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Blade Runnerを聴く [音楽]

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Vangelis (2012) (el.wikiより)

最近、ヴァンゲリスのアルバムが廉価盤で出ているので少しずつ集めていた。だが彼の代表作といえば映画《ブレードランナー》(1982) のサウンドトラックだろう。

古い話をしてしまうと、そもそも映画《ブレードランナー》は封切時にはほとんど黙殺されていて、同時期に公開された《E.T.》ばかりがもてはやされていたのである。《ブレードランナー》はマニアックな人たちによって認められ、いわばカルト・ムーヴィーとして伝播し次第にその評価が定まってきた。SF的視点から《ブレードランナー》と《E.T.》とを比較するならばその差は明白である。

ある程度、映画の評価が定まってきてもヴァンゲリスの《ブレードランナー》のサントラは発売されていなかった。ポリドール盤の《Vangelis/Themes》に映画音楽のベスト盤としてブレードランナーから何曲かが収録されたのみであって、《ブレードランナー》はヴァンゲリスの音楽に関しても大変虐げられ評価されない作品であったといえる。それはひとえに、その内容があまりに暗過ぎたからだろうと思う。その時代には《E.T.》のような明るい映画が求められていたのだろう。その傾向は今も変わらないとも言えるが。

ヴァンゲリスはシンセサイザーをメインの楽器としていたが、ピアノを曲の中に使うとき、ミスをしてもそこだけパンチインをしたりせず、全部弾き直すのだと聞いたことがある。音そのものの主体はシンセなのだが、構造的にはクラシカルなテイストがあるように思う。

したがってヴァンゲリスをカヴァーするシンセシストも多い。フィンランドのKebuの弾くブレードランナーのエンドタイトルのライヴ映像をリンクしておく。Kebuのニュアンスはヴァンゲリスのオリジナルに近く、アナログシンセを駆使した太い音が素晴らしい。16分音符のシークェンス・パターンに乗るメロディラインは、あらかじめ作られている飾り音を除いてほとんど手弾きだ。このエンドタイトルはいわばシンセのスタンダードになりつつある。
Kebuはモロダーなどもカヴァーしているのでその演奏もリンクしておく。そしてヴァンゲリス本人の演奏による〈Chariots of Fire〉(炎のランナー) も。
ローランドのAxialサイトに拠れば、Kebuは 「フィンランドのジャン・ミシェル・ジャールとも称される」 と書かれている。

ヴァンゲリスは2022年5月17日にパリで亡くなった。コロナウイルスとの合併症だとのことである。


リドリー・スコット/ブレードランナー ファイナル・カット
(ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント)
ブレードランナー ファイナル・カット 日本語吹替音声追加収録版 ブルーレイ(3枚組) [Blu-ray]




Vangelis/Blade Runner Original Soundtrack
(Atlantic UK)
Blade Runner




Kebu/Vangelis: Blade Runner (End Titles)
live in Helsinki 2019
https://www.youtube.com/watch?v=rI65leWtd7c

Kebu/Giorgio Moroder: Chase
live Sthlm Italo Disco Party 2015
https://www.youtube.com/watch?v=cH2guTTyX8s

Vangelis/Chariots of Fire
https://www.youtube.com/watch?v=Xkc6TB4EeqI
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ZARD〈サヨナラまでのディスタンス〉 [音楽]

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今朝は強い雨が降っている。

めちゃめちゃ遅ればせながらの吉田秋生『海街diary』、今、4巻まで読み終わった。雑誌連載の始まったのが2006年、コミックスの第1巻の発売が2010年だから超・周回遅れである。

最初に惹かれたのはコミックス第1巻の踏切の風景を描いた表紙絵である。ストーリーに描かれている風景は、少し前の日本的な情緒をたたえた鎌倉であり、そのひとつひとつが知らない風景でありながら懐かしい。携帯電話はまだ2つ折りであり、登場人物のひとりである風太は、中学生だからまだ早いと携帯電話を買ってもらえなくて、固定電話から家族の耳に気兼ねしながら電話をしている。

複雑な人間関係はクリアに説明され、話の中に自然に没入することができる。この構造性とそれぞれのキャラクターの描写が見事だ。四姉妹ものの発祥はひょっとすると谷崎潤一郎だろうが、そのような大時代的なのとは違って、もっとずっとコンパクトでそれでいて微妙な心理の機微があらわれていて、リアリティに満ちている。

そして幾つもの 「まつり」 の情景が出てきて、それがいかにも日本的なイメージを喚起するし、藤井風の歌にも感じられるようなハレの日の特殊な精神状態を思い出させる。
私は子どもの頃、まつりが嫌いだった。あまりに人工的な躁状態のような雰囲気に馴染むことができなくて、でももう一度思い出してみればそこにはすでに喪われてしまった過去の懐かしい風景が多数存在している。
その中で特に強い印象を残したのが『海街diary』にも出てくる 「お十夜」 で、私が子どもの頃住んでいた町にはお十夜があり、普段静かだったはずの通りに夜店が立ち並び、非日常的な活気に満ちあふれ、そのむしろ猥雑とも思えるような賑わいをかすかに記憶しているからだ。あの無秩序な風景は幻のように消滅してしまって、本当にそんなまつりがあったのかどうかさえ定かでない。

タイトルから想像力を働かせることとして第3巻の 「陽のあたる坂道」 と 「止まった時計」 がある。「陽のあたる坂道」 というタイトルから連想されるのは石坂洋次郎の同名の小説だろうが、すでに過去の作家だから私はタイトルしか知らないし、音楽的な記憶から掘り起こすのならDo As Infinityの〈陽のあたる坂道〉である。
そして 「止まった時計」 は薬師丸ひろ子にそのようなタイトル曲があるらしいが、私が連想するのはZARDの〈止まっていた時計が今動き出した〉である。作曲はGARNET CROWの中村由利であり、同名の10thアルバム《止まっていた時計が今動き出した》(2004) に収録されている。

私はその頃の日本の音楽をほとんど知らなくて、リアルタイムでZARDを聴いたのはこのあたりの時代からで、だから意識して聴き始めたのは11thアルバムである《君とのDistance》(2005) だが、これは結果として最後のオリジナルアルバムとなってしまった。
このアルバムの2曲目に収録されているのが、アルバムタイトルとやや違ったタイトルを付された〈サヨナラまでのディスタンス〉である。作詞:坂井泉水、作曲:大野愛果、編曲:葉山たけしだが、大野愛果と葉山たけしという組み合わせは、愛内里菜&三枝夕夏の〈七つの海を渡る風のように〉(2007) でも採用されている。

この〈サヨナラまでのディスタンス〉はつまりアルバムのタイトル曲にもかかわらず、やや特殊とも思える楽曲で、シンセのシークェンス・パターンによるフェードイン、ヴォーカルの裏に貼り付くようにしてノイズのようにイコライジングされた声が重なる、オーバードーズな感触がある。
歌詞も悲痛な響きがあり、むしろ不吉な予感にあふれていて、これは結果論でなく最初に聴いたとき 「これは何?」 と思いながらリピートを繰り返してしまった。だから私にとってのZARDのファースト・インプレッションはこの曲に象徴される陽のあたらない坂道のような暗さへの誘惑である。


ZARD/君とのDistance (ビーグラムレコーズ)
君とのDistance 【30th Anniversary Remasterd】




ZARD/サヨナラまでのディスタンス
https://www.dailymotion.com/video/xpze2f

ZARD/止まっていた時計が今動き出した
https://www.youtube.com/watch?v=eFimlUDtZzU

Do As Infinity/陽のあたる坂道
https://www.youtube.com/watch?v=ffAzH3GdK6Y
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Uru〈それを愛と呼ぶなら〉 [音楽]

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Uru (Uru twitterより)

TBSTVのドラマ・日曜劇場《マイファミリー》の初回を偶然観てから、面白いので毎回視聴している。主演は二宮和也、多部未華子で例によってネットの番組批評サイトでは役者がダイコンだとか現実感が無いとか言われてすこぶる評判が悪いが、そういう口さがない人たちの間で評判の悪いドラマはたいてい面白い。

このドラマはミステリー仕立てなので、オリジナルの脚本だから犯人が誰かわからずそれを推理する過程が楽しいのだ。ストーリーはいよいよ佳境、ミステリーもののセオリーに当てはめればたぶん犯人はこの人だろうと推理してしまうのだが、そうした常道を脚本家は当然考えているはずだからさらにそれを外してくるのでは、と思うときりがなくて、あるいは推理ものとしては禁忌の卑怯な手を使ってくるかもしれず、でもそれをも含めてシュミレーションしてみるというのがミステリーの楽しみかたなのであって、だまされて、あぁそれがあったか、と思わせられることをむしろ期待している。さぁどうなるのでしょうか。
ゲームソフトの開発会社という設定を象徴するひとつとして、犯人からのあのキモチ悪い着信音があるのだが、もしかするとあれを着信音に設定している人がいるかもしれない。ちょっとしたギャグとして。

ドラマの毎回のラストに、すっと入って来るUruの〈それを愛と呼ぶなら〉が絶妙で、結局ドラマの主題歌なんてそのラストに寄与するカタルシスのツールなのだ。「掛け違えていたボタン」 という歌い出しの歌詞が秀逸。
Uruは映像作品の主題歌や挿入歌に次々採用され、あっという間に (でもないのかもしれないが) 有名になってしまった。YouTubeでカヴァーを歌っていた頃の緻密な音世界が懐かしい。

THE FIRST TAKEで聴くことのできるYOASOBIのAyaseの書いた〈再会〉はLiSAとのデュエットだが、2人の個性が出ていて、LiSAの強く張った声とややかすれたUruの声が呼応して、明暗の対照のように心に沁みこむ。
曲もいつものようなAyaseカラーが出ていながらあらかじめこの2人のために書いたためか、ややいつもと違っていてその微妙さがキャッチーな印象を与えてくれる。あきらかにAyaseは対象とするリスナーを想定して書き分けている。

昔のアマチュアの頃のUruのシンプルな歌唱もいまだにYouTubeで聴くことができるが、これは以前にもリンクしたのだけれどサザンの〈真夏の果実〉が個人的には好みだ。このしっとり感が桑田とは違った風景を感じさせてくれる。


Uru/それを愛と呼ぶなら (通常盤・SMAR)
それを愛と呼ぶなら (通常盤) (特典なし)




Uru/それを愛と呼ぶなら TBS系 日曜劇場 「マイファミリー」 主題歌
https://www.youtube.com/watch?v=zPR-LcqWZJU

LiSA×Uru/再会 (THE FIRST TAKE, produced by Ayase)
https://www.youtube.com/watch?v=impSuIygMiQ

Uru/真夏の果実
https://www.youtube.com/watch?v=sNbsjw6K5z0
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コミックスについて [コミック]

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萩尾望都『トーマの心臓』

蜷川実花の撮った《xxxHOLiC》の写真集を買ってきた。監督作品である映画のスチル版と思ってよいのだろう。

先日のTBSTV《A-STUDIO》のゲストは吉岡里帆だったが、この映画についてのあからさまなプロモーションが無かったのにちょっと驚く。キャスティングは壱原侑子が柴咲コウ、そして女郎蜘蛛が吉岡里帆である。
《A-STUDIO》で吉岡は、悪役を演じることについてTBSドラマ《カルテット》の来杉有朱が転機となったと語っていたが、やはりあのドラマでの彼女の演技はすごかったなぁと思う。

このところマンガをほとんど読んでないので、最後まで読んでいない『xxxHOLiC』の続きを読んでみようかと思ったのだが、体裁がPREMIUM COLLECTIONというのに変わっていて、相変わらず商売上手なCLAMPだなと思ってしまう。だがオリジナルのコミックスのほうが表紙が好きだから古書を探すことにする。
というわけで、いまさらだけどまだ読んでいない『海街diary』を2冊だけ買ってきた。いきなり大人買いはしないのがセオリーなのだ。

吉田秋生の『カリフォルニア物語』というネーミングは、内容とは全く関係ないのだけれどイーグルスの〈ホテル・カリフォルニア〉やママス&パパスの〈夢のカリフォルニア〉を連想してしまう。それはカリフォルニアという固有名詞から醸し出される音楽的な記憶とでも言えるのではないだろうか。
それはそのものずばりの曲名タイトル、萩尾望都の『アメリカン・パイ』にも同様なあの時代のにおいを感じる。

でも一緒に買ってきた萩尾望都の『一度きりの大泉の話』—— 昨年出た本なのだがあっという間に読んでしまった。内容的には超ヘヴィーな本である。そのヘヴィーな部分についてはあえて触れない。調べれば簡単に分かるはずなので、興味のある人だけ読んで欲しい。
佐藤史生、岸裕子といった名前が出てくるのが懐かしい。また『トーマの心臓』は最初人気がなくてアンケート最下位で連載が危ぶまれたこと。ところが『ポーの一族』のフラワーコミックスが初版3万部刷ったのに3日で売り切れてしまって雲行きが変わり、トーマは継続、原稿料も倍になったこと。そしてトーマの暗い話の後には明るい話をということで『この娘うります!』を描いたとのことだが、そのタイトルを提案したのは木原敏江だったこと。閉鎖空間としてのギムナジウムものの変形が『11人いる!』だったのでは、ということなど。


映画 ホリック xxxHOLiC写真集 (講談社)
映画 ホリック xxxHOLiC 写真集




吉田秋生/海街diary 1 蝉時雨のやむ頃 (小学館)
海街diary 1 蝉時雨のやむ頃




萩尾望都/一度きりの大泉の話 (河出書房新社)
一度きりの大泉の話

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ZARD〈君の瞳に恋してる〉 [音楽]

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レコードショップでぼんやりと中古レコードを見ていたらZARDの〈君の瞳に恋してる〉を発見した。こういうのって探そうと思っていないときにフッと出てくる。

Can’t Take My Eyes Off of You ——邦題:君の瞳に恋してる。フランキー・ヴァリの1967年の大ヒット曲であり、数え切れないくらいのカヴァーが存在するスタンダードである (フランキー・ヴァリのタイトル表記はCan’t Take My Eyes Off You)。ディスコブームのときにBoys Town Gangがカヴァーして大ヒットした曲でもある。

ZARDの〈君の瞳に恋してる〉は8thアルバム《永遠》(1999) の初回盤に8cmCDで附属していたとのことだが、私はもちろん持っていない。初回盤を買ってはがきで応募すると抽選で30cmLPが1999名に当たったのだが、その後、インディーズで2万枚プレスされた。プロデュースしたのはあの小西康陽である。
過去に、私はレコードショップで、おそらくそのインディーズ盤が飾ってあったのを見たのを覚えているのだが、意外に高くて (といっても幾らだったのか忘れてしまったが) まぁいいかと見送ってしまったのだけれど、ずっと記憶には残っていた。その頃は小西康陽と聞いてもピンと来なかったくらいの知識しかなかったこともある。でもその後、ときどき思い出すのだが、実際に現物を見たことはずっと無かったのである。ヤフオクなどでも見かけるのだが、レコードで一度ひどい目に遭ったことがあるのでヤフオクはどうも気が進まない。

それに見つけた〈君の瞳に恋してる〉は中古レコードとしてはちょっと高くて、たぶん当時見かけたときの新品価格よりも高いのだが、5分ほど悩んだ末に結局買ってしまった。1999枚の抽選盤と2万枚の追加プレス盤との区別がつかないのだが、たぶん2万枚のほうだと思う。

GIZAのコンピレーション・アルバム《Christmas Non-Stop Caroll》には葉山たけし編曲のZARD〈君の瞳に恋してる〉が1曲目に入っているのだが、クリスマス用のヴァージョンということもあって比較的オーソドクスな編曲。こちらが好きな人のほうが多いかもしれない。
小西康陽のアレンジはぜんぜんトガッていて、だから小西なのだが、坂井泉水の歌唱もややワイルドな箇所があって聞かせる。アコーディオンを演奏しているのはcobaだが、いつだったか楽器フェアのアコーディオン売場に彼がいて、そこにいた数人の客のために演奏してくれたのだが、もうびっくり。こういう音が出るのかという感じ。

とはいっても私はZARDもピチカートもあまりよく知らなくて、一時期、中古CDショップでものすごく廉価なときに何枚か購入して聴いていた程度なので、遅れてきたファンであり、あまりマジメなファンとは言えない。
だからZARDで最も良く聴いたのはDVDの《What a beautiful moment》であるが、映像として観ることができるのが何よりの強みだ。キーを下げているのが少し残念だが、無理のない歌唱をという配慮なのだと思う。

もう1曲、ZARDのカヴァー曲で好きなのは久保田早紀の〈異邦人〉である。これは松本孝弘のアルバム《THE HIT PARADE》(2003) に収録されているが、坂井泉水の声が松本のギターにつられたように強くて美しい。


ZARD/Can’t Take My Eyes Off of You (編曲:小西康陽)
https://www.youtube.com/watch?v=JJl9CPWVHPU

ZARD/Can’t Take My Eyes Off of You (編曲:葉山ひろし)
https://www.youtube.com/watch?v=eBYGyOztsPE

Frankie Valli/Can’t Take My Eyes Off You (Live)
https://www.youtube.com/watch?v=hQugcviHDTA

ZARD/異邦人 (TAK MATSUMOTO featuring ZARD)
https://www.youtube.com/watch?v=KqyvNfhXYck
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スカイロケットカンパニー 2022年05月03日 [雑記]

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スカイロケットカンパニー (マンボウやしろ&浜崎美保)

すごくローカルな話題ですが。
Tokyofmの午後5時から《スカイロケットカンパニー》という約2時間50分の帯番組があって、簡単にいえばユルいトーク番組なんですが、カンパニーというくらいで一応会社という設定になっていて、本部長・マンボウやしろ、秘書・浜崎美保という2人の掛け合いDJな内容なんです。

この中で午後6時40分頃からの 「スカロケ からだスマイル部」 という部分が、一種のコントなのですが、5月3日のが超絶面白くて死ぬかと思いました。悪ふざけが過ぎるのかなぁ。
それを文字で書きあらわすのは不可能ですが、ズボラ社員やしこ (マンボウやしろ) が妄想爆発して同僚社員 (浜崎美保) を罵倒し音声が変調されるなかで、ナマハゲがなぜかメイちゃんのおばあちゃんになってトトロのテーマソングが流され、最後はエヴァンゲリオンになるというストーリーで、これ、聴いていない人には絶対分からないでしょうけれど……。

浜崎美保はその声に特徴があって 「萌え声」 とのことですが、ともかく一度聴いたら絶対に忘れられない声。でも見た目はかわいいというよりキレイ系なおねぃさんです。それなのにマンボウやしろとのこの掛け合いのクォリティの高さはどうなの?
聴いてみたいとか聴き逃した場合は関東圏ならradikoTOKYOで聴けます。

NHKで放送された《中島みゆき名曲集~豪華トリビュートライブ&貴重映像~》を録画で観ました。2016年に放送されたものを今年になって再放送したのを4月16日にさらに再々放送したもの。2002年紅白の〈地上の星〉は圧巻。
NHKサイトにあったセトリをコピペ。

中島みゆき/糸(歌旅)
満島ひかり/ミルク32
中島美嘉/命の別名
中島みゆき/空と君のあいだに(縁会)
中島みゆき/わかれうた(コッキ―ポップ)
大竹しのぶ/化粧
中島みゆき/あした(縁会)
坂本冬美/雪
中島みゆきが提供した歌手の中から工藤静香、TOKIO、モモクロの映像
研ナオコ/あばよ
華原朋美/黄砂に吹かれて
中島みゆき/夜会の映像
中島みゆき/公然の秘密(夜会Vol.8『問う女』)
中村中/元気ですか、怜子
中島みゆき/ファイト!(歌旅)
中島みゆき/地上の星(紅白)
中島みゆき/この空を飛べたら(スタジオライブ)
クミコ/世情
中島みゆき/麦の唄(紅白)
中島みゆき/時代(ツアー2010)


スカロケ 会社概要
https://www.tfm.co.jp/sky/index_pc.php?catid=1725

radiko: Skyrocket Company
https://radiko.jp/#!/ts/FMT/20220504170000

スカロケ放送例:
スペシャルウィーク! プロモーション映像
https://www.youtube.com/watch?v=mU9zVROmB0g

2021年5月26日(水)放送 (音声のみ)
https://www.youtube.com/watch?v=pkZIPmdKgE8
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ジョニー・コールズ《The Warm Sound》 [音楽]

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ソニーミュージックからリリースされているJAZZ COLLECTION 1000というCDのシリーズは、コロムビアとRCAの音源を廉価盤として再発したもので、2014年から2015年にかけての発売なのだが、300タイトルあって (2枚組もあるのでタイトルと呼称) いまだに在庫があるようでセールになっていた。

レア盤というほどのものはないと思うのだが、ジャズなんて余程売れ線でない限りすぐに品切れ・廃盤になってしまう。それに有名盤に限って持っていなかったり (たとえばマイルスの《‘Round About Midnight》なんてあまりに有名過ぎるし内容も知っているし今さら恥ずかしくて買えないだろうと思っていたのだが、ネットなら恥ずかしげもなく買える、ということに気付いて初めて購入。でもmonoってわざわざ断っているのは、じゃstereo盤があるのかと驚くのだがきっとあるんでしょうね〜。たぶん疑似ステだろうけど)、レコードはあるのだけれどCDは持っていないこともあるし、などなど各々の理由があって、それで試しに十数枚買ってみたのだが、注文したもののなかで2点は残念ながら品切れだった。

その2点とはアーマッド・ジャマルとジョニー・コールズなのだが、買い損なったコールズの《The Warm Sound》はあまり有名ではないかもしれないけれど名盤であると思う (ちなみにレコードは持っている)。
ジョニー・コールズ (Johnny Coles, 1926−1997) はニュージャージー、トレントン生まれのトランペッターであるが、リーダー・アルバムも数枚しかなく、決して超有名なジャズ・ミュージシャンではない。彼は主にサイドメンとしての演奏が多く、その最も有名なもののひとつはおそらくチャーリー・ミンガスのグループへの参加だろう。
コールズがミンガス・グループに在籍していたときの同僚はエリック・ドルフィーであるが、その当時のヨーロッパ・ツアーは非常にハードで、コールズは確か途中で身体を壊してしまったのだと覚えている。ライヴの演奏を聴いても、もうひとつ覇気がないのはドルフィーに気圧されているのか、それとも当初から身体の具合がいまひとつだったのかはわからないが、そもそもミンガスというヘヴィーな圧力がのしかかる環境下では萎縮してしまったのではないかという可能性もある。

これはたとえばドルフィーのグループで吹いていたブッカー・リトルにも言えるのだが、ドルフィーとのファイヴ・スポットでのライヴはジャズ史の中で至高の演奏といえる内容であるが、それにもかかわらずリトルの本質は出ていないような感じがする。リトルの場合は、ドルフィーに引っぱられて実力以上の演奏ができてしまったのかもしれないが、リトルの数少ないリーダー・アルバムを聴くと、その志向はドルフィーとは異なるのである (ブッカー・リトルは23歳で亡くなった。夭折したトランペッターには他に25歳で亡くなったクリフォード・ブラウン、そして28歳で亡くなったビックス・バイダーベックをあげておく。内田善美の『星の時計のLiddell』に登場するヒュー・ヴィックス・バイダーベックという名前は彼から採られたのに違いない。この3人のジャズ・トランペッターについてはすでに書いた→2012年08月16日ブログ)。
そしてまたフランク・ストロジャーのアルバム《Fantastic》に参加したときのリトルは、ドルフィーとの演奏とは全く異なった貌を見せるのである (この《Fantastic》も隠れた名盤であると私は思う)。

リトルのことはよいとしてコールズに戻ると、彼はごく正統的なバップからモダンへのジャズの流れの中に基本的な音楽性があるので、ミンガスのような反逆の精神性とはどちらかというと無縁なのだと思う。
wikiによればコールズはギル・エヴァンスのオーケストラをはじめとしてハービー・ハンコック、レイ・チャールズ、デューク・エリントン、アート・ブレイキー、カウント・ベイシー (サド・ジョーンズのコンダクトによる) などビッグバンドへの参加が多く見られる。また、マイルス・デイヴィスの《Sketches of Spain》にも参加しているが、これはギル・エヴァンスつながりだろう。

《The Warm Sound》というアルバムは、コールズの最も良い特質が生かされている。清新な〈Room 3〉から始まり〈Where〉〈Come Rain or Come Shine〉そして〈Hi-Fly〉へと続く流れがとても心地よい。
〈Hi-Fly〉はランディ・ウェストンの書いたジャズ・スタンダードであるが、テーマをかすかなタメのリズムで引っ掛けながら吹くコールズの解釈が、この曲をまさにコールズ節で塗り替えたように思えてしまうのである。
試みとしてキャノンボール兄弟やアート・ファーマー&ベニー・ゴルソンの演奏などと比較すると、これらのほうが楽譜には忠実なのだろうが、コールズの演奏よりも古く聞こえてしまうし、コールズのような洒落たテイストが感じられないのである。


The Johnny Coles Quartet/The Warm Sound
(SMJ)
ウォーム・サウンド+2




The Johnny Coles Quartet/The Warm Sound (1961)

1) Room 3
https://www.youtube.com/watch?v=ncGlXGSgECY
2) Where
https://www.youtube.com/watch?v=FCFuhx9t06A
3) Come Rain or Come Shine
https://www.youtube.com/watch?v=07-u1fzX79I
4) Hi-Fly
https://www.youtube.com/watch?v=VtLzr29rT6s

参考:
The Cannonball Adderley Quintet in San Francisco/
Hi-Fly
https://www.youtube.com/watch?v=wYSB6dlwHYo

Art Farmer Benny Golson The Jazztet
The Complete Argo Mercury Sessions/
Hi-Fly
https://www.youtube.com/watch?v=0rRrcEiULs0
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