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西加奈子『おまじない』 [本]

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西加奈子の『おまじない』が文庫になったので買う。
巻末に長濱ねるとの対談が掲載されているのだが、その中で西は、自分に正直であろうとするのが指針であると言っている。

 小説は基本作り話、嘘なわけやけど、でも、嘘をついている感覚で書く
 ことはしない。例えば「この表現もっと賢そうに見せたい」とか「作家
 として正しい態度であると思われたい」っていう自分の思いを小説にこ
 めるのは、私の中で嘘やん、と思う。

8つの短編が収録されているのだが、まず女の子のことを書きたい。そして誠実なおじさんのことを書きたい、とのことである。そのように幾つかの縛りを設けて書き始めたら結構大変だったと下記リンクでも語っているのだが、どれもが読み応えがあって心がしんとなる。
西加奈子の文章は常に明晰だ。「これ、どういうシチュエーション?」 とか、「これ誰の言ってる言葉?」 みたいな曖昧なことがない。昨年出たユリイカの特集を読んでいたら、あまりに大阪のおばちゃんみたいなイメージが強調されていたようにも思えるのだけれど、実はおそろしい作家です、と私は思ってしまう。

文庫で買っても税込682円。単行本は3年ほど前に刊行されているので、図書館にはたぶんあるはずです。オススメ。どれもすごいけど、私が好きなのは 「燃やす」 と、あと、「あねご」。


西加奈子/おまじない (筑摩書房)
おまじない (ちくま文庫)




ユリイカ 2020年11月号 (青土社)
ユリイカ 2020年11月号 特集=西加奈子




『おまじない』西加奈子メッセージムービー
https://www.youtube.com/watch?v=4yzAQcxQQMg
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