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ユニオンの雑誌 Jazz Perspective [本]

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ジャズ専門誌として『スイングジャーナル』という老舗の月刊誌があって、でも近年は面白い記事もないので滅多に買わないでいたら2010年に休刊してしまった。休刊とのことだが実質的には廃刊である。雑誌を終わらせたくなかったら、とりあえず時々は買わないといけない、というのは鉄則だとあらためて思った。今更思っても後の祭りであるが。
ジャズというジャンルは、もうボサノバに近くて、あまり需要が無いのかもしれない。ライトでオシャレなジャズ風のムードというのだけは蔓延しているけれど、そんなに深くジャズを聴くというほどの需要は少ないという意味である。

ところが書店で偶然見つけたのだが『JAZZ PERSPECTIVE』という雑誌があって、これがなかなかオタクっぽくって面白い。中のレイアウトはほとんどシロウトで、昭和にタイムスリップしたような同人誌っぽいダサダサさなのだが、奥付を見ると作っているのはディスク・ユニオンという東京のマニアックなレコードショップで、きっと社員がデザインしているのかもしれない。今まで4冊発行されていて、表紙写真はわざと無造作なのを装ったようなファッション誌っぽいテイストで、必ず女性ジャズシンガー (それも大御所は除く) というこだわりを見せてくれているが、果たしていつまでそのパターンを続けられるのか楽しみである。

ディスク・ユニオンというのはノーマルな店とはやや違う品揃えをウリにしているCDショップで、まだそんなにネットが発達していない頃、ここの店に並ぶ商品というのはヘンなものが好きな私のような人間にはひとつの指標だといってよかった。他の店には無いものがここに行けばある、みたいな感じである。
ネットの発達した現在では、ネットショップを漁ることのほうが効率がいいけれど、やはり店で実際に手に取って見られるという利点は今も廃れていないのではないだろうか。

中身は 「Report from JAZZ ARCHIVE・コレクターの肖像」 という著名コレクターの自慢話満載の記事と、末尾にある 「廃盤座談会」 というのがマニアック過ぎてとても面白い。さすがユニオンである (褒めているのか貶しているのかよくわからないニュアンスがミソである)。
最新号のvol.4を読んでみると、特集がブリティッシュ・ジャズというのだし、著名コレクター氏はパーカーのダイアル盤の新品を山ほど買った話をしているし、そもそもターゲットがCDじゃなくてアナログレコードだし、Reviews.JPというジャンル毎のレヴューだってナニコレ状態だし、好き勝手な作りで大変よろしい。読者がついてくるかどうかはまだ未知数だが。というよりまずクォリティのある原稿をこれからも継続できるのかどうかのほうが心配である。いらぬ心配か?

残念なのは年2回発行とのことで、次は今年の12月らしい。でもあまり多く出すと、その分中身が薄まってしまうのだろうし、サブカル的イメージだって維持するのは意外にむずかしいのかもしれない。特集はvol.1から順にScandinavian Jazz, Jazz in Italy, Jazz Français, British Jazzときたから次はきっと…… 「いよいよあのジャズ大国」 と次号予告にあるから………ポーランドとか。
最近の雑誌はたとえばMOSTLY CLASSICなどもそうだけれど、見た目は多少ダサめでも中身で勝負みたいなほうがいいのかもしれないと思う。レイアウト命!みたいな雑誌は、いまさらバブルでもあるまいし、という風潮になってしまっているような気がする。


JAZZ PERSPECTIVE vol.4 (disc union)
JAZZ PERSPECTIVE(ジャズ・パースペクティブ) VOL.4

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