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EIGHT-JAM〈ハモリがスゴい名曲特集〉 [音楽]

2月16日夜のテレビ朝日《EIGHT-JAM》は〈ハモリがスゴい名曲特集〉で、いつになくスリリングで面白かった (とはいえ、いつも面白いのだが)。
今回は植松陽介、吉田圭介、そしてLittle Glee Monsterという講師陣。吉田圭介はリトグリのコーラス・ディレクターだとのこと。どのようにコーラスしているのかをリトグリが実演してくれたのが素晴らしい。
とりあげられたのはゆず、コブクロ、HY、MONGOL800、King Gnu、YOASOBI、宇多田ヒカル+椎名林檎などの各楽曲で、どれもが納得できる解説だったが、あみんの〈待つわ〉の解説に一番衝撃を受けた。
〈待つわ〉はまず二人のユニゾンで始まるのだが、このシンクロ率がすごいとのこと。そして2声に別れるのだが、下が3度などでなく棒読みのように同音を繰り返して行くところ、これは恋人同士のすれ違いをあらわしているし、主人公の女性の心的な二重性をも暗示させるという分析に驚く。作詞作曲は岡村孝子だが、編曲は萩田光雄。このコーラスは岡村が考えたのかそれとも萩田なのか、ともかくこのアイデアは秀逸である。
松任谷由実の〈春よ、来い〉は自分の声を重ねてコーラスとしている部分があるのだが、コードトーンで、つまり密集でのヴォイシングがリードノートの裏で弱く推移していて、その美しさがこの曲の儚さにつながっているのだということがわかった。
そして最後にLittle Glee Monsterの自作曲が歌われたが、これがメチャメチャすごかった。音楽の醍醐味とはまさにこれであり、音の楽しみとはこれでしかない。
あみん/待つわ
NHK・レッツゴーヤング 1982.10.24
https://www.youtube.com/watch?v=JHIuQHWr6eI
松任谷由実/春よ、来い
https://www.youtube.com/watch?v=qX7pFYH9O04
Little Glee Monster/UP TO ME!
https://www.youtube.com/watch?v=SsDcqcHWZ0o
ユジャ・ワンのパリ・コンサート2025 [音楽]

Yuja Wang (2025.01.12)
ユジャ・ワンのパリにおける今年のコンサートの様子がYouTubeに公開されている。
2025年01月12日、ホールはGrande salle Pierre Boulez, Philharmonie de Parisである。このフィラルモニ・ドゥ・パリはパリ19区のシテ・ドゥ・ラ・ミュジークにあるホールで2015年に開館したが、名称にピエール・ブーレーズと冠されているだけあって、とんでもない造形の外観である。ここを本拠地とするオケはパリ管弦楽団、アンサンブル・アンテルコンタンポラン、レ・ザール・フロリサン、イル・ドゥ・フランス国立管弦楽団、パリ室内管弦楽団とのことである。
当日のプログラムはフィラルモニ・ドゥ・パリのサイトに拠れば
Ricardo Lorenz/Todo Terreno
Piotr Ilitch Tchaïkovski/Concerto pour piano n°1
Gonzalo Grau/Odisea — Concerto pour cuatro et orchestre
Maurice Ravel/Boléro
という曲目で、オケはグスタボ・ドゥダメル指揮、シモン・ボリバル交響楽団。そしてソロイストはユジャ・ワンとホルヘ・グレムである。グレムはゴンサロ・グラウの《Odisea》という作品の演奏者だが、クアトロとはラテンアメリカのギターに似た4弦の楽器とのこと。私は寡聞にしてよく知らない。
映像はオフィシャルではないのでふらふらするし、正面よりやや右寄り上方の位置から撮られているのだが、この角度からのユジャの腕の動きは新鮮で、彼女の特徴的な腕の使い方がよくわかる。
チャイコフスキーのコンチェルトは一般的なリスナーの感覚からすると、初心者向きで手垢の付いた曲みたいな印象をつい持ってしまいがちなのだが、ユジャの弾くこのチャイコはちょっと違うように聞こえる。繰り返し聴いてよく知っている冒頭はいつも通りなのだが、次第に様相が変化して行く。どこが、と問われるとうまく表現できないのだが、通俗に堕する部分が無い。次々にあらわれる局面が今までのこの曲の記憶と違う容貌にみえてしまうのだ。映像が曲の途中で切れてしまっているのが残念である。
この日のアンコールはアルトゥロ・マルケス (Arturo Márquez, 1950−) の代表曲〈Danzón no.2〉(ダンソン・ヌメロ・ドス) で、ドゥダメルの得意曲でもあるが、それをピアノ編曲されたのを弾いているようだ。ドゥダメルがタブレットの譜めくりをしているのが微笑ましい。
オマケとして2024年11月03日に同じフィラルモニ・ドゥ・パリでユジャとヴィキングル・オラフソン (Víkingur Ólafsson, 1984−) のデュオ・コンサートの映像があったのでリンクしておく。これもおそらくアンコールとして演奏された連弾である。
曲目はドヴォルザークの〈Slavonic dance op.72, no.2, e-moll〉である。
Yuja Wang/Tchaïkovski: Concerto pour piano n°1
12 janvier 2025 Philharmonie de Paris
https://www.youtube.com/watch?v=ZzTX5SKEEO
Yuja Wang/Márquez: Danzon no.2
12 janvier 2025 Philharmonie de Paris
https://www.youtube.com/watch?v=aGMcpn1jg64
Yuja Wang&Víkingur Ólafsson/
Dvorák: Slavonic dance op.72, no.2, e-moll
03 novembre 2024 Philharmonie de Paris
https://www.youtube.com/watch?v=KK3ppINj20I
EIGHT-JAMの年間マイベスト10曲 [音楽]

この前、《A-Studio》に松坂桃李が出演していましたけど、松坂桃李と菅田将暉って同じ事務所なんですね。すごいな。
ま、それはいいとして、テレビ朝日《EIGHT-JAM》恒例の 「プロが選ぶ年間マイベスト10曲」 が1月12日と19日の2回にわたって放送されたがなかなか面白かった。2024年の楽曲のなかから、いしわたり淳治、蔦谷好位置、川谷絵音の3人がそれぞれ10曲を選択するという企画。
ほとんどの曲は知らないので、こういうのが今日の音楽なのかという意味で勉強になる。
私の好みだけで言えば、今回のなかで初めて聴いて注目したのはjo0jiと柴田聡子。jo0jiの動画はエレカシを連想させたが、やはりRADWIMPSやエレカシに影響を受けたとwikiに書かれていたので納得。柴田聡子は《Your Favorite Things》というアルバムがあることは知っていたけれど、骨のある歌唱で、これは聴けるなという印象。それと、いつもながら大橋トリオも良いな。
ただ、最も入って来るのは私のiri好きの傾向からするとAwichが一番である。歌詞の 「いつからか君は 薬がないと笑えなくなってった」 の箇所は言及通りドキッとする。それともはやスタンダードだが、緑黄色社会は安定した楽曲だと思う。
歌のうまさでは長屋晴子と吉岡聖恵が今のところハイ・クォリティだと感じているので。
ただ、蔦谷好位置と川谷絵音の2人が1位に推した藤井風は別格で、2024年末の紅白でもわかる通り、すでにベテランの領域である。〈満ちてゆく〉のキーが432Hzであるという指摘は知らなかったが、思わず 「バロックか!」 とツッコんでしまいそうになるけれど、バロックは普通415Hzだから、やや微分音に近い。なんでも432Hzというのは 「癒しの音」 らしくてモーツァルトが432Hzだったという説もあるが、藤井がそこまで意識していたのかどうかは不明だ。
Awich/かくれんぼ
https://www.youtube.com/watch?v=YgUtx63Rx5o
緑黄色社会/恥ずかしいか青春は
https://www.youtube.com/watch?v=G9KznOYqyOg
藤井風/満ちてゆく
https://www.youtube.com/watch?v=ptiK8U4WlSc
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