SSブログ

原由子《婦人の肖像 (Portrait of a Lady)》 [音楽]

YukoHara_Portraitof aLady_221023.jpg

〈鎌倉 On The Beach〉のPVに鶴岡八幡宮が出てくると、ああもうすぐ 「あれ」 なんだ、と思わず大河ドラマのこの先を考えてしまう。第39話で泰時が 「春霞たつたの山の……」 の歌を、間違えた和歌ではないかと実朝に告げると、実朝は別の歌を泰時に渡す。

 大海の磯もとどろに寄する浪破れて砕けて裂けて散るかも

この差し替えられたことになった歌の暗さとおそろしさとそのインパクトの深さに 「えっ?」 と思わず反応してしまった。三谷幸喜やるなぁと誰もが思ったはず。

ということはどうでもいいとして、原由子の《婦人の肖像》は《MOTHER》以来の31年ぶりのオリジナルアルバムなのだそうです。オリジナルアルバムとしては4枚目。サザンといえば江ノ島・鎌倉。暗いバックに白いオーヴァーサイズのシャツでたたずむ原由子のジャケットがめちゃめちゃカッコいい。

1stアルバムの《はらゆうこが語るひととき》はもう41年も前のアルバムだが、メインの曲〈I Love Youはひとりごと〉はカラオケで歌えば必ずウケるキラーチューン。ただし途中の語りを入れることが必須ですが。

原由子はサザンオールスターズのキーボーディストであり桑田佳祐の妻であるが、たとえば山下達郎・竹内まりや夫妻に較べると地味な印象があるかもしれないけれど決してそんなことはない。むしろ奔放に楽曲を作り歌う桑田をうまくコントロールして、ギリギリのところでそれ以上行かせないようにしているように思えるし、そのさりげないけれど的確な演奏は比類がない。つまり初期の頃はやんちゃだったし、今でも時に正当な方向を踏み外しそうなサザンの音楽性を屹立させている要は原由子である。

アルバム・タイトルに括弧付きで入っている 「Portrait of a Lady」 はヘンリー・ジェイムズの小説のタイトルでもあるが、おそらく関係はない。尚、ジェーン・カンピオン監督による同名映画がある (邦題:ある貴婦人の肖像、1996)。それとヘンリー・ジェイムズ原作の映画としてフランソワ・トリュフォーのちょっと気色の悪い映画《緑色の部屋》(La Chambre verte, 1978) があることに気がついた。
また〈鎌倉 On The Beach〉という曲のタイトルの 「On The Beach」 から連想するのは、古典SF小説として名高いネヴィル・シュートの『渚にて』(On the Beach, 1957) である。

サザンのYouTubeチャンネルには今回のアルバムの中から〈スローハンドに抱かれて〉が公開されているので (出演:遠藤憲一、森田想)、桑田佳祐と原由子の〈Change The World〉もリンクしておく (〈Change The World〉はワイノナ・ジャッドの歌唱がオリジナルだが、エリック・クラプトンのカヴァーで有名である)。


原由子/婦人の肖像 (Portrait of a Lady)
(ビクターエンタテインメント)
婦人の肖像 (Portrait of a Lady) [完全生産限定盤A] [CD + Blu-ray]




原由子/スローハンドに抱かれて (Oh Love!!)
https://www.youtube.com/watch?v=m9Af3nGQvfw

原由子/鎌倉 On The Beach
https://www.youtube.com/watch?v=9lUX44UUAfY

桑田佳祐&原由子/Change The World
https://www.youtube.com/watch?v=MSq2_3PG6VE

原由子/恋は、ご多忙申し上げます
https://www.youtube.com/watch?v=MUTm91vRsTY
nice!(68)  コメント(10) 
共通テーマ:音楽