもです(笑)。日比谷映画劇場はわたしももちろん見たことないですし、恐らく東京へ通いだした頃には存在しなくなっていたでしょう。それだけに(見たことない東京)というロマンテイシズムを感じます。小津安二郎の映画に現れるような東京や鎌倉の姿のような。
それにしても『ファンタズム』くらいの映画、確かにテレビなどではかなり宣伝してましたが、それがこれだけ大きな看板になっていたとは、『ファンタズム』の関係者もビックリだったのでは。と。
そしておっしゃる通り、一流映画だけでなく、『ファンタズム』くらいの(笑)映画に対してこれだけの熱量を持って宣戦していた。今よりもずっと幸せな時代だってし、鷹揚な豊かさがありました。いつしか日本は、特に「実写映画」に対しての熱量が極度に低くなってしまって。それは他国の映画祭に参加した俳優や映画関係者によってその熱量の大きな差、頻繁に語られています。
わたしもコロナ禍以降、まったく映画館、足を運んでおりません。「映画館はリスクが低い」と言われますが、行くなら母を連れていきますし、そうなると「同じ場所で長時間」というのはとてもじゃない愉しむ気分になりませんから。行きたい映画は多いけど、まだ家庭での鑑賞に留めてます。 RUKO

by 末尾ルコ(アルベール) (2022-12-12 09:18) 

ゆうのすけ

なんか嬉しいやら悲しいやら アナログの復活は微妙な感じがしているこの頃です。部屋の中にはアナログ盤が所狭しと置いてあるんですが なにせ聞く時間も触る時間もなくて。たまにオークションなんかで相場を見たりすると 驚いちゃうくらいの価値がついているものがあったりするんですよね。竹内まりやさんの「プラスティック・ラブ」は 当時とにかく好きなアーティストだったから買いましたが 思ったほど売れませんでしたっけ。最近は棚卸(単に数を数えるだけなんだけれど)もしてないから あれ?これ持ってたよな?!なんて思い返すことも多々あるんです。ファッション業界然り流行はローテーションでやってくるというのが判ったような気もしてます。
今の若い子は 勿論当時のことは知らないだろうし とても新鮮に感じるのは 私が「蘇州夜曲」李香蘭(山口淑子)さん(私の知らない世代の!)の 雰囲気に心打たれるようなものなのだと思うんですけれどね。
多分 私がアナログの復活で複雑な思いをしているのは 現在それを求めている人との接点がないことなんだと思うんですよね。共有することが出来たら 話も花が咲き誇るように心の潤いを感じると思うんだけれど いざとなると時間的な余裕も無かったりして。。。
レコードなりCDなり持ち得る音源を楽しみながら 小さな喫茶室でも営むことが将来出来たらなどと思うこの頃のなのです。
明菜ちゃんのアルバムは 音は勿論なんだけれどジャケットを含めアートワークも かなりレヴェルの高い作品が多いですよね。問題作『不思議』というアルバムも 前衛的な総合アート感がありましたね。
大貫妙子さんのこのヴァイナル(シングル盤)綺麗ですね!^^
「4:00A.M.」聴きたくなっちゃいました。^^♪~
最近 よくシングルの中古盤を買いに行ってるんですよ!聴くためじゃなくて ジャケ買いとか!あとはブログ画像用の資料目的に。でもじっくりステレオの前でアナログを聴く時間的余裕を作りたいです!♫~
(あ~いろいろと長くなって脱線しちゃいすみません。^^ぺこり。)
by ゆうのすけ (2022-12-12 14:59) 

lequiche

>> 末尾ルコ(アルベール)様

ジャケット・デザインは確かにそうかもしれません。
ただ、シンプルだけれどそれなりに力が入っているものもあって、
まだ稚拙で開発途上だったともいえますが
現在のJ-popのアルバムよりパワーを感じることが多いです。

原田知世は若い頃のほうがエキセントリックで、
その特性をむしろ打ち出していたような気がします。
顔だけでこれだけ訴求力のあるデザインのジャケットは
そんなに無いです。

ミッツ・マングローブの《ディア・フレンズ》登場回は
radikoで聴きました。
面白い内容でしたし、お2人とも大人ですね。
このような会話が欲しいです。
ミッツが旅行が嫌いというのはとても共感できました。
そして中森明菜の曲で何か選ぶとなったら
ミッツのファッション嗜好としては当然〈TATTOO〉です。
松田聖子ファンの明菜バッシングですが、
聖子ファンとしては
中森明菜がだんだんアイドル歌手から変貌してしまうのが
恐怖だったのかもしれませんね。
松田聖子はアイドルから離れられませんから。

〈駅〉は竹内まりやが中森明菜のために書いた曲ですが、
山下達郎は明菜の歌い方が気に食わなくて
竹内まりやにセルフカヴァーさせたという因縁があります。
歌にはいろいろな解釈があって良いはずで、
中森明菜の歌と竹内まりやの歌は解釈が大きく異なりますが、
この明菜ヴァージョンの〈駅〉は絶唱です。
この件に関しては 「山下達郎、たいしたことないな」
と私は思います。
下記リンクはオリジナルの歌唱とは違うようですが、
途中でAMラジオのように周波数帯が狭くなるところなど
おそろしく美しいです。
https://www.youtube.com/watch?v=XmN4lCYe9uc

この曲はアルバム《CRIMSON》に収録されていますが、
クリムゾンというタイトルはキング・クリムゾンを連想しますし、
スタッフにそのような意識を持つ人がいたように思えます。
ちなみに相川七瀬にも
クリムゾンというタイトルのアルバムがあります。
(相川七瀬をプロデュースしていたのは織田哲郎ですから
当然ですね)
そして、中森明菜の《CRIMSON》の3つ前のアルバムは
《BITTER AND SWEET》というタイトルですが、
ロキシー・ミュージックのアルバム《Country Life》の中に
〈Bitter-Sweet〉という曲があり、
これはこのアルバムの中でのリード曲ですが、
おそらくそのタイトルを意識したものでしょう。
ブライアン・フェリーの歌唱はデカダンで、
途中でドイツ語の入るところがカッコイイです。
https://www.youtube.com/watch?v=y63ydqGAA3Y

レコードは確かに優れていて今はブームですけれど、
でも世界的動向はやはりネット配信とかサブスクで
手元に何も残らない状態への強要が
加速するばかりだと思います。
こうした所有欲を無くすようにしようとする働きかけは
悪辣な意味での共産主義思考を連想させます。
by lequiche (2022-12-14 03:19) 

lequiche

>> ゆうのすけ様

なるほど。そのお気持ち、よくわかります。
こっそりと秘蔵していたものが衆目に晒されてしまった
というような感じを受けます。
〈プラスチック・ラブ〉のオリジナルは知りませんが
最近リリースされた12インチシングルを買いました。
ファッションでもY2Kなどという表現がありますが
ファッションというものはらせん状に上がって行くものなので
同じように見えて実はそうではないです。
回帰するのだけれど常に変化を伴っています。

あぁ、接点がない……。
それはあるかもしれませんね。
たとえば〈プラスチック・ラブ〉が海外でブレイクしても、
それは一種の素材としてウケたのが端緒ですし、
ですからシティポップ・ブームといっても
シティポップとされる曲たちが当時と同じように
聴かれているわけではないかもしれません。
でも、それでもいいのではないかと思います。
モーツァルトだってベートーヴェンだって
当時の音楽状況の中で聴かれていたのと同様には
今、聴かれていないはずです。
でもその中に言霊 (というか音霊ですね) のようなものは
わずかでも必ず残っていますから。
ゆうのすけさんの喫茶店、是非実現させてください。
どんなに遠くても伺いますので。

大貫妙子の〈都会〉の7インチ・シングルは
以前にリリースされていた盤の再発ではなく、
あらたに作られたシングルです。
〈朝のパレット〉というシングルもありますが、
これは新曲のシングル盤ヴァージョンです。
大貫妙子はオリジナルではCDのみだったアルバムまで
アナログ盤で出ているので、
つまりその盤はアナログとしては1st versionなのです。
ちょっとやり過ぎかなぁとも思いますね。

シングルの中古盤とはすごいです。
さすがにシングルのことは、私はよくわからないので
手を出さないようにしています。
ただ、昔のすごくダサいジャケットデザインが
逆に良く見えてしまうことはあります。
いわばヘタウマのヴァリエーションなんでしょうね。
by lequiche (2022-12-14 03:20)