ビョーク《fossora》など [音楽]
björk/fossora
ビョークの久しぶりのアルバム《fossora》なのだが、私は《Biophilia》まではコンスタントに聴いていたにもかかわらず、その後少し遠ざかってしまっていた。聴いていてちょっとしんどいという印象があったのかもしれない。
今回の《fossora》は5年ぶりのアルバムとのことだが、リリースの停滞にはおそらく疫禍の影響もあったのだろう。
YouTubeでは現在、ニューアルバムの〈atopos〉と〈ovule〉のPVを観ることができる。重奏するバス・クラリネットの重さに釣り合うようなパフォーマンスの禍々しさに魅入ってしまう。バスクラは冥府からのプルートーの声でありエリック・ドルフィーでもあり、《Bitches Brew》のベニー・マウピンをも連想させる。
CDはデジパックで国内盤もインターナショナル盤も形態としてはほぼ同じ。CDとともにLPも発売されているが、ブラック・ヴィニル以外に、バーガンティ、ライム、シルヴァーと4色展開でヴィニルがあり、〈ovule〉のPVはまさにバーガンディの色彩を連想させる (バーガンディとはブルゴーニュの英語読み)。
クリスチャン・ツィメルマンのDGGからの新譜は《Karol Szymanowski: Piano Works》で、プレリュード、マズルカなどの独奏曲。ピアノの譜面台に置かれたシマノフスキの肖像写真とツーショットのツィメルマンというジャケット・デザインは画にインパクトがある。
シマノフスキはポーランドの高名な作曲家だが、ツィメルマンの選曲は作品番号1の〈9つのプレリュード〉(Dziewięć preludiów) から4曲、〈20のマズルカ〉(Dwadzieścia mazurków) op.50から4曲、そして〈Masques〉(Maski) op.34と〈Variations on a Polish Folk Theme〉(Wariacje na polski temat ludowy) op.10という構成で、この時期にシマノフスキを弾くのは、直裁ではないけれどある種のメッセージ性が感じられる。
他にツィメルマンが弾いたシマノフスキは、1980年に録音され1981年にリリースされたカヤ・ダンチョフスカとのフランク《ヴァイオリン・ソナタ》のアルバムにシマノフスキの〈Myrthes〉op.30などが収録されている。
このフランクは知らなかったのだがYouTubeで聴いてみると、流麗なヴァイオリンに対してツィメルマンのピアノはときに不穏な響きがあり、こういう解釈もあるのだと思わせられる。
これらのディスク以外ではキアロスクーロ・クァルテットの瑞典BIS盤のハイドンを3枚買ったがまだ聴いていない。それより以前の初期の盤は軒並み廃盤になってしまっているようだ。
björk/fossora (One Little Independent)
Kristian Zimerman/Karol Szymanowski: Piano Works
(Universal Music)
björk/atopos
https://www.youtube.com/watch?v=9FD2mUonh5s&t=36s
björk/ovule
https://www.youtube.com/watch?v=cPr_D-b5v2Q&t=2s
Krystian Zimerman/Szymanowski: 9 Preludes, op.1,
No.1 in B minor. Andante ma non troppo
https://www.youtube.com/watch?v=pxNzIwUSwYo
Kaja Danczowska, Krystian Zimerman/
Franck: Sonata for Violin and Piano in A
https://www.youtube.com/watch?v=tcA-zUeABOI&list=OLAK5uy_mvbrfSIYSkPl__aX_gkGRlTqVjjwGUSbs&index=1
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〔参考〕
ビョークのライヴの変遷
Björk/Venus as a Boy
(The Beat, UK TV 1993)
https://www.youtube.com/watch?v=iSNz1BYANnM
Björk/Generous Palmstroke
(live: Royal Opera House, 2001)
このロイヤル・オペラ・ハウスの映像は美しく
ビョークのライヴのひとつの到達点といえます。
今、YouTubeにはコンサートのフル動画もあります。
https://www.youtube.com/watch?v=EDrq-nCb6kY
Björk/Bachelorette
(live: Paris, 2008)
https://www.youtube.com/watch?v=-gHWSesy7v8
Björk/Declare Independence
(live: Paris, 2008)
ビョークの最も過激な部分が典型的に表出している曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=jOP1C0nepLs