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中森明菜〈北ウイング -CLASSIC-〉を聴く [音楽]

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《50th Anniversary Special A Tribute of Hayashi Tetsuji -Saudade-》は林哲司の活動50周年を記念してリリースされたアルバムだが、このアルバムの目玉はtrack 1に収録されている中森明菜の〈北ウイング〉である。
林哲司に関しては2021年に《melody collection》という3種類のオムニバス・アルバムが出されたときにすでに話題にしたが (→2021年12月25日ブログ)、今回のアルバムはそのような過去の録音の集成ではなく、トリビュートとしての新録音である。

本当に中森明菜の新録が出るのか? と疑問符付きで言われていたが見事にリリースされ、初回盤はすでに売り切れてしまった。だが年末年始の多忙もあって、その動画があることを寡聞にして知らず、いまさらながらYouTubeで観た次第である。
タイトルに 「-CLASSIC-」 と附加されていることからもわかるように、ストリングス・アレンジされていて、原曲よりもずっと遅いテンポで歌われているが、歌唱のニュアンスが良く生かされており、なによりも現在の中森明菜を見ることができる出色の動画である。編曲は佐藤えりかと熊谷ヤスマサで、それぞれヴァイオリンとピアノで演奏にも参加している。
ソニーのマイクとヘッドフォンのセットから連想してしまうのは、YouTubeに頻出しているTHE FIRST TAKEだが、もちろんファースト・テイクのわけがない。

こうして改めて聴いてみると、康珍化/林哲司というタッグによる楽曲には杏里〈悲しみがとまらない〉、上田正樹〈悲しい色やね〉、菊池桃子〈もう逢えないかもしれない〉などのヒット曲があるが、〈北ウイング〉はそうしたなかでもメロディに乗る歌詞がうまく融合して洒落ていて、まさに歌謡曲の王道という印象を持ってしまう。
歌詞の冒頭に 「Love is the mystery」 と始めて、この言葉は何度もリフレインしていくのだが、たとえば 「すべてを捨ててく airplane」 というような和欧混交の組み立て方が秀逸だ。この部分は 「心の区切りの teardrops」 という同一パターンで繰り返される。だが何よりもこの歌詞全体の白眉はタイトルにもなっている 「北ウイング」 という固有名詞を当てはめたことだろう。
緩徐なストリングスのバックにより、こうした言葉がより際だって聞こえてきて、ひとつひとつの言葉を噛みしめることができるような、そうした静謐な雰囲気には、あの頃から遙かに時が経ってしまったことへのひとつの諦念とでもいうべきものさえ感じることができる。

以前にも書いたことだが、中森明菜の1989年4月によみうりランドEASTで行われた《中森明菜イースト・ライヴ インデックス23》は、昼間の野外という環境をものともしない当時絶頂期であった彼女の頂点をなすライヴであると思う。
このライヴでも〈北ウイング〉は歌われているので、今回の新録の〈北ウイング〉と比較して聴いてみるものよいかもしれない。
下記にリンクしたYouTubeは、どちらの動画もオフィシャルの動画であり、よみうりランドはドキュメンタリー風にやや編集されているのが残念だが、全編1時間半の長さである。


50th Anniversary Special A Tribute of Hayashi Tetsuji -Saudade-
(バップ)
50th Anniversary Special A Tribute of Hayashi Tetsuji - Saudade - (通常盤)[CD]




中森明菜イースト・ライヴ インデックス23
(ワーナーミュージック・ジャパン)
中森明菜イースト・ライヴ インデックス23<5.1 version> [Blu-ray]




中森明菜/北ウイング-CLASSIC-
https://www.youtube.com/watch?v=Kwf4bmGr9IU

中森明菜イースト・ライヴ インデックス23
https://www.youtube.com/watch?v=4ybVA0tcmIU

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