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Blade Runnerを聴く [音楽]

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Vangelis (2012) (el.wikiより)

最近、ヴァンゲリスのアルバムが廉価盤で出ているので少しずつ集めていた。だが彼の代表作といえば映画《ブレードランナー》(1982) のサウンドトラックだろう。

古い話をしてしまうと、そもそも映画《ブレードランナー》は封切時にはほとんど黙殺されていて、同時期に公開された《E.T.》ばかりがもてはやされていたのである。《ブレードランナー》はマニアックな人たちによって認められ、いわばカルト・ムーヴィーとして伝播し次第にその評価が定まってきた。SF的視点から《ブレードランナー》と《E.T.》とを比較するならばその差は明白である。

ある程度、映画の評価が定まってきてもヴァンゲリスの《ブレードランナー》のサントラは発売されていなかった。ポリドール盤の《Vangelis/Themes》に映画音楽のベスト盤としてブレードランナーから何曲かが収録されたのみであって、《ブレードランナー》はヴァンゲリスの音楽に関しても大変虐げられ評価されない作品であったといえる。それはひとえに、その内容があまりに暗過ぎたからだろうと思う。その時代には《E.T.》のような明るい映画が求められていたのだろう。その傾向は今も変わらないとも言えるが。

ヴァンゲリスはシンセサイザーをメインの楽器としていたが、ピアノを曲の中に使うとき、ミスをしてもそこだけパンチインをしたりせず、全部弾き直すのだと聞いたことがある。音そのものの主体はシンセなのだが、構造的にはクラシカルなテイストがあるように思う。

したがってヴァンゲリスをカヴァーするシンセシストも多い。フィンランドのKebuの弾くブレードランナーのエンドタイトルのライヴ映像をリンクしておく。Kebuのニュアンスはヴァンゲリスのオリジナルに近く、アナログシンセを駆使した太い音が素晴らしい。16分音符のシークェンス・パターンに乗るメロディラインは、あらかじめ作られている飾り音を除いてほとんど手弾きだ。このエンドタイトルはいわばシンセのスタンダードになりつつある。
Kebuはモロダーなどもカヴァーしているのでその演奏もリンクしておく。そしてヴァンゲリス本人の演奏による〈Chariots of Fire〉(炎のランナー) も。
ローランドのAxialサイトに拠れば、Kebuは 「フィンランドのジャン・ミシェル・ジャールとも称される」 と書かれている。

ヴァンゲリスは2022年5月17日にパリで亡くなった。コロナウイルスとの合併症だとのことである。


リドリー・スコット/ブレードランナー ファイナル・カット
(ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント)
ブレードランナー ファイナル・カット 日本語吹替音声追加収録版 ブルーレイ(3枚組) [Blu-ray]




Vangelis/Blade Runner Original Soundtrack
(Atlantic UK)
Blade Runner




Kebu/Vangelis: Blade Runner (End Titles)
live in Helsinki 2019
https://www.youtube.com/watch?v=rI65leWtd7c

Kebu/Giorgio Moroder: Chase
live Sthlm Italo Disco Party 2015
https://www.youtube.com/watch?v=cH2guTTyX8s

Vangelis/Chariots of Fire
https://www.youtube.com/watch?v=Xkc6TB4EeqI
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